Macのメモリ使用量|足りているかを判断するための見方

Macのメモリ使用量を見て、残りが少ないから増設が必要だと判断してしまう例が多い。macOSは空いているメモリを遊ばせない設計になっているため、空き容量の数字だけでは足りているかどうかを判断できない。この記事では、アクティビティモニタのどの項目を見れば足りているかが分かるのか、項目の意味を1つずつ確かめながら整理する。

見るべき指標は空き容量ではなくメモリプレッシャー

アクティビティモニタのメモリタブを開くと、下側に色の付いたグラフが出る。これがメモリプレッシャーで、Appleはこの項目を次のように説明している。

メモリプレッシャー:メモリが処理のためにどの程度効率的に使用されているのかを視覚的に表現します。 出典: support.apple.com

判断の仕方は色で決まる。緑のままであれば、使用済みメモリの数字が大きくても足りている状態である。黄色になったら余裕が減っている状態で、赤になったら不足している状態になる。増設や買い替えを検討する根拠になるのは、この色が日常的に黄色や赤へ振れることであって、空き容量が少ないことではない。

数字の側だけを見ていると判断を誤る理由は、macOSがメモリを空けておくことを目的にしていないためである。空いているメモリは、次に使うかもしれないファイルを置いておく場所として使われる。結果として、起動してから時間が経つほど空きの数字は小さくなるが、必要になれば即座に明け渡される。空きが少ない状態は、正常に働いている証拠として読むほうが正しい。

観察の仕方としては、重いと感じた瞬間にアクティビティモニタを開き、そのときの色を見る形になる。軽いときに開いて緑を確認しても、詰まっている場面の情報にはならない。

メモリタブに並ぶ項目の意味

グラフの周りに並んでいる数字は、それぞれ役割が違う。Appleの説明をそのまま並べると、区別が付く。

物理メモリ:装着されているRAMの容量。使用済みメモリ:使用されているRAMの容量。アプリメモリ:アプリが使用しているメモリの容量。確保されているメモリ:システムの動作に必要なメモリ。このメモリはキャッシュすることができず、RAM内で確保しておく必要があるため、ほかのアプリは利用できません。圧縮:利用できるRAMの容量を増やすために圧縮されたメモリの容量。 出典: support.apple.com

使用済みメモリは、アプリメモリと確保されているメモリと圧縮を足した形になっている。減らせる余地があるのはアプリメモリの部分だけで、確保されているメモリはmacOS自身が動くために押さえている領域なので、アプリを終了しても戻らない。

圧縮の数字は、足りなくなり始めた合図として読める。macOSは使っていない領域を圧縮して詰め込む仕組みを持っていて、圧縮の数字が伸びているときは、そのまま置いておく余裕が減っている状態である。ただし圧縮は起動ディスクへの書き出しより速いため、圧縮が増えた段階ではまだ体感の遅さに繋がらないことが多い。

物理メモリの数字は装着されている容量そのもので、この値だけは作業の内容で変わらない。近年のApple製のチップを搭載した機種では、購入時に選んだ構成から後で増やせない形になっているため、この数字は買い替えの判断材料になる。

キャッシュされたファイルは、空きと同じように使える領域

初めて見る人が驚くのは、キャッシュされたファイルの数字が大きいことである。Appleの説明はこうなっている。

キャッシュされたファイル:パフォーマンス向上のために未使用メモリにキャッシュされたファイルのサイズ。 出典: support.apple.com

一度読んだファイルをメモリに残しておけば、次に同じファイルを開くときに起動ディスクを読み直す必要がなくなる。アプリを終了した直後に同じアプリを起動すると速いのは、この仕組みが働いているためである。空き容量の数字がこれに食われていても、新しくメモリが必要になれば明け渡される。

確保されているメモリとの違いも押さえておくと、読み方が固まる。後者について、次のように短く言い表している記事がある。

後で使用するために確保されているメモリの量です。 出典: qiita.com

明け渡せるのがキャッシュされたファイル、明け渡せないのが確保されているメモリ、という区別で覚えておくと、どの数字が減らせる対象なのかが判断できる。減らす作業をするときの対象は、アプリメモリとキャッシュのどちらでもなく、アプリメモリを大きく使っているプロセスに絞られる。

スワップ使用領域が増えたときに起きていること

メモリプレッシャーと並んで重要な数字が、スワップ使用領域である。

スワップ使用領域:未使用ファイルをRAMとの間でスワップするために起動ディスク上で使用されている領域の量。 出典: support.apple.com

この数字が伸びているときは、RAMに収まらなくなった内容を起動ディスクへ書き出している状態である。RAMと起動ディスクでは読み書きの速さが違うため、スワップが頻繁に起きると操作の反応が鈍る。アプリの切り替えで一瞬止まる、ウインドウを動かすと引っかかる、といった体感は、この段階で出てくる。

判断の基準としては、数字がゼロに近いまま動かないのであれば余裕がある状態、作業のたびに増えていくのであれば足りていない状態になる。起動してから数日経ったMacでは、過去に一度足りなくなった痕跡としてスワップの数字が残っていることがあるため、増え続けているのか止まっているのかを見分ける。

外付けの起動ディスクを使っている環境や、起動ディスクの空きが極端に少ない環境では、スワップの影響が大きく出る。メモリの話をしているつもりでも、実際には起動ディスクの空きが足りていないことが原因になっている場面がある。

ターミナルで見る場合の道具

画面を開かずに数字だけ確かめたい場合、macOSにはコマンドが用意されている。vm_statは仮想メモリの統計を出す道具で、マニュアルには次のように書かれている。空きページ数、使用中のページ数、固定されたページ数などを一覧で出し、引数に秒数を渡すとその間隔で変化を出し続ける。

topはプロセスの一覧を出す道具で、並べ替えの指定ができる。マニュアルに載っている並べ替えの鍵のうち、memはプロセスが使っている物理メモリの量を指す。メモリを多く使っているプロセスの順に並べたいときは、この鍵を指定する形になる。

注意したいのは、メモリを解放すると紹介されることのあるpurgeである。マニュアルには、ディスクのキャッシュを強制的に空にする道具であり、割り当てられた領域には影響しないと書かれている。つまり、アプリが使っているメモリを取り戻す働きは無い。数字の上でキャッシュされたファイルが減るため効いたように見えるが、その領域はもともと必要になれば明け渡される部分なので、体感の速さには繋がらない。同じ理由で、メモリを空けると宣伝する道具の多くは、空き容量の表示を変えているだけである。

足りないと判断したときに減らす順番

メモリプレッシャーが黄色や赤に振れ、スワップが増え続けているなら、減らす作業に意味がある。効く順番は決まっている。

1つめは、ブラウザのタブである。アクティビティモニタでアプリメモリの大きい順に並べると、上位がブラウザの子プロセスで埋まる環境が多い。開いたまま忘れているタブを閉じるだけで、数字が大きく動く。

2つめは、使い終わったアプリを終了することである。ウインドウを閉じただけではアプリは終了していない。Dockに残っているアプリを終了する。

3つめは、写真や動画を扱うアプリ、仮想環境のアプリである。この種類は起動しているだけで大きく押さえるため、同時に開く数を減らす。

4つめは、ログイン時に自動で開く項目を見直すことである。システム設定の一般にあるログイン項目と機能拡張に並んでいるものは、起動のたびに立ち上がる。使っていないものを外すと、作業を始めた時点の使用量が下がる。

5つめが、起動ディスクの空きを作ることである。スワップの書き出し先が窮屈だと、メモリが足りない状態の影響が増幅される。

増設や買い替えを検討する段になったときの判断

減らす作業をしても色が黄色や赤から戻らないなら、装着されている容量が作業の内容に足りていないという結論になる。ここで気を付けたいのは、判断の根拠を1日の観察に置かないことである。動画の書き出しや大きなファイルの変換のように、その日だけ重かった作業で赤になるのは想定内の動きで、日常の作業で緑に戻るなら足りている。

見るのは、普段の作業に戻したときの色である。ブラウザと文書のアプリを開いただけの状態でスワップが増え続けるなら、余裕が無い構成だと判断できる。

もう1つの材料が、作業の内容そのものである。文字を扱う作業と表計算が中心なら、装着されている容量に対する要求は低い。写真や動画の編集、仮想環境で別のOSを動かす作業、開発の道具を複数立ち上げる作業では要求が一段上がる。これから始める作業が決まっているなら、いまの数字ではなくその作業に必要な量で考える。

Apple製のチップを搭載した機種では、購入したあとにメモリを追加できない構成になっている。買い替えの検討に入る場合、いまの機種の数字を根拠に次の構成を決める形になるため、重い作業をしているときのメモリプレッシャーとスワップの記録を残しておくと判断が早い。

常駐しているものの数を、目で数えられるようにする

ログイン項目を見直す段で詰まる人が多い。設定の一覧に並んでいる名前と、いま実際に動いているものが一致しないためである。常駐するアプリの多くはメニューバーにアイコンを出すので、本来はそこを見れば数えられる。ところがアイコンが増えるほど列は左へ伸び、画面の幅は決まっているので古いものから押し出される。ノッチのある機種では、アプリのメニューとぶつかった場所から先が消える。見えなくなった時点で、何が常駐しているのかを目で数えられなくなる。

メニューバーを整理する道具を入れると、この状況が変わる。仕切りより左に送った項目は畳まれ、畳んだ列を開けば押し出された項目まで一覧で並ぶ。常駐しているものの数を数えるという作業が、成り立つようになる。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける形にしておけば、隠した項目の設定を開く手数も増えない。何を分けられるのかはできることに一覧がある。

分け方の目安は、メモリを大きく使う種類のアプリを見える側に残すことである。仮想環境、同期の仕組み、録画や配信の道具は、動いていることを忘れると使用量の説明が付かなくなる。逆に、電池の残量や天気のように状態を見るだけの項目は隠す側へ回して差し支えない。同じ役目の道具が複数あるので、方式の違いはほかの道具との違いに整理してある。対応するmacOSの版や必要な許可はよくある質問に書いてある。

数字の読み方を覚えるのが片方の作業、何が常駐しているかを目で数えられる状態を作るのがもう片方の作業になる。この2つが揃うと、メモリが足りないのか、いらないものが動いているだけなのかを、その場で切り分けられるようになる。手元で確かめる場合の条件は料金に、入手の方法はダウンロードに書いてある。

よくある質問

空きメモリが少ないのは問題?

問題とは言えない。macOSは空いているメモリを次に使うファイルの置き場として使うため、起動してから時間が経つほど空きの数字は小さくなる。判断に使うのはメモリプレッシャーの色とスワップ使用領域で、色が緑のままでスワップが増えていなければ足りている状態である。

メモリプレッシャーの色は何を意味している?

メモリが処理のためにどの程度効率的に使われているかを表す指標で、緑は足りている状態、黄色は余裕が減っている状態、赤は不足している状態を指す。重いと感じた瞬間に開いて色を見る形にすると、増設が要るかどうかの判断材料になる。

メモリを解放する道具を入れると速くなる?

多くの場合、表示上の空き容量が増えるだけである。ディスクのキャッシュを空にする仕組みは、割り当てられた領域には影響しないとマニュアルに書かれており、アプリが使っているメモリを取り戻す働きは無い。減らす効果があるのは、ブラウザのタブを閉じる、使い終わったアプリを終了する、といった作業である。

スワップ使用領域はどのくらいまでなら気にしなくてよい?

数字がゼロに近いまま動かないのであれば余裕がある状態である。作業のたびに増えていく場合は、RAMに収まらない内容を起動ディスクへ書き出している状態なので、同時に開くアプリを減らすか、起動ディスクの空きを作る対応に進む。

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