Bartenderの代わりを探すとき、先に手放してよい機能を決める

メニューバーのアイコンが右から左へ伸びて、目的のひとつを押すまでに視線が何度も往復する。その状態を直すために入れた道具の代わりを探し始めると、たいてい比較表の前で止まります。どの候補にも機能が並んでいて、多いほうが良さそうに見えるのに、自分にとって何が要るのかが決まっていないからです。

代わりを探す作業は、候補を並べることから始めると終わりません。先に決めるのは、いま使っている道具の機能のうち何を手放してよいかです。手放せる機能が3つ決まった時点で、候補は自然に2つか3つまで減ります。以下では、現行版が持っている機能の一覧、使っている機能と名前だけ知っている機能の分け方、手放すと痛い機能とそうでない機能の見分け方を順に整理します。

代わりを探す動機は、大きく3つに分かれる

同じ「代わりを探す」でも、出発点が違えば選ぶべきものが変わります。実際に多いのは次の3つです。

  • 手元のMacのmacOSの版が合わない。現行のBartender 6はmacOS TahoeとSequoia向けに作られていて、Sonomaで使い続ける場合は同じライセンスでBartender 5を使う案内になっています
  • 課金の形が自分の使い方に合わない。買い切り、年ごとの継続課金、上位の買い切りという3つの区分が並んでいて、どれを選ぶかで数年後の総額が変わります
  • 所有者が変わったこと自体が引っかかる。公式サイトの著作権表記はApplause Group, Inc.で、売却が公になったのは2024年6月でした

3つ目については、判断の材料として経緯を知っておけば足ります。アプリの公開は続いていて、著作権表記の年は2026年になっています。事実として何が起きたかは公開されている報道で確認できます。

Bartender, the most popular app to manage your Mac's menu bar items, silently sold to a new owner, with no official announcement made at the time of the sale. 出典: macrumors.com

動機がこの3つのどれなのかで、代わりに求めるものは違ってきます。macOSの版が理由なら対応OSの下限だけを見れば済みます。課金の形が理由なら、機能ではなく支払いの区分を見ることになります。所有者が理由なら、機能は現状維持のまま公開元だけを替えたいという要求になり、いちばん条件が厳しくなります。

現行版が持っている機能を、いったん全部並べる

手放してよいものを決めるには、まず手元にあるものの一覧が要ります。公式サイトに記載されている機能を整理すると、次のようになります。確認日は2026年9月10日です。

機能 何をするものか
表示の切り替え メニューバーでのスワイプ、スクロール、クリック、ホバーで隠した項目を出す
ノッチ対応 MacBookのノッチで隠れる項目に届くよう、表示中の項目を自動で退避させる
専用のバー 隠した項目を、メニューバーの下に置いた別のバーに並べる
見た目の調整 色や階調、枠線、影、角の丸み、スペースごとの見た目
グループ 関連する項目をひとつにまとめ、押すと中身に届く
プリセット 仕事用、自宅用、画面共有用など、並びの組をまるごと切り替える
条件による切り替え 電池、Wi-Fi、場所、時刻、日付などの条件でプリセットを自動で当てる
間隔の調整 項目と項目の間隔を詰めて、表示できる数を増やす
検索 キーボードから項目を探し、表示し、実行する
ウィジェット 任意の動作を起こす項目を自分で作る(ベータ)
上位の機能群 ノッチの領域に時計や音量、天気などを置く別建ての機能

一覧にして眺めると、性質が3層に分かれていることが分かります。1層目は隠すことそのもの。2層目は隠したあとに触るための仕組み。3層目は見た目と自動化です。代わりを探すときに実質の差が出るのは1層目と2層目で、3層目は「無くても仕事は進むが、あると気分がいい」に寄ります。

使っている機能と、名前だけ知っている機能を分ける

一覧ができたら、次は自分がどれを実際に使っているかを確かめます。記憶で答えると多めに申告してしまうので、記録を取るほうが早く終わります。

やり方は単純です。設定画面を開いて、いま有効になっている機能をそのまま書き出します。次に、直近1週間で自分が実際に操作した機能に印を付けます。プリセットを切り替えた回数、条件による自動切り替えが働いた場面、検索から項目を呼び出した回数を数えます。7日間で一度も動かなかった機能は、設定してあるだけで使っていない機能です。

この作業をすると、多くの場合で結果は似た形になります。毎日使っているのは隠す機能と、隠したものを出す動作の2つだけ。プリセットは作ったきり、条件による切り替えは設定した日以来触っていない。見た目の調整は最初の30分で決めて、それ以降は変えていない。この状態なら、手放してよい機能は最初から半分以上あることになります。

逆に、記録を取ってみて条件による切り替えが毎日働いていたなら、それは手放せない機能です。会議のたびに画面共有用の並びへ自動で切り替わっているなら、その1点だけで候補は大きく絞られます。同じ仕組みを持つ道具は多くありません。

手放しても困りにくい機能、手放すと毎日効いてくる機能

分けた結果を、痛みの大きさで並べ直します。判断の軸は「無くなったとき、代わりに何回の操作が必要になるか」です。

手放しても困りにくいのは次のようなものです。

  • 見た目の調整。色や枠線が無くても、探す速さは変わりません
  • 間隔の詰め。表示できる数が数個減りますが、隠す機能があれば問題になりにくい部分です
  • ウィジェット。自分で項目を作る機能は、使っていなければ影響がありません
  • 専用のバー。隠した項目を別の場所に並べる仕組みは、出し方の選択肢のひとつです

手放すと毎日効いてくるのは次の2つです。

  • 隠したアイコンへの触り方。隠したままで押せるのか、いったん全部を表示してから押すのかで、1回あたりの操作数が変わります。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける形なら、動作は1回で済みます。表示してから押す形では2回になります
  • キーボードからの呼び出し。項目名を打って呼び出す仕組みに慣れていると、無くなったときの落差が大きい部分です

この2つを軸に候補を見ると、機能の数が多い順ではない並びになります。機能一覧の行数ではなく、毎日繰り返す動作が何回かで比べるのが実際的です。道具ごとの隠し方や対応するmacOSの世代を並べた表はほかの道具との違いで確認できます。

ノッチと権限は、機能の一覧に出てこない実務の差

比較表に載りにくいのに、使い始めてから効いてくる点が2つあります。

ひとつはノッチです。MacBook AirとProの画面上部にあるくぼみは、メニューバーの項目を物理的に隠します。項目が増えると、ノッチの左側に押し出された項目は見えなくなります。現行版はこの状況で表示中の項目を自動で退避させ、隠れていた項目に届くようにする作りになっています。ノッチのある機種を使っていて、常駐アプリが10個を超えているなら、この挙動があるかどうかは候補を選ぶ実質の条件になります。

もうひとつは権限です。メニューバーの並びを読み書きする道具は、macOSのプライバシーとセキュリティの設定で許可を与える必要があります。画面収録に関する許可を求める作りの場合、macOSは画面の一部が読まれていることを示す表示を出します。この表示はmacOS側の仕組みで、アプリの側では消せません。

This is a macOS feature and is not caused by Bartender. This cannot be hidden or disabled. It is a macOS security feature to let you know that an app is reading part of the screen. 出典: macbartender.com

候補を選ぶときは、その道具がどの権限を求めるかを先に確認します。求める権限が少ない道具ほど、macOSの版が上がったときに壊れる場所も少なくなります。何をするために何の許可が要るのかはできることで、機能ごとに整理されたものを確認できます。

候補を絞る手順を、順番どおりにやる

ここまでの材料が揃ったら、実際の絞り込みは4つの手順で終わります。

1つ目は分類です。メニューバーの項目を、常に見せるもの、普段は隠すもの、常に隠すものの3つに分けます。この分類は道具が変わっても持ち出せる資産で、乗り換え先で最初にやる作業もこれになります。

2つ目は必須機能の確定です。前の節で「手放すと毎日効いてくる」に入れた機能だけを必須にします。ここに5つも6つも入れると候補が残りません。多くても3つに絞ります。

3つ目は試用です。常駐して毎日触る道具は、機能一覧を読んでも判断できません。自分のMacで、自分の常駐アプリの数で動かして初めて分かります。試用の期間と条件は道具ごとに違い、現行版の場合はカード登録なしの4週間の試用が案内されています。候補にも同じように試せるものがあるかを確認します。

4つ目は費用の確認です。買い切りか継続課金か、含まれる更新の範囲はどこまでか、台数の条件はどうかを見ます。区分ごとの金額と含まれる範囲は料金で並べて確認できます。

この順番を守ると、比較に使う時間が短くて済みます。逆に費用から入ると、金額の差が数百円しかない候補の間で長く迷うことになります。

試用中に確かめる、機能表に書いていない5項目

試用の期間は限られています。その間に確かめるべきなのは、機能があるかどうかではなく、自分の使い方で成立するかどうかです。

  • 隠した項目を押すまでの動作数。よく使う3つのアイコンについて、実際に数えます
  • 再起動したあとの並び。Macを再起動して、項目の順番が保たれているかを見ます
  • macOSの更新直後の挙動。小さな更新でも権限がリセットされることがあります
  • 複数のディスプレイをつないだときの表示。外部ディスプレイ側のメニューバーで期待どおりに動くかを確認します
  • スペースを切り替えたときの追随。仮想デスクトップを分けて使っているなら、切り替えの速さも見ます

このうち2つ目と3つ目は、試用の初日には分かりません。試用を始める日を、Macを再起動する予定の前に置いておくと、期間内に両方を確かめられます。導入の手順や動作の条件はダウンロードのページで確認できます。

独自データの考察: 候補が絞れない理由は、要件が決まっていないこと

案内サイトに寄せられる質問を機能の種類で分けると、隠したあとの触り方に関するものが最も多く、次に権限に関するものが続きます。これは機能一覧の並び順とは一致しません。一覧では見た目の調整や自動化が大きく扱われがちですが、実際に使い始めてから問い合わせが起きるのは、毎日繰り返す動作と、macOSの更新で崩れる場所です。

この差は、候補が絞れない理由をそのまま説明しています。比較の場では機能の有無が並び、使い始めると動作の回数が効いてくる。前者で選ぶと、後者で不満が出ます。だから、代わりを探すときの最初の作業は候補を集めることではなく、自分が毎日繰り返している動作を数えることになります。

もうひとつ、質問の内容から見えるのは、乗り換えの手間が設定ファイルの移行ではなく分類の再現に集中している点です。現行版でも、旧版から新版への設定の持ち込みはできない案内になっていて、その代わりに移行前の画面を記録しておく方法が示されています。つまり、どの道具に移っても、持ち出せるのは並べ方の設計であって設定ファイルではありません。3分類さえ紙に書いてあれば、入れ直しは15分ほどで終わります。逆に分類を頭の中にしか持っていないと、乗り換えのたびにゼロから決め直すことになります。

判断の材料が揃ったら、あとは手放す機能を3つ書き出して、残りを満たす候補だけを試すだけです。よく届く疑問とその答えはよくある質問にまとめてあります。

よくある質問

Bartenderの代わりを探すとき、最初に決めることは何ですか?

候補を集めることではなく、いま使っている機能のうち何を手放してよいかを決めることです。設定画面を開いて有効な機能を書き出し、直近7日間で実際に操作したものに印を付けます。印の付かなかった機能は手放せる候補です。必須の機能を3つ以内に絞ると、候補は自然に2つか3つまで減ります。

機能の数が多い道具を選べば失敗しませんか?

機能の数と日常の快適さは一致しません。毎日効いてくるのは、隠したアイコンを押すまでの操作数と、キーボードから呼び出せるかどうかの2点です。見た目の調整や自動化は使っていなければ影響がありません。よく使うアイコン3つについて、押すまでの動作を実際に数えて比べるほうが確実です。

設定を新しい道具に引き継ぐことはできますか?

道具をまたぐ設定ファイルの移行は、形式が異なるためできないと考えてください。同じ製品の版をまたぐ場合でも、現行版では旧版からの設定の持ち込みはできない案内になっており、移行前に画面を記録しておく方法が示されています。持ち出せるのは、常に見せる、普段は隠す、常に隠すという3分類の設計そのものです。

試用の期間に何を確かめておけばよいですか?

機能の有無ではなく、自分の環境で成立するかどうかです。よく使うアイコンを押すまでの動作数、再起動後に並びが保たれるか、macOSの更新後に権限が残るか、外部ディスプレイでの表示、スペース切り替えへの追随の5点を見ます。再起動の予定日の前に試用を始めると、期間内に両方を確認できます。

記事一覧へ戻る