Bartender 5で何が変わったか。乗り換え前に確かめる点
メニューバーの右端がアイコンで埋まり、押したいものを探すのに毎回目が泳ぐ。その状態を直すために入れた道具の版が上がって、何が変わったのかを確かめたい。この記事は、Bartender 5のように整理用の道具の版が上がったときに、Macを使う側で実際に何が変わるのかを整理し、そのうえで何を隠して何を残すかを決めるための順番をまとめたものである。機能の一覧を追いかけるのではなく、自分のメニューバーをどう直すかに話を戻せるようにしたい。
メニューバー整理の道具は、macOSの更新に引きずられる
メニューバーを整理する道具は、Macの画面のいちばん上に出ている行に手を入れる。ここはmacOS本体が描いている場所であり、常駐アプリが自分の裁量で好きに書き換えられる領域ではない。だからこの種の道具は、macOSがどう描いているか、どこに項目が並ぶか、どの操作が届くかという前提の上に成り立っている。
macOSは毎年秋に大きな版が出る。メニューバーまわりの実装が変われば、整理用の道具はその都度作り直しに近い対応を迫られる。利用者から見ると、去年と同じ設定のまま何もせずに使い続けられるとは限らない、ということになる。版が上がるという出来事は、機能が足された話であると同時に、動く土台が入れ替わった話でもある。
もう一つの背景として、常駐アプリの数そのものが増え続けている。クラウドストレージ、チャット、パスワード管理、会議、バックアップ、開発用の道具。それぞれがメニューバーに一つずつアイコンを置くため、放っておけば行の右半分が埋まる。MacBookのノッチがある機種では、並びが増えると左側のメニューにぶつかって表示しきれない項目も出てくる。整理用の道具の需要は、この二つの流れが重なった結果として続いている。
版が上がったときに、利用者の側で変わるのは4つ
道具の版が上がるとき、リリース情報には新機能が並ぶ。ただし、実際に手元の作業が変わるのはもっと限られた部分である。確認する順に並べると次の4点になる。
- 対応するmacOSの下限が上がる。古い版のmacOSを使い続けている場合、新しい版の道具は入らない
- 費用の形が変わる。同じ名前の製品でも、大きな版が上がるときに追加の支払いが必要になる場合がある
- macOSに与える権限を、もう一度許可し直す必要が出ることがある
- いまの設定が、新しい版にどこまで引き継がれるかが変わる
この4つは、機能表を眺めても分からない。対応OSと費用は配布元の案内に書かれており、権限と設定の引き継ぎは実際に入れた直後に分かる。順番としては、対応OSと費用を先に確かめ、権限と引き継ぎを入れたあとに確かめる、という流れになる。
新機能の一覧は、ここを確かめたあとで見ればよい。メニューバーの項目を畳んで隠すという中心の働きは、どの版でも大きくは変わらない。変わるのは、どこまで細かく条件を付けられるか、見た目をどこまで変えられるか、といった周辺の部分であることが多い。
対応OSの下限が上がると何が起きるか
道具の新しい版が要求するmacOSの下限が上がると、選択は二つに分かれる。macOSを上げて新しい版の道具を使うか、いまのmacOSに合う古い版の道具を使い続けるかである。
macOSを上げる側を選ぶ場合、影響は整理用の道具だけにとどまらない。業務で使っているアプリ、プリンタやオーディオ機器のドライバ、社内システムのクライアントが、新しいmacOSに対応しているかを先に確かめる必要がある。メニューバーを整理したいという小さな目的のためにOSを上げて、別の作業が止まるのは本末転倒になる。
古い版の道具を使い続ける側を選ぶ場合は、その版がいつまで配布され、いつまで不具合の修正を受けられるかを見ておく。アプリのなかにはインストーラの旧版を配布元が置き続けているものと、置いていないものがある。手元に入っているものが壊れたときに再度入れ直せるかどうかで、備え方が変わる。
なお、Apple silicon搭載機とIntel搭載機で挙動が分かれることもある。特に古いMacを使っている場合は、対応OSの下限に加えて、対応する機種の範囲も配布元の記載を見ておくと確実である。macOSの各版がどの機種に対応しているかは、Appleの公開情報で確認できる。
権限の許可をやり直す場面がある
メニューバーの項目を並べ替えたり隠したりするために、道具はmacOSからいくつかの許可を受け取る。アクセシビリティの許可がその中心で、実装によっては画面収録の許可も使う。メニューバーに何が出ているかを読み取るために画面の内容を参照するためである。
近年のmacOSは、この種の許可について確認を強めている。一度許可すればあとは何も聞かれない、という前提では動かない。道具の版が上がってアプリの中身が入れ替わったときや、macOSを上げたときに、システム設定のプライバシーとセキュリティで許可を入れ直す場面が出てくる。
許可が外れているとき、道具は起動しているのにメニューバーが畳まれない、隠したはずの項目が出たままになる、といった症状になる。アプリの不具合に見えるが、実際には許可の状態が原因であることが多い。版を上げた直後にうまく動かないと感じたら、まずシステム設定のプライバシーとセキュリティを開き、アクセシビリティと画面収録の一覧に該当のアプリが並んでいるか、チェックが入っているかを見る。ここで一度チェックを外して入れ直すと直る場合もある。権限まわりの操作手順はAppleサポートに一覧がある。
設定の引き継ぎは、道具ごとに範囲が違う
版が上がるときに気にする人が多いのが、いま作った設定がそのまま残るかどうかである。同じ製品の版が上がる場合は、多くが引き継がれる作りになっていることが多い。一方、別の道具に乗り換える場合、引き継ぎの範囲は道具によってはっきり分かれる。
メニューバーの整理に関する設定は、性質の違うものが混ざっている。分けて考えると次のようになる。
- どの項目を出し、どの項目を隠し、どの項目を常に隠すかという分類
- 畳む、開くといった動作に割り当てたキーボードショートカット
- 電池残量や時間帯、使っているアプリに応じて出し入れする条件の設定
- アイコンの間隔や区切りの見た目に関する設定
この4つのうち、分類は他の道具でも同じ考え方が使えるため引き継ぎやすい。残りの3つは道具ごとに仕組みが違うため、自動で移せる範囲は限られる。乗り換えを検討するときは、引き継げるものと引き継げないものを配布元の案内で先に確かめ、引き継げない部分は入れ直す前提で予定を立てるとよい。設定が消えたと感じる原因の多くは、この範囲の食い違いにある。
何を隠して何を残すかを、3つに分けて決める
道具の版の話をいったん離れて、自分のメニューバーに何が並んでいるかを見直す。ここが決まっていないと、どの道具を使っても同じ混雑に戻る。
Appleはメニューバーの右側の領域を「ステータスメニュー」と呼び、状態の確認と設定の変更を行う場所として位置づけている。要点をまとめると次のようになる。
メニューバーの右側には、Wi-Fiや電池、コントロールセンターなどの状態を示す項目が並ぶ。これらはステータスメニューと呼ばれ、いまの状態を見て、その場で設定を変えるための場所として用意されている。 出典: support.apple.com
この位置づけを踏まえると、並んでいる項目は3つに分けられる。
- 常に見えていてほしいもの。見た瞬間に状態が分かることに意味がある項目である。電池残量、Wi-Fiの接続先、時計、会議中を示す表示などが当たる
- 押したいときだけ出ればよいもの。ふだんは状態を見る必要がなく、操作するときだけ呼び出せればよい項目である。クラウドストレージ、パスワード管理、スクリーンショットの道具などが当たる
- ふだんは要らないもの。インストールしたときから居座っているだけで、月に一度も押していない項目である
3つ目は道具を入れる前に減らせる。アプリの環境設定にメニューバーへの表示を切るスイッチがある場合が多い。2つ目のグループが、整理用の道具がいちばん効く範囲になる。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りであれば、ふだんは視界から消したうえで、必要なときの手数は増えない。
見直しの手順
順番を決めておくと、道具の設定に入る前に片付く部分が見える。
まず、いまメニューバーに出ている項目をすべて書き出す。数えると想像より多いことがほとんどである。次に、書き出した項目を上の3つに仕分ける。仕分けの基準は「直近1週間でその項目を見たか、押したか」でよい。見ても押してもいないものは3つ目に入る。
次に、macOSの標準機能だけで消せるものを消す。コントロールセンターの設定では、Bluetooth、サウンド、集中モードなどの項目について、メニューバーに表示するかどうかを個別に選べる。時計の表示形式や、Spotlightのアイコンの表示も設定から変えられる。ここで減らしておくと、道具に任せる項目が減り、畳んだときの動きも軽くなる。
そのうえで、残った項目を道具で畳む。最初から細かく条件を付けようとせず、まずは「常に見せる」と「隠す」の2つに割り振り、しばらく使ってから調整する。条件やショートカットは、隠す対象が固まってから足すほうが手戻りが少ない。
最後に、畳んだ状態で1日作業してみて、探す場面が出た項目を「常に見せる」へ戻す。ここまでやると、版が上がっても崩れにくい形が残る。
道具の公開情報は、どこを見て判断するか
版が上がったあとに乗り換えを考える場合も、いまの道具を使い続ける場合も、判断の材料は配布元が公開している情報である。メニューバーを整理する道具の案内ページでは、次のような項目が公開されている。並べ方は各社で違うが、見る場所はおおむね共通している。
隠す、畳む、条件で出し入れするといった動作が実際にどこまで用意されているかは、機能を並べたページで確かめる。できることでは、メニューバーの畳み方や、隠した項目の呼び出し方が説明されている。
対応OSや費用の形は、他の道具との違いをまとめたページで見比べるのが早い。ほかの道具との違いでは、同じ用途の道具について、提供の形や対応の範囲が並べて示されている。比較の情報は時期によって変わるため、見た日付を意識して読む必要がある。
費用の形は、買い切りか、期間ごとの支払いか、大きな版が上がったときに追加の支払いが要るかで大きく違う。料金に、支払いの形と対象になる範囲が書かれている。ここは版が上がるたびに変わり得る部分なので、乗り換えの判断では最初に見ておきたい。
権限の許可や、設定の引き継ぎ範囲といった細かい疑問は、質問をまとめたページに集まっていることが多い。よくある質問には、導入時につまずきやすい点への回答が並んでいる。
実際に手元で確かめる段になったら、配布ページから入手して試す。ダウンロードには、対応するmacOSの範囲と入手の手順が書かれている。試すときは、いまの設定を書き出すか画面を撮っておくと、元に戻したくなったときに困らない。
なお、この種の道具の費用や対応OSは変わりやすい。ここで挙げた見方は2026年9月時点のもので、実際の数字や対応範囲は各配布元の公開情報で確かめてほしい。版が上がったという情報だけで判断せず、対応OS、費用、権限、引き継ぎの4点を自分の環境に当てはめて見るのが、いちばん確実な進め方になる。
よくある質問
メニューバー整理の道具の版が上がったら、すぐ入れ替えるべき?
急ぐ必要はない。まず対応するmacOSの下限、費用の形、権限の再許可が要るか、いまの設定が引き継がれるかの4点を確かめる。いま困っていないのであれば、業務で使う他のアプリの対応状況が固まってから動くほうが安全である。
版を上げたら、隠したはずのアイコンが出たままになった。
まずシステム設定のプライバシーとセキュリティを開き、アクセシビリティと画面収録の一覧に該当のアプリが並んでいるか、チェックが入っているかを確認する。アプリの中身が入れ替わると許可の状態がずれることがあり、一度外して入れ直すと戻る場合がある。
別の道具に乗り換えると、いまの設定は全部移せる?
道具によって範囲が違う。表示、非表示、常に非表示といった分類は考え方が共通するため移しやすいが、キーボードショートカットや、電池残量や時間帯で出し入れする条件の設定、アイコンの間隔の設定は、移らずに入れ直しになることが多い。
道具を入れる前に、自分でできる整理はある?
ある。アプリごとの環境設定でメニューバーへの表示を切れるものが多く、コントロールセンターの設定ではBluetoothやサウンドなどの項目を個別に非表示にできる。ここで減らしてから道具に任せると、畳む対象が少なくなり管理が楽になる。