xbarの料金と無料でできる範囲|買い切りか、継続課金か
xbar の料金を調べたということは、入れる前に費用を確かめたいか、すでに入れていて後から請求が来る種類のものかを確認したいか、どちらかだと思われる。結論を先に書くと、xbar には値札が付いていない。ただし「無料」という一語で片付けると見落とすものがあるので、この記事では、費用がどこで発生し、何を対価にしているのかを、公開されている情報から順に確認していく。
値札は付いていない。有料版という区分そのものが存在しない
xbar は無料で配布されている。無料版と有料版に分かれていて機能に差がある、という作りではなく、区分自体が存在しない。ダウンロードして使えるものが全部である。
ライセンスは MIT で、ソースコードは公開されている。MIT ライセンスは、著作権表示を残せば商用利用も改変も再配布も認める形式なので、業務で使う端末に入れる場合でも追加の許諾は要らない。社内の端末に配る場合も同様である。台数によって金額が変わる仕組みも、期限が来て使えなくなる仕組みも用意されていない。
利用者から見た費用の話は、これでほぼ終わる。以降で扱うのは、値札が無いことの裏側にあるものになる。
お金の流れは寄付に一本化されている
開発を続ける費用がどこから出ているのかは、公式サイトが明示している。
If you use xbar, please consider sponsoring it on GitHub 出典: xbarapp.com
寄付の受け皿は GitHub のスポンサー機能で、金額の段は月額2ドルから1,024ドルまで用意されている。月額のほかに一度きりの支払いと、自分で金額を決める枠もある。ページには月間スポンサー50人という目標が掲げられており、2026年9月時点の達成度は10パーセントと表示されている。
この数字が示しているのは、xbar の収入が売上ではなく善意の側にあるということである。払っても機能が増えるわけではなく、払わなくても制限はかからない。つまり支払いは対価ではなく、開発を続けてほしいという意思表示になる。有料アプリで払う金額とは性質が違うので、社内の経費として扱う場合は購入ではなく寄付として処理することになる。
無料のアプリでも、費用が発生する場所は3つある
xbar 本体に金銭の負担はないが、運用の全体で見ると出費が生じうる場所がある。
- プラグインが呼び出す外部サービスの利用料。株価や為替、クラウドの請求額、監視ツールの状態を出すプラグインは、その裏で API を叩いている。無料枠を超えれば当然その分が請求される
- プラグインが必要とする処理系。配布されているプラグインには、Python や Ruby、Node.js などを前提にしたものがある。これらは無償で導入できるが、社内規定で導入できる範囲が決まっている環境では確認の手間が発生する
- 作った人の時間。自作のプラグインを業務で使う場合、書く時間と直す時間はそのまま人件費になる
このうち後から効いてくるのは3つ目である。配布されているプラグインをそのまま使う分には手間は小さいが、社内のシステムに合わせて書き換えた瞬間、それは保守対象のスクリプトになる。無料の道具を選ぶときは、この維持の手間をどこが持つのかを先に決めておきたい。
配布側にも費用は出ている。macOS 向けに警告なしで配れる形にするには Apple の開発者プログラムへの登録が必要で、その登録料は公開されている。
Apple Developer Programの年間登録料は99米ドル、Apple Developer Enterprise Programの年間登録料は299米ドルです 出典: developer.apple.com
配布されている xbar の実体を調べると、Developer ID による署名と公証の手続きを通した状態になっている。無料で配られていても、配る側は年99ドルの固定費を負担している計算になる。
買い切り、継続課金、寄付の3つを同じ表で見る
支払いの形が違うと、金額よりも「困ったときに何が起きるか」が変わる。常駐アプリを選ぶときは、そちらのほうが後で効いてくる。
| 支払いの形 | 初期の費用 | 不具合が出たときの窓口 | 使えなくなる条件 |
|---|---|---|---|
| 買い切り | 購入時に1回 | 販売元のサポート | 大型更新で対象外になる場合がある |
| 継続課金 | 毎月または毎年 | 販売元のサポート | 支払いを止めたとき |
| 寄付(xbarはこの形) | 0円 | 課題管理への投稿 | 明示的な条件は無い |
xbar が当てはまる3行目には、費用の欄に何も入らない代わりに、窓口の欄に「課題管理への投稿」と書くほかない。有償のサポート契約が用意されていないため、不具合の報告先は公開されている課題管理になる。返答があるかどうか、いつ直るかは、開発の状況によって変わる。
表の1行目と2行目にも、金額の外側の違いがある。買い切りは支払いが一度で済む代わりに、macOS の大型更新に合わせて新しい版を買い直す形になることがある。継続課金は支払いが続く代わりに、その期間中の更新が価格に含まれている。どちらを選んでも、支払いを止めた瞬間に何が起きるかを先に確認しておきたい。
この違いは優劣ではなく、性質の違いである。止まっても自分で回避できる用途なら寄付型で困らないし、止まった時間がそのまま損失になる用途なら、窓口のある形にお金を払う判断も成り立つ。判断の分かれ目は金額ではなく、その道具が止まったときに誰が動くのかという点にある。
更新の履歴が、値段の代わりに見る指標になる
値札が無いソフトを評価するときは、価格の代わりに更新の履歴を見ることになる。xbar については、公開されている記録から次のことが分かる。
タグの付いた最後のリリースは v2.1.7-beta で、日付は2021年10月29日である。アプリ本体のリポジトリの最終更新は2024年9月にとどまっている。公式サイトの表示にも、2024年8月に組み上げられた版であることが記されている。一方で、プラグインを集めているリポジトリのほうは2026年8月にも更新があり、部品側の動きは続いている。開いたままの課題は186件で、2026年7月には開発を再開する予定があるかを尋ねる投稿が立っているが、この投稿には返答が付いていない。
この状態をどう読むかは用途による。プラグインの仕組み自体は完成しており、日々の使用に支障が出ているという報告が集中しているわけでもない。ただし、macOS の新しい版で何かが変わったときに、すぐ追随する体制があるとは言いにくい。0円という金額には、その待ち時間が含まれていると考えるのが実際的である。
実務での備え方は単純で、依存の度合いを下げておくことに尽きる。xbar が出している情報のうち、止まると業務が止まるものがあるなら、その情報には別の確認経路を1本用意しておく。逆に、あれば便利という程度の情報しか出していないなら、更新が止まっていること自体は費用の判断に大きく響かない。値札が無い道具を選ぶときは、性能や機能より先に、この依存の深さを決めるほうが実利がある。
使っている人の規模も、判断材料になる
値札が無いソフトでは、売上の代わりに利用者の数が継続性の手がかりになる。xbar のリポジトリには、2026年9月時点で18,100件の星が付いており、複製された枝分かれは657件ある。パッケージ管理の Homebrew が公開している導入数では、直近1年で3,908件が記録されている。
星の数は過去の評価の蓄積なので、いま使われている量とは一致しない。一方の導入数は現在進行形の数字で、こちらは1日あたりおよそ10件のペースになる。両方を見ると、盛り上がったのは数年前で、いまは緩やかに新規が続いている、という形が見える。
利用者が多いことの実利は、困ったときに先例が見つかりやすい点にある。有償のサポート窓口が無い代わりに、同じ症状の報告と回避策が公開されている確率が高い。無料の道具を業務に入れる場合、この「先例の多さ」は費用の一部を肩代わりしていると考えてよい。逆に、利用者が少ない無料の道具では、この肩代わりが期待できない分だけ、自分で調べる時間が増える。
社内の端末に入れるときに確認しておく点
個人利用なら費用の話はここまでで足りるが、会社の端末に入れる場合は別の確認が要る。金額がゼロでも、承認の手続きは発生するからである。
- ライセンスの条項。MIT は商用利用を認めているが、社内規定でライセンス種別の一覧を提出する運用になっている場合は、その欄に記載が要る
- 配布物の出どころ。公式サイトと開発元のリポジトリのいずれから取得したかを記録しておく
- 署名と公証の状態。配布されている版は Developer ID による署名が付いており、macOS の検証を通る状態にある
- 版の固定。最後のリリースは2021年10月の版なので、自動更新で中身が変わる心配は当面小さい
- プラグインの扱い。本体の審査を通しても、あとから追加するプラグインは別のスクリプトであり、そちらの扱いを決めておく必要がある
最後の項目が実務では一番効く。プラグインは利用者が自由に追加できる実行ファイルであり、外部と通信するものもある。本体の導入可否だけを審査して、プラグインを野放しにすると、審査した意味が薄れる。無料であることが導入のハードルを下げる分、この線引きは先に決めておきたい。
費用ゼロでも、メニューバーの場所は支払っている
見落とされやすいのは、金額以外の対価である。xbar はプラグイン1本につきメニューバーの表示枠を1つ使う。プラグインを5本入れれば、画面上部の一等地を5つ渡していることになる。この場所は、通知の状態、入力ソース、電源、通信の状態といった、macOS 本体の表示と取り合いになっている領域である。
切り欠きのある MacBook では、この取り合いはさらに厳しくなる。前面のアプリのメニューが長いと、右側の項目が押し出されて見えなくなる。無料で入れたものが、有料のアプリの表示枠を押し出している、という状態は珍しくない。費用の比較をするなら、金額の欄の隣に「メニューバーを何席使うか」の欄を足しておきたい。
席を空ける方法は2つある。プラグインを減らすか、表示を畳む道具を入れるかである。後者を選ぶ場合、畳んだあとに押しにくくなるかどうかで使い勝手が大きく変わる。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りなら、畳んだ状態のまま操作が完結する。何ができるのかはできること、整理の考え方の違いはほかの道具との違いにまとめてある。
支払う相手を決める前に、確かめておく3点
無料の道具と有料の道具を並べて比べるとき、金額の欄だけを見比べると判断を誤りやすい。確かめる欄を増やしておくとよい。
第一に、止まったときに誰が直すのか。寄付型では基本的に自分か、有志の誰かになる。第二に、macOS の新しい版が出たときの追随の速さ。ここは過去の更新の間隔から推測するしかない。第三に、使うのをやめるときの手間である。設定やプラグインがどこに保存されるかを把握していれば、乗り換えも撤去も短時間で終わる。
有料の道具を検討する場合の金額と条件は料金に、動作環境や支払い方法についての疑問はよくある質問に整理してある。実際の使い勝手を確かめてから決めたい場合はダウンロードから試せる。金額が同じでも、支払いの形と窓口の有無で残る手間は変わる。そこまで含めて比べたときに、はじめて「安い」かどうかが決まる。
よくある質問
xbarに有料版はありますか?
ありません。無料版と有料版という区分そのものが存在せず、配布されているものがすべてです。ライセンスはMITで、商用利用や社内の端末への配布にも追加の許諾は不要です。台数による課金や、期限切れで使えなくなる仕組みも用意されていません。
開発者に支払う方法はありますか?
GitHubのスポンサー機能を通じた寄付が用意されており、月額2ドルから1,024ドルまでの段と、一度きりの支払い、金額を自分で決める枠があります。支払っても機能が増えるわけではないため、購入ではなく開発の継続に対する意思表示として扱われます。
無料なのに費用が発生することはありますか?
本体に費用はかかりませんが、プラグインが呼び出す外部サービスの利用料、プラグインが必要とする処理系の導入、自作したスクリプトを保守する時間の3か所で負担が生じます。特に業務で書き換えて使う場合、保守の担当を先に決めておくと後で困りません。
無料と有料のどちらを選ぶかは何で判断すればよいですか?
金額よりも、止まったときに誰が直すのかで判断すると迷いません。有償のサポート窓口がある形か、公開された課題管理に投稿する形かで、復旧までの時間が変わります。あわせて、メニューバーを何席使うかも比較の欄に加えておくと実態に近い比較になります。