Itsycalをきれいに消す手順|残るファイルと、消してよいもの
メニューバーに小さなカレンダーを出すアプリをやめることにした。Itsycalは常駐アプリのなかでも作りが軽く、削除そのものは数分で終わる。それでも「Itsycal uninstall」と調べる人が絶えないのは、削除の前後に起きる周辺の変化が分かりにくいためである。メニューバーから時刻の表示が消えた、設定を覚えていたファイルがどこかに残っているのではないか、といった疑問が後から出てくる。
この記事は、Itsycalのuninstallを配布元とAppleの公開ページで確かめた順番どおりに並べたものである。あわせて、消す前に戻しておくと困らない設定、手元に残るファイルの正体、Homebrewで入れた場合の消し方、そして削除で空いたメニューバーの枠をどう扱うかまでを扱う。ここに書いた値と手順は、2026年9月25日に配布元の公開ページとHomebrewの配布定義で確かめたものである。
Itsycalは、ゴミ箱に入れるだけで済む側のアプリ
常駐アプリの削除が厄介になるのは、管理者権限で動く補助プログラムが本体とは別の場所に入っている場合である。充電の上限を制御するもの、通信経路を書き換えるもの、ディスク全体を監視するものが、この型に当たる。導入時に管理者のパスワードを求められたアプリは、システム側の場所に何かを置いている可能性が高く、本体だけを捨てると置いたものが残る。
Itsycalはこの型ではない。配布元の案内によれば、これはMacの「カレンダー」アプリに設定済みのカレンダーを読んで、その予定をメニューバーに描くアプリである。予定の入れ物を自前で持たず、システムの深い層に手を伸ばす必要もない。配布元が公開しているとおり、内部で使っているのは自己更新のためのSparkleと、ショートカットを受け取るためのMASShortcutで、どちらもアプリの中に同梱される部品である。
その裏付けは配布の定義にも出ている。Homebrewの配布定義に登録されている削除処理は、識別子 com.mowglii.ItsycalApp のプロセスを終了させる指示だけで、システム側のファイルを外す指示は1つも含まれていない。動作環境はmacOS 11以上で、バージョン0.13.0からIntel搭載機とApple silicon搭載機の両方でそのまま動くユニバーサルアプリになっている。つまり削除は、制御を返す作業ではなく、置いた物を片付ける作業で済む。
消す前に決めておく2つのこと
手順に入る前に、先に片付けておくと後で慌てないことが2つある。
1つ目は、メニューバーの時計をどうするかである。Itsycalの公開されている機能一覧には、システムの時計の表示を置き換える設定が挙がっている。この設定を使ってきた場合、macOS側の時計を切ったままItsycalに時刻を出させている状態になっていることがある。その状態で本体を消すと、メニューバーから時刻の表示ごと無くなる。削除の前にシステム設定のコントロールセンターの項目を開き、時計をメニューバーに出す設定へ戻しておけば、この段差は起きない。
2つ目は、予定の控えを取るかどうかである。結論としては、取る必要はない。Itsycalは表示専用の窓であり、予定の実体は「カレンダー」アプリ側にある。Itsycalの画面から作った予定も、追跡するカレンダーとして選んだ先に保存されている。したがって本体を消しても予定は残る。ここを取り違えて、削除の前に予定の書き出しに時間をかける必要はない。
料金についての心配も要らない。Itsycalは配布元が無償で公開しているアプリであり、解除するライセンスも、止め忘れると請求が続く定期購入も存在しない。有料の常駐アプリを消すときに必要な「削除の前にライセンスを解除する」「解約は別の窓口で行う」という段取りは、この場合には発生しない。
手順は、終了させてからアプリケーションフォルダを空にする
実際の削除は次の並びで進める。
- メニューバーのItsycalの項目を押し、カレンダーの下に出る歯車のボタンからメニューを開いてアプリを終了させる
- Finderを開き、サイドバーの「アプリケーション」を押す
- Itsycalをゴミ箱へドラッグする
- ゴミ箱を空にする
Appleは、インターネットから入手したアプリの削除についてこの流れを案内している。
アプリがフォルダ内にないか、アンインストーラがない場合: アプリを「アプリケーション」フォルダから「ゴミ箱」(Dockの端にあります)にドラッグします。 出典: support.apple.com
同じページには、ゴミ箱を空にした時点でアプリがMacから恒久的に削除されることと、使用中だと表示されて削除できない場合はそのアプリが開いていないことを確かめるよう書かれている。Itsycalはメニューバーに常駐するため、ウインドウが見えていなくても動いている。削除できないという表示が出たときは、まずメニューバーの項目が消えているかを見る。それでも外れないときは、Macを再起動してからやり直すと通る。
手元に残るのは、設定を覚えていた2つのファイル
本体を消したあとに残るファイルは、Homebrewの配布定義で明示されている。関連ファイルの一掃として登録されているのは次の2つだけである。
- ~/Library/Preferences/com.mowglii.ItsycalApp.plist
- ~/Library/HTTPStorages/com.mowglii.ItsycalApp
前者は設定を書き留めたファイルである。週の始まりの曜日、追跡するカレンダーの選択、文字の大きさ、表示する月の数、割り当てたキーボードショートカットといった内容が、ここに入る。後者は、自己更新の仕組みが更新の有無を確かめる通信のために置く作業用の領域である。
どちらもテキストと小さな作業用データで、容量の意味では放っておいても差し支えない。むしろ残しておく利点がある。同じ設定で使い直す可能性があるなら、このファイルを残したまま本体を入れ直せば、週の始まりやカレンダーの選択をもう一度やり直さずに済む。
逆に、環境を完全に元へ戻したい場合は、この2つを指定してゴミ箱へ送る。ここで気を付けたいのは、ライブラリのフォルダを開いて似た名前のファイルを勘で消しにいかないことである。識別子の一部が一致する別のアプリの設定を巻き込むと、その別のアプリの設定が初期状態に戻る。消す対象は、上に挙げた識別子と完全に一致するものに限る。
Homebrewで入れた場合の消し方
コマンドで導入していた場合は、同じ経路で消すほうが取り違えが起きない。配布定義の名前は itsycal で、アプリ本体は /Applications/Itsycal.app に置かれる。
- アプリ本体だけを消す: brew uninstall --cask itsycal
- 設定のファイルまで含めて消す: brew uninstall --zap --cask itsycal
後者を選ぶと、前の節で挙げた設定のファイルと通信の作業領域もあわせて片付く。どのファイルが対象になるかは、配布定義を公開しているページで確認できる。Homebrewで入れたのにFinderからゴミ箱へ送ると、導入の記録だけが残って次の一覧に食い違いが出る。入れた経路と消す経路はそろえるのが早い。
なお、配布定義に記録されている版は0.15.14である。手元の版がこれより古い場合、更新をせずにそのまま消すのであれば版の違いは削除の手順に影響しない。詳しい定義の中身はHomebrewの配布定義のページで公開されている。
消したあとに見直す、macOS側の設定
アプリを消しても、そのアプリに合わせて変えたmacOS側の設定は元に戻らない。削除の直後に次の4か所を通しておくと、心当たりのない表示のずれが残らない。
1つ目は時計である。前の節で触れたとおり、システム設定のコントロールセンターの項目で、時計をメニューバーに出す設定を確かめる。日付や曜日を一緒に出すかどうかもここで決められる。
2つ目はログイン項目である。システム設定の一般にあるログイン項目の一覧を開き、消したアプリの名前が残っていないかを見る。残っていた場合は、その行を選んで一覧から外す。
3つ目はカレンダーへのアクセス許可である。システム設定のプライバシーとセキュリティにあるカレンダーの一覧を開き、項目が残っていないかを見る。ここはアプリからの求めに答えた記録が並ぶ場所で、消したアプリの行が残っていることがある。
4つ目はキーボードショートカットである。Itsycalを呼び出す組み合わせを割り当てていた場合、本体と一緒にその割り当ても消える。同じ組み合わせを別のアプリに使う予定があるなら、このタイミングで割り当て直すと衝突を避けられる。
消す理由が「メニューバーが埋まっている」なら
削除を考えた理由が、カレンダーの表示に不満があるからではなく、メニューバーのアイコンが多すぎて目的の項目を探しづらいからという場合、削除は最短の解ではない。小さなカレンダーを1つ捨てて空くのは枠1つで、ほかの常駐アプリが並んでいる状況は変わらない。
Itsycal側の見た目の設定には、メニューバーに出す内容を絞る項目がある。日付だけにする、文字を小さくする、といった調整で幅は詰められる。ただし幅を詰めるのと並びを畳むのは別の話で、常駐アプリが10個並んでいる状態は、1つを細くしても解消しない。
並び自体を畳む道具を入れる、という選び方がもう1つある。アイコンは残したまま普段は視界から外し、必要なときだけ広げる仕組みである。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りであれば、カレンダーを隠したままでも日付の確認ができる。何を消すかを決める前に、何を畳めるかを見ておくと、消さずに済む項目が見つかる。
空いた枠を、どう使うかを決める
削除を実行したなら、メニューバーには枠が1つ空く。ここで何もしないと、次に入れた常駐アプリがその枠を黙って埋める。並びが元に戻るのは時間の問題なので、短くなっているうちに残りの項目も見直しておくほうが手数が少ない。
順番としては、まずアプリごとの設定を開き、メニューバーへの表示を切れるものを切る。クラウドストレージや同期の常駐アプリには、この設定を持つものが多い。次にコントロールセンターの設定で、Bluetoothやサウンド、集中モードといった項目について、常時出すかコントロールセンターの中だけに置くかを個別に決める。ここまでで、押していないアイコンの大半は視界から消える。
それでも残るのが、たまに押すが常に見えている必要はない項目である。この層を畳むのが、メニューバーを整理する道具の役割になる。項目をどう畳み、隠したものをどう呼び出すかはできることに書かれている。同じ用途の道具は複数あり、対応するmacOSの範囲も提供の形も違うため、ほかの道具との違いで並べて見ておくと選びやすい。
支払いの形を先に知っておきたい場合は料金に、権限の許可や導入時につまずきやすい点はよくある質問にまとまっている。手元で試す段になったら、ダウンロードから対応するmacOSの範囲を確かめて入手する。Itsycalの削除を、1つ消して終わりにするか、メニューバー全体の並びを決め直す機会にするかで、同じ数分の作業の意味が変わる。
よくある質問
Itsycalはゴミ箱に入れるだけで消える?
消える。管理者権限で動く補助プログラムを別に置くアプリではないため、アプリを終了させてからアプリケーションのフォルダからゴミ箱へ移し、ゴミ箱を空にすれば本体は片付く。Homebrewの配布定義にも、システム側のファイルを外す指示は登録されていない。
消したあとに残るファイルはある?
設定を書き留めたファイルと、更新の確認に使う作業用の領域が、利用者のライブラリの中に残る。容量はごく小さく、放っておいても差し支えない。同じ設定で入れ直す予定があるなら、残したままにすると設定をやり直さずに済む。
消したら予定のデータも消える?
消えない。Itsycalは「カレンダー」アプリに設定済みのカレンダーを読んで表示する窓であり、予定の実体はカレンダー側にある。Itsycalの画面から作った予定も保存先のカレンダーに入っているため、削除の前に書き出す作業は要らない。
消したらメニューバーから時刻が消えた。どう戻す?
Itsycalにはシステムの時計の表示を置き換える設定があり、それに合わせてmacOS側の時計を切っていた場合に起きる。システム設定のコントロールセンターにある時計の項目を開き、メニューバーに出す設定へ戻す。日付や曜日を一緒に出すかどうかも同じ場所で決められる。