Raycastの使い方と初期設定|入れた直後に決めておくこと

Raycastの使い方を調べるとき、多くの解説は「何ができるか」から始まります。ただ、入れた直後に効いてくるのは機能の数ではなく、最初の10分で決める設定のほうです。呼び出しのキー、起動のしかた、渡す権限、メニューバーに出すかどうか。この4つを先に決めておかないと、あとで別のアプリと衝突したり、常駐アイコンがもう1つ増えたまま気づかなかったりします。

この記事では、機能の紹介ではなく、入れた直後に手を動かして決める項目だけを扱います。キーが効かないときに外す3か所、機能ごとに別々に要求される権限、そして拡張機能を足すたびにメニューバーの項目が増える仕組みまでを順に整理します。すでにアイコンが並んで目的のものを探しにくいMacほど、この順番で決めておく価値があります。

入れた直後に決めるのは、4つだけ

設定画面には数十の項目が並びますが、最初に触るべきものは限られています。公式のマニュアルで「一般」に置かれている項目のうち、入れた直後に判断が要るのは次の4つです。

  • 起動時に立ち上げるかどうか(Open at Login)
  • メニューバーにアイコンを出すかどうか(Show in Menu Bar)
  • 呼び出しの全体ホットキー(既定は⌥ Space)
  • 見た目の大きさと窓の詰め方(Interface Size、Window Mode)

残りは、使いながら不便を感じたときに変えれば足ります。逆に、この4つを既定のまま放置すると、あとから「なぜかキーが効かない」「アイコンが増えている」という形で戻ってきます。設定画面は開いている状態で⌘ ,、または検索窓に「Settings」と打てば開きます。設定の中で項目を探すときは⌘ Fで、設定名でも拡張機能名でも横断して引けます。

判断の順番も決まっています。まず起動と常駐の2つ(Open at Login、Show in Menu Bar)を決め、次にホットキー、最後に見た目です。理由は、前の2つがMacの起動時の挙動そのものを変えるからです。見た目は後からいくらでも変えられますが、常駐の設定は忘れたまま数か月動き続けます。

呼び出しのキーは、既定のまま使うか置き換えるかを先に決める

既定の呼び出しキーはmacOSで⌥ Spaceです。この状態なら、Spotlightは⌘ Spaceのまま残ります。つまりランチャーが2つ、別々のキーで並ぶことになります。

公式のマニュアルは、覚えるキーを1つに絞るために⌘ Spaceを割り当てる方法を案内しています。ただし⌘ Spaceはもともと別の機能に割り当たっているため、押しても登録されないことがあります。その場合に外す場所は3か所です。

  • システム設定 > キーボード > キーボードショートカット > Spotlight の「Spotlight検索を表示」
  • 同じ画面の「入力ソース」にある、言語を切り替えるショートカット
  • システム設定 > Apple Intelligence と Siri のキーボードショートカット

3つ目は見落とされやすい場所です。Siriが「⌘ Spaceを長押し」に設定されていると、キー自体は登録できても、窓が出るまでにわずかな待ちが入ります。使っていないなら切っておくほうが素直です。

もう1つ、ホットキーの衝突は他のアプリ側でも起きます。キーの入れ替えを行う常駐アプリを使っている場合、Macがスリープから復帰した直後の数秒はそちらの反応が遅れることがあると案内されています。復帰直後だけ効かないという症状なら、設定ではなく順番の問題です。

権限は、機能ごとに別々に要る

Raycastは1つの権限で全部が動くわけではありません。マニュアルのトラブルシューティングでは、機能と権限の対応が明示されています。

Confirm Raycast is enabled under Accessibility (needed for hotkeys and snippet expansion). Confirm Raycast is enabled under Screen Recording (needed for window management). 出典: manual.raycast.com

つまり、アクセシビリティを渡さないとホットキーもスニペットの展開も動かず、画面収録を渡さないとウィンドウの整列が動きません。音声入力を使う場合はマイクも別に要ります。前面のアプリのメニュー項目を検索して実行する機能も、アクセシビリティの権限を使って他のアプリのメニューを読みます。

ここで大事なのは、権限をまとめて渡す必要はないという点です。ウィンドウ整列を使わないなら画面収録は渡さなくてよく、音声入力を使わないならマイクは不要です。渡す権限が少ないほど、macOSの更新後に確認する場所も減ります。

macOSの更新後に特定の機能だけ動かなくなる現象は、この対応表を知っていれば切り分けが速く済みます。ホットキーだけが効かないならアクセシビリティ、整列だけが効かないなら画面収録です。一覧に名前は載っているのにスイッチが入っていないように見えるときは、いったん切って入れ直す手順が案内されています。

メニューバーに出すかどうかは、独立した設定になっている

設定の「一般」には、メニューバーに出すかどうかを切り替える項目が用意されています。公式マニュアルはこの項目を次のように説明しています。

Toggle whether Raycast appears in the menu bar. When enabled, you can quickly access Settings, check for updates, and quit the app from the menu bar icon. 出典: manual.raycast.com

このアイコンから行えるのは、設定を開く、更新を確認する、アプリを終了する、の3つです。逆に言えば、この3つは検索窓からも実行できます。設定は⌘ ,、更新の確認とアプリの終了はどちらもコマンド名を打てば出てきます。

そのため、メニューバーの幅が足りていないMacでは、この項目を切っても日常の操作は変わりません。切ったあとで設定に戻れなくなる心配もありません。呼び出しキーで窓を出して「Settings」と打てば同じ場所に着きます。

一方で残す判断もあります。更新の有無を目で確かめたい場合や、動作が重いときにすぐ終了させたい場合は、アイコンが1つあるほうが速い場面があります。判断の分かれ目は、そのMacのメニューバーにあと1つ入る余地があるかどうかです。なお、この項目は複数のMacで同じアカウントを使っている場合、同期される設定の一覧にも含まれています。片方で切ると、もう片方にも反映されます。

拡張機能を入れる前に、増える常駐項目を数える

見落とされやすいのは、本体のアイコンを消しても、拡張機能が置く項目は別に増えるという点です。

例として、カレンダーの機能には次の予定をメニューバーに表示する設定があります。表示する条件は、常に出す、予定が近いときだけ出す、開始まで何分を切ったら出す、といった形で選べます。会議だけに絞る、終わったら自動で消す、といった調整もできます。集中のためのセッションを扱う機能も、進行中のセッションをメニューバーに寄せる操作を持っています。

つまり、拡張機能を10個入れれば10個のアイコンが増えるわけではありませんが、常駐する項目を持つ拡張機能を選ぶたびに1つずつ増えていきます。入れる前に「これはメニューバーに何かを置くか」を確かめておくと、あとで並びを整理する手間が減ります。

拡張機能の追加と削除は設定の一覧から行えます。並んでいる拡張機能を選んでアンインストールを押せば消えます。個別のコマンドだけを無効にすることもできるので、拡張機能ごと消さずに、常駐する部分だけを止めるという選び方もできます。

隠す道具を併用する場合の考え方はできることにまとめてあります。隠したアイコンを押すまでに何回操作が要るかは道具によって違い、隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開けるかどうかが、毎日の操作数を分けます。

検索窓の見え方は、最初に自分の画面に合わせる

見た目の設定は後回しでよいと書きましたが、最初に1度だけ触っておくと快適さが変わる項目が3つあります。

  • Window Mode。詰めて表示するモードを選ぶと、1画面に出る候補の数が増えます
  • Interface Size。3段階から選べて、文字も入力欄も一緒に拡大されます
  • Show Raycast on。複数のディスプレイを使っている場合、マウスのある画面、作業中の窓のある画面、主画面のどれに出すかを指定できます

もう1つ、窓を閉じたあとに検索の先頭へ戻るまでの待ち時間も指定できます。すぐ戻す設定のほか、最長で180秒まで待たせることができます。同じ作業を続けている間は前の場所に留まってほしい、という使い方に向いた設定です。

複数のディスプレイを使っている場合、この3つを既定のままにすると、窓が思っていない画面に出ることがあります。最初に決めておけば、以後は意識せずに済みます。

設定は、書き出しておくと入れ直しが速い

設定の詳細タブには、設定全体をファイルに書き出す機能と、それを読み込む機能があります。書き出したファイルには、拡張機能、ホットキー、別名、各種の設定が含まれます。

この機能が効いてくるのは、Macを買い替えたときと、アプリを入れ直したときです。特に後者は、不具合の切り分けのために一度消して入れ直す場面で使います。書き出しがないと、権限もホットキーも拡張機能の設定も、すべて手で作り直すことになります。

複数のMacで同じアカウントを使う場合は、同期の仕組みも別に用意されています。同期の対象に入るのは、コマンドや短文、メモ、テーマ、ウィンドウ配置などです。ただし、クリップボードの履歴は同期されず、常に端末の中だけに残ると明記されています。移行の前に確認しておく点です。

なお、v2の動作環境はmacOS Tahoe(Apple silicon)と案内されています。加えて、手動でインストールしたときに「両方を残す」を選ぶと、アプリが2つ並んで古いほうが起動し続けるという注意も出ています。この場合は両方を消してから入れ直す手順が案内されています。入れ直しの前に設定を書き出しておく理由の1つがここにあります。

案内サイトに届く質問から見える、決める順番

案内サイトに寄せられる質問を内容で分けると、機能の一覧に関するものより、権限と常駐に関するものが先に来ます。これは初期設定の解説の並び順とは逆です。解説は機能の紹介から始まりがちですが、実際に手が止まるのは、キーが効かない場面と、アイコンが増えていた場面です。

この差は、この記事で4項目を先に決めるよう書いた理由そのものです。機能は使いながら覚えられますが、常駐と権限は、決めないまま動き続けます。道具ごとの前提の違いはほかの道具との違いに整理してあり、隠す道具を併用する場合の費用の考え方は料金に一覧があります。

もう1つ、質問の内容から見えるのは、乗り換えや入れ直しでつまずく場所が設定ファイルではなく分類だという点です。どのアイコンを常に見せ、どれを普段は隠し、どれを常に隠すか。この3分類さえ決まっていれば、入れ直しは短時間で終わります。決まっていないと、道具を変えるたびに同じ判断をやり直すことになります。実際に届く疑問と回答はよくある質問に、導入の手順はダウンロードにまとめてあります。

よくある質問

呼び出しのキーは既定のままでよいですか?

覚えるキーを1つに絞りたいなら⌘ Spaceへ置き換え、Spotlightと併用したいなら既定の⌥ Spaceのままで問題ありません。置き換える場合は、システム設定でSpotlightの「Spotlight検索を表示」、入力ソースの切り替え、Siriのショートカットの3か所を先に外します。この3つを外さないと、キーが登録できないか、窓が出るまでに待ちが入ります。

権限はすべて渡す必要がありますか?

必要ありません。アクセシビリティはホットキーとスニペットの展開に、画面収録はウィンドウの整列に、マイクは音声入力に使われます。使わない機能の権限は渡さなくても、残りの機能は動きます。渡す権限が少ないほど、macOSの更新後に確認する場所も減ります。

メニューバーのアイコンを消すと、設定を開けなくなりますか?

なりません。アイコンから行えるのは設定を開く、更新を確認する、アプリを終了するの3つで、いずれも検索窓から実行できます。設定は⌘ ,、更新の確認と終了はコマンド名を打てば出てきます。メニューバーの幅が足りていない場合は、切っても日常の操作は変わりません。

拡張機能を増やすとメニューバーの項目も増えますか?

常駐する項目を持つ拡張機能を選んだ場合だけ増えます。例えば予定を表示する機能や、進行中のセッションを扱う機能はメニューバーに項目を置きます。入れる前に常駐の有無を確かめ、必要なら拡張機能ごと消さずに個別のコマンドだけを無効にするという選び方もできます。

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