Rectangleの代わりを探すとき|手放してよい機能を先に決める
ウインドウを画面の半分に揃える道具を入れ替えたい。理由は人によって違い、動作が合わない、機能が足りない、逆に多すぎる、あるいは常駐アプリを1本でも減らしたい、というものまであります。「Rectangle daitai」で検索したときに出てくる一覧記事の多くは候補を並べるだけで、自分が何を手放してよいのかを決める材料までは出してくれません。
先に順番を示します。代わりを探す作業は、候補を比べるところから始めると必ず長引きます。始めるべきは、いま使っている機能のうち手放してよいものを決めることです。ウインドウ整列の道具は機能の重なりが大きく、価格の差より「その1つがあるかどうか」で決まる場面がほとんどだからです。手放してよい範囲が決まれば、候補は数個に絞れます。
以下では、機能を分解する軸、macOS標準でどこまで足りるか、2026年9月10日時点で確認できる各候補の条件、開発が止まった製品の扱い方、そして設定の持ち出しについて順に整理します。
手放してよいものを決めるために、機能を8つの軸に分ける
この種の道具が持っている機能は、次の8つに分解できます。自分がどれを毎日使っているかを、この順で数えてみてください。
- キーボードショートカットでの整列(左半分、右半分、最大化など)
- 画面の端や角へドラッグしたときの吸着
- 三分割、六分割、九分割のような細かい格子への配置
- 複数のディスプレイをまたぐ移動
- ウインドウの間や画面の端に空ける余白の指定
- 特定のアプリを画面の脇に固定しておく作業用の配置
- メニューバーの一覧から選ぶ操作
- 設定の書き出しと読み込み
この分解には理由があります。候補の一覧記事は「できることが多い順」で並んでいることが多く、そのまま読むと機能の多い製品が良く見えます。しかし常駐アプリの価値は、持っている機能の数ではなく、自分が毎日触る2つか3つがどれだけ手に馴染むかで決まります。8つの軸に分けてから数えるのは、その2つか3つを言葉にするためです。
多くの人は、実際には最初の2つと4つ目しか使っていません。ここを正直に数えると、候補は一気に増えます。逆に、5つ目や6つ目を毎日使っている場合は、候補が2つか3つまで減ります。比較表を眺める前にこの数え方をしておくと、判断の時間が短くなります。
macOS標準のタイル表示で足りる範囲を先に確かめる
現行のmacOSには、ウインドウを画面の端へ寄せて並べる仕組みが本体に入っています。システム設定のデスクトップとDockの中に、ウインドウを画面の端へドラッグしたときに並べるかどうか、上端へドラッグしたときの扱いをどうするか、並べたウインドウの間に余白を入れるかどうかといった項目が用意されています。これらは内部的にも独立した設定として保持されており、macOS 26.6.2の環境で確認すると、ウインドウ管理の設定領域に該当する項目が並んでいることが分かります。
標準機能で足りるかどうかの分かれ目は、はっきりしています。
| 使いたいこと | 標準機能 | 追加の道具 |
|---|---|---|
| 左右半分に並べる | できる | できる |
| 角に四分割で置く | できる | できる |
| 三分割や六分割 | 用意されていない | 製品による |
| 好きなキー割り当てで呼び出す | 割り当ての自由度が低い | できる |
| 画面の端に余白を空ける | 余白の有無のみ | 数値で指定できる製品がある |
| 特定のアプリを脇に固定 | 用意されていない | 製品による |
半分と四分割しか使っていないなら、追加の道具を入れずに済ませる選択肢が現実的です。この判断には副次的な効果もあります。常駐アプリが1本減り、メニューバーの枠が1つ空きます。代わりを探す作業の本当の出口が、標準機能への移行だったという例は珍しくありません。
2026年9月10日時点で確認できる各候補の条件
ここからは、実際に選べる候補の条件を並べます。金額はいずれも2026年9月10日に各配布元で確認した値で、日本の価格を記載しています。為替や税の扱いで変わるため、購入の前には必ず現在の表示を確認してください。
| 候補 | 入手先 | 価格 | 対応 | 直近の更新 |
|---|---|---|---|---|
| 現行の無料版 | 配布サイト、Homebrew | 無料(MITライセンス) | macOS 10.15以降 | 2026年8月26日(v1.100) |
| 同じ作者の上位版 | 配布サイト(Paddle経由) | 1,564円(買い切り) | 記載あり | 2026年時点で継続 |
| Magnet | Mac App Store | 490円 | macOS 13.0以降 | 2025年4月12日 |
| BetterSnapTool | Mac App Store | 300円 | macOS 10.12以降 | 2024年9月5日 |
| Moom Classic | Mac App Store | 1,100円 | macOS 10.13以降 | 2026年7月6日 |
| Moom(直販版) | 開発元サイト | 15米ドル(更新権1年以上を含む) | macOS 10.13以降 | 2026年時点で継続 |
| Loop | 配布サイト、GitHub | 無料(オープンソース) | macOS 13以降 | 継続中 |
上位版について補足します。日本からの購入では1,564円(税込)と表示され、米国では9.99米ドルです。買い切りで、1つのライセンスを同時に3台まで有効にできると配布元が明記しています。試用は10日間です。無料版で使っていたショートカットの設定を読み込む機能も持っています。
Moomについては、同じ名前で2つの製品が並んでいる点に注意が要ります。Mac App Storeにあるものは「Moom Classic」という名前で1,100円、開発元の直販は15米ドルで、過去に購入していれば8米ドルで移行できると案内されています。直販側には少なくとも1年ぶんの更新が含まれ、ライセンス自体は期限なく有効だと書かれています。名前が似ているため、価格だけを見て選ぶと想定と違う版に行き着きます。
価格以外に確かめる4点は、終了、新規受付、運営、改定
比較記事が古くなる原因は、価格ではなく前提のほうが変わることです。候補を絞ったら、次の4点を必ず自分で確認してください。
ひとつ目は、開発が続いているかです。この分野には、長く定番として使われた製品が公開されたまま更新を止めている例があります。開発者自身が状況を書き残していることもあります。
This project is not being actively maintained. Unfortunately, after almost a decade of on-and-off development I can no longer dedicate the time needed to be a responsible maintainer of this project. 出典: github.com(2026年9月10日確認)
この記述を残した製品は、現在の無料版の土台になったものです。作者自身が後継として現行の無料版を挙げており、乗り換え先として名前が出ています。ダウンロード自体は今も可能なため、検索結果には残り続けます。入手できることと、これから使い始めてよいことは別だという例です。
ふたつ目は、新規の受付が続いているかです。配布は続いていても新規販売を止めている製品はあります。みっつ目は運営元が変わっていないかです。この分野では、メニューバー整理の定番だった製品が2024年に運営元を移した例があり、利用者の間で確認事項になりました。よっつ目は価格改定です。買い切りだった製品が更新権付きの形へ移る動きは、ここ数年でいくつか起きています。
最終更新の日付も、この4点を見るときの手掛かりになります。上の表で言えば、Mac App Storeに並ぶ製品の間でも直近の更新日には2年近い開きがあります。更新が止まっていること自体は欠陥ではありませんが、次のmacOSで挙動が変わったときにどうなるかは、日付から推し量るしかありません。
試す前に、権限と常駐の後始末を決めておく
候補を実際に入れて比べる段階で、もうひとつ確認しておきたいことがあります。この種の道具はどれもアクセシビリティ権限を求めます。ウインドウを他のアプリに代わって動かす以上、避けられません。候補を3つ入れて試すと、システム設定の一覧に3つのアプリが並び、どれが何のために許可されているのか分からなくなります。
後始末を楽にするなら、試す前に次を決めておいてください。ひとつは、同時に試すのは2本までにすること。同じ役割のアプリを3本以上常駐させると、ショートカットの取り合いが起きて、どの製品の挙動を見ているのか判別できなくなります。もうひとつは、外すときに権限の一覧からも消すことです。アプリを捨てただけでは一覧に名前が残り、次に別の製品を入れたときの切り分けを難しくします。
導入経路も決めておくと後が楽になります。パッケージ管理の仕組みで入れておくと、外すときに設定まで含めて片付ける指定が使えます。手で入れた場合は、設定の保存領域が残るため、同じ製品を入れ直したときに前の状態が復活します。試用のつもりが元に戻せなくなる、という状況はここから生まれます。
設定を持ち出せるかどうかで、乗り換えの手間が変わる
代わりを探すときに見落とされやすいのが、いまの設定を持ち出せるかどうかです。現行の無料版は、設定画面からJSON形式で書き出し、別のMacで読み込めます。設定の実体は ~/Library/Preferences/com.knollsoft.Rectangle.plist にあり、このファイル自体を控えておく方法も案内されています。起動時に所定の場所へ置かれたファイルを読み込む仕組みもあります。
ただし、書き出したものが他社の製品でそのまま読めるわけではありません。形式は製品ごとに違うため、乗り換えでは結局ショートカットを手で入れ直すことになります。割り当ての数が多い人ほど、この作業量が乗り換えの実質的な費用になります。試す前に、いま何個のショートカットを割り当てているかを数えておくと、見積もりが立ちます。
常駐アプリを入れ替えるときに発生する、メニューバー側の費用
道具を入れ替えるときに、金額と手間のほかに必ず発生する費用があります。メニューバーの枠です。ウインドウ整列の道具はほぼすべてが常駐アプリで、アイコンを1つ置きます。乗り換えの検討中は、旧版と新版の両方を入れて比べたくなるため、一時的に枠が2つ埋まります。
枠の側から見ると、比較の期間をどう過ごすかが重要になります。両方を出したまま数日使うと、押し間違いが起きて比較の結果が濁ります。片方を畳んだ状態にしておけば、常駐は残したまま並びは片方だけになり、比較の条件が揃います。畳んだアイコンをその場で押せるかどうかは道具によって差があり、扱える範囲はできることにまとめてあります。
道具ごとの考え方の違い、たとえば隠す対象の選び方や、条件によって出し入れする仕組みの有無はほかの道具との違いで比べられます。整理する道具そのものの費用の形は料金にあり、買い切りか継続かを先に決めてから比べたほうが判断が早くなります。導入の手順や対応するmacOSの世代でつまずきやすい点はよくある質問に整理してあります。
最後に、乗り換えの進め方として現実的な順序を挙げておきます。まず標準機能だけで1週間過ごし、足りなかった操作を書き出す。次に、その操作を持つ候補だけに絞る。そのうえで試用のある製品から試し、比較の期間はメニューバーの並びを片方だけにしておく。この順で進めると、候補を全部入れて比べる場合より短い時間で決着が付きます。
よくある質問
無料のままで使い続けても問題はありませんか?
現行の無料版はMITライセンスで公開されており、費用の面での期限はありません。2026年8月26日にv1.100が公開されるなど更新も続いています。上位版との差は、投げる操作や作業一式の保存、設定のiCloud同期といった追加機能であり、半分や四分割の整列だけを使うなら無料版で足ります。
macOS標準のタイル表示だけで足りるか、どう見分けますか?
半分と四分割しか使っていないなら足ります。分かれ目になるのは、三分割や六分割のような細かい格子、キー割り当ての自由度、画面の端に空ける余白の数値指定、特定のアプリを脇に固定する使い方の4つです。このどれかを毎日使っているなら追加の道具が要ります。1週間標準機能だけで過ごすと判断が付きます。
Moomの価格が調べる場所によって違うのはなぜですか?
同じ名前で2つの製品が並んでいるためです。Mac App Storeにあるものは「Moom Classic」という名前で1,100円、開発元の直販は15米ドルで、過去の購入者は8米ドルでの移行が案内されています。直販側には少なくとも1年ぶんの更新が含まれます。買う前にどちらの版かを確認してください。
開発が止まっている定番アプリを、今から入れても大丈夫ですか?
入手はできても、次のmacOSで挙動が変わったときに手当てされる保証はありません。開発者自身が維持していない旨を公表している製品もあり、その場合は後継として別の製品が挙げられていることがあります。長く使う前提なら、価格より先に直近の更新日と開発の継続状況を確認してください。