Bartenderの設定を引き継げる範囲と、作り直しになる部分
メニューバーの整理を長く続けてきた人ほど、乗り換えのときに気にするのは値段ではなく設定です。どのアイコンを出して、どれを畳んで、どれを完全に隠すか。その振り分けは何か月もかけて自分の作業に合わせてきたもので、手作業で組み直すのは面倒です。「bartender mac settings migration」で情報を探している人が知りたいのは、この振り分けがそのまま移るのかどうか、その一点でしょう。
先に結論を書きます。引き継げるのは3つの分類だけです。表示、非表示、常時非表示という振り分けは移せます。キーボードショートカットと、条件で出し入れする設定は移りません。ここを最初に理解しておくと、移したあとに「設定が消えた」と感じずに済みます。以下では、読み込める範囲と読み込めない範囲、そして画面上でどう進むのかを順に整理します。
設定の引き継ぎで、実際に問われているもの
メニューバー整理アプリの設定は、見た目より情報量があります。常駐アプリが15個から25個あるMacでは、その全部について「出す・畳む・隠す」のどれかを決めているわけです。ひとつずつ手で割り当て直すなら、確認しながらで10分から20分はかかります。
ただし、時間だけが問題なのではありません。手で組み直すと、以前どうしていたかを思い出せない項目が必ず出ます。ふだん見ていないアイコンほど、どの扱いにしていたかの記憶が曖昧です。結果として、移行後しばらくは「あれが出ていない」「これが邪魔になった」と細かい調整が続きます。設定の引き継ぎが効くのは、この調整の期間を短くできるからです。
背景として、Macのメニューバーは近年さらに混みやすくなっています。常駐して通知やログイン状態を示すアプリが増え、業務で使う道具が10個を超えることも珍しくありません。ディスプレイ中央に切り欠きのあるMacBookでは、項目が増えると切り欠きの向こうへ押し出されて押せなくなることもあります。整理の道具を使う人が増え、そのぶん道具から道具へ移る場面も増えたことが、設定の引き継ぎが話題になる理由です。
一方で、引き継ぎには限界があります。道具ごとに設計が違うため、片方にあって片方にない仕組みは、そもそも対応させようがありません。引き継ぎ機能を評価するときは、「全部移せるか」ではなく「何が移って、何が移らないか」を最初に把握する方が、実務として確実です。ここが曖昧なまま移行すると、移らなかった部分を「不具合で消えた」と受け取ってしまいます。
引き継げるのは、3つの分類そのもの
読み込みに対応した道具では、Bartenderが持っている3つの分類がそのまま対応します。表示(Show)、非表示(Hide)、常時非表示(AlwaysHide)の3つが、移行先の同じ3つのゾーンへ割り当てられます。
この3分類は、メニューバー整理の考え方の中核にあたる部分です。時計や電池のように常に見えていてほしいものは表示へ。同期の状況のように、確かめたいときだけ見ればよいものは非表示へ。設定を終えたあとは触らない常駐アプリは常時非表示へ。この振り分けが移るということは、日々の見え方がそのまま再現されるということです。
対応付けはアプリ単位で行われます。内部的にはアプリのバンドルIDで照合するため、いまメニューバーに出ている項目のうち、そのアプリが出しているものすべてに同じゾーンが入ります。ここは仕様として押さえておく価値があります。ひとつのアプリが複数のアイコンを出している場合、アイコンごとに違うゾーンへ振り分けることはできず、まとめて同じ扱いになります。アイコン単位で分けたい場合は、移したあとに手で調整する形になります。
読み込む対象は、Bartenderの設定のうち、いま有効なプロファイル1つです。プロファイルを複数作って使い分けている人は、この点を先に確認してください。読み込まれるのは現在有効な1つで、それ以外のプロファイルは対象外です。
引き継げないものを、先に把握しておく
移行の失敗は、機能の不足ではなく期待のずれから起きます。読み込めないものは次のとおりです。
- 有効なプロファイル以外のプロファイル。複数を使い分けていても、読み込まれるのは現在有効な1つだけです
- キーボードショートカット。呼び出しのキー設定は移りません
- 条件やトリガーの設定。電池残量、時間帯、使っているアプリなどに応じて出し入れする設定は移りません
- アイコンの間隔や見た目に関する設定
- 同じアプリが複数のアイコンを出している場合の、アイコンごとの振り分け。対応付けはアプリ単位なので、同じゾーンに入ります
条件による出し入れとショートカットについては、移行先の道具にも仕組み自体は用意されています。ただし引き継ぎでは移らないため、移行先の設定画面で組み直すことになります。使っていた条件が2つ3つであれば数分の作業ですが、細かく作り込んでいた人は、移行前に現在の設定を書き出しておくと再現が速くなります。画面を撮っておくだけでも十分です。
どの動作に対応しているかはできることで一覧できます。条件の作り方が同じとは限らないため、移行前に対応範囲を見比べておくと、組み直しの見積もりが立ちます。設計の違いそのものはほかの道具との違いにまとまっています。
画面上では、読み込みと反映が2段階に分かれている
実際の手順は単純です。ただし、押すボタンが2つに分かれている点だけ知っておく必要があります。
まず、設定画面に「Bartenderの設定を引き継ぐ」という行が現れます。この行は、Bartenderの設定が見つかるMacにだけ出ます。Bartenderを入れたことがないMacでは行そのものが出ないため、探しても見つからない場合は設定が存在していないと判断できます。
次に「Bartenderから読み込む」を押します。読み込みが終わると、何件を振り分けたかが表示されます。ここで件数を確認すれば、想定していた数と合っているかがすぐわかります。件数が極端に少ない場合は、有効なプロファイルが想定と違っている可能性があります。
重要なのは、読み込んだだけではメニューバーの並びは変わらないという点です。読み込みは振り分けを取り込む操作で、実際の見た目に反映するには、そのあと「メニューバーに反映」を押します。この2段階になっているおかげで、読み込んだ内容を確認してから適用でき、意図しない並び替えがいきなり起きることはありません。
なお、Bartenderで隠しているアイコンが1つも無い場合は、その旨が表示され、何も変更されません。すべてを表示のままにしていた環境では、引き継ぐ情報が存在しないためです。この場合は読み込みを待たずに、新しい道具で3分類を最初から作る方が早く終わります。また、整理アプリ自身のアイコンは引き継ぎの対象外です。整理する側のアイコンまで隠れてしまうと操作の起点が消えるため、ここは対象から外れる作りになっています。手順そのもので迷う点は少ないので、実際に試しながら進めるのが早道です。入手はダウンロードから行えます。
引き継いだあとに、必ず確認しておくこと
読み込みと反映が終わったら、その日のうちに3つだけ確認しておくと、あとで慌てずに済みます。
ひとつめは、常に見えていてほしい項目が実際に出ているかどうかです。時計、電池、通信の状態、入力ソースなど、視線を送るだけで判断したいものが表示のゾーンに入っているかを見ます。アプリ単位での対応付けなので、想定と違うゾーンに入る項目がまれにあります。
ふたつめは、隠した項目に問題なく触れるかどうかです。整理の目的は消すことではなく、必要なときにだけ出すことにあります。畳んだ状態から目的のアイコンへどう到達するのかを、一度実際に試してください。
みっつめは、移らなかった設定の作り直しです。ショートカットと条件は移行先で新しく設定します。ここを後回しにすると、以前は自動で出ていたアイコンが出ないことに数日後になって気づき、原因の切り分けから始めることになります。移行の当日にまとめて組み直しておく方が短時間で終わります。
macOSの側にも、並び替えの基本操作は用意されています。
Macのメニューバーでは、Commandキーを押したまま項目をドラッグすると並び順を変えられる。一部の項目は、メニューバーの外へドラッグして取り除ける。 出典: support.apple.com
反映後に並び順だけを微調整したい場合は、この操作で足ります。ゾーンの割り当てと、ゾーン内での並び順は別の話なので、混同しないでください。動作についての細かい疑問はよくある質問に整理されています。
移行の考察: 資産は設定ファイルではなく、分類の設計にある
引き継ぎ機能の価値を、設定ファイルが移ることだと考えると評価を誤ります。実際に価値があるのは、何か月もかけて自分の作業に合わせてきた「どのアプリをどのゾーンに置くか」という判断の集まりです。ファイル形式は道具ごとに違って当然ですが、この判断は道具が変わっても意味を持ち続けます。
だからこそ、移せる範囲が3つの分類に限られていることは、実務上は大きな欠点になりません。ショートカットのキー割り当ては数分で組み直せますし、条件の設定も、そもそも使っている人の方が少数です。時間がかかるのは、20個前後の常駐アプリを一つずつ思い出しながら振り分ける作業であり、そこが自動化されていれば、移行の負担はほぼ消えます。
逆に言えば、引き継ぎ機能が無い道具へ移る場合でも、やることは同じです。移行の前に現在の3分類を書き出しておけば、新しい道具でその通りに設定するだけで済みます。書き出す手間は5分ほどで、これをやっておくかどうかで移行後の落ち着き方が変わります。
移行を検討している段階では、古い道具をすぐに消さないことも勧められます。数日は両方を入れたままにして、必要な項目が出ているか、隠したものに触れるかを日常の作業で確かめてから、片方を外します。料金や提供の形を含めた比較は料金で確認できますが、判断の材料として先に見るべきは、自分の3分類が再現されるかどうかです。
よくある質問
Bartenderの設定は、すべて引き継げますか?
引き継げるのは表示、非表示、常時非表示という3つの分類です。キーボードショートカット、条件やトリガーによる出し入れの設定、アイコンの間隔などの見た目の設定は引き継がれません。移らない設定は移行先で組み直す形になります。ショートカットと条件を使い込んでいる場合は、移行前に現在の設定を画面で控えておくと再現が速くなります。
プロファイルを複数使い分けていますが、全部読み込まれますか?
読み込まれるのは、いま有効なプロファイル1つだけです。複数のプロファイルを作って場面ごとに切り替えている場合でも、対象になるのは現在有効なものに限られます。読み込みを実行する前に、どのプロファイルが有効になっているかを確認してください。読み込み後に表示される件数が想定と違う場合は、ここを見直すと原因がわかります。
読み込んだらメニューバーの並びはすぐ変わりますか?
すぐには変わりません。読み込みと反映は2段階に分かれており、「Bartenderから読み込む」で振り分けを取り込み、そのあと「メニューバーに反映」を押した時点で実際の並びに適用されます。読み込んだ内容を確認してから適用できるため、意図しない並び替えが突然起きることはありません。
同じアプリが複数のアイコンを出している場合はどうなりますか?
対応付けはアプリ単位(バンドルID)で行われるため、そのアプリが出しているアイコンはすべて同じゾーンに入ります。アイコンごとに違うゾーンへ振り分けたい場合は、読み込みと反映のあとに手で調整してください。ふだんから複数アイコンを出すアプリが多い環境では、反映後に一度全体を見直しておくと安心です。