Dozerでメニューバーを隠す仕組みと、導入前に確認すること
Macのメニューバーの右側が常駐アプリのアイコンで埋まり、目的のひとつを押すまでに視線が何度も往復する。その状態を無料で直す方法を探して「dozer mac menu bar」にたどり着いた人は多いはずです。Dozerはオープンソースで公開されているメニューバー整理の道具で、費用はかかりません。
ただし、この種の道具は仕組みを理解してから入れないと、思っていた動きにならないことがあります。この記事では、Dozerがどうやってアイコンを隠しているのか、導入前に何を確認しておくべきか、そしてこの方式で解決できることと解決できないことを順に整理します。読み終えたときに、自分のメニューバーで何を隠して何を残すかまで決められる状態を目指します。
メニューバーが埋まる状況は、道具の増加で常態になっている
そもそもメニューバーが混むのは、使い方が悪いからではありません。常駐して状態を示すアプリが増えたことが背景にあります。連絡用のアプリ、VPN、パスワード管理、クラウドの同期、画面収録、電池や通信の状態を細かく出すユーティリティ。業務で使う道具を並べていくと、常駐するものが15個を超えるのは珍しくありません。
そこにディスプレイの制約が重なります。ディスプレイ中央に切り欠きのあるMacBookでは、項目が増えると切り欠きの向こう側に押し出され、押すこと自体ができなくなります。画面の広い外部ディスプレイでは収まっていたものが、ノートの画面だけにすると溢れる、という状況もよく起きます。整理する道具の需要が続いているのは、この構造が変わっていないからです。
無料の道具から有料の道具まで選択肢が複数あるのも同じ理由です。要求が「畳みたい」だけの人から、「条件に応じて自動で出し入れしたい」人までばらけているため、それぞれの層に向けた道具が並存しています。Dozerは、このうち最も軽い要求に対して、費用をかけずに応える位置にあります。
Dozerがアイコンを隠す仕組みは、境界を置いて押し出す方式
Dozerの動きは、慣れると単純です。メニューバーに小さな点のような項目を置き、その点より左側にあるアイコンを隠す、という考え方で成り立っています。
つまり、隠す対象を一つずつ選ぶのではなく、「境界より向こう側は隠す」という位置の関係で決めます。そのため、どのアイコンを隠すかを変えたいときは、設定画面でチェックを付け外しするのではなく、メニューバー上でアイコン自体を左右に動かします。この動かす操作にmacOSの標準機能を使うところが、Dozerを含む多くの無料の道具に共通する特徴です。
Macのメニューバーでは、Commandキーを押したまま項目をドラッグすると並び順を変えられる。一部の項目は、メニューバーの外へドラッグして取り除ける。 出典: support.apple.com
この操作を使い、隠したいアイコンを境界の左側へ、常に見せたいアイコンを右側へ動かします。並べ替えが終われば、あとは点を押すたびに折りたたみと展開が切り替わります。
この方式の利点は、覚えることが少ない点です。設定項目が多くないので、入れたその日に使い始められます。一方で、アイコンの位置がそのまま設定になるため、アプリを入れ直したときや、macOSのアップデートで並びが変わったときに、割り当てをやり直す必要が出てきます。位置で管理する方式と、アプリごとに記録して管理する方式の違いは、長く使うほど手数の差として表れます。
無料でオープンソースであることの意味を、費用の置き場所として見る
Dozerは無料で使えます。ソースコードが公開されており、GitHubから入手できます。Homebrewのcask経由で入れることもできます。金銭的な支払いは発生しません。
ここで押さえておきたいのは、費用がゼロになったのではなく、置き場所が変わっているという見方です。無料の道具では、次の3か所に負担が移ります。
- 入手と初回起動の手間。App Store以外から配られるアプリは、署名や公証の状況によって、初回起動時にmacOSの警告を自分で越える必要があります
- 更新の不確実性。個人が余暇で作って公開している道具は、作者の状況によって更新の間隔が変わります。macOSのメジャーアップデートで挙動が変わったとき、いつ直るかは事前にわかりません
- 機能の範囲。隠す機能に特化しているぶん、条件による出し入れやキーボードからの呼び出しまでは持たない場合があります
これは無料の道具が劣るという話ではありません。「並びが多すぎるので畳みたい」という要求だけであれば、無料の道具で完結します。判断すべきは、自分が困っているのが並びの多さだけなのか、隠したあとの触りにくさまで含むのか、という点です。
有料の道具との違いは、価格そのものよりも、更新の継続と機能の範囲に出ます。提供の形と含まれる範囲を比べたい場合は料金を、機能の差を並べて見たい場合はほかの道具との違いを確認してください。
導入前に確認しておく3点
無料の道具を入れるときは、次の3つだけ先に見ておくと、あとで困りません。所要時間は3分ほどです。
ひとつめは、最新版がいつ公開されたかです。配布ページのリリース欄には、版ごとの日付が並んでいます。直近のmacOSが出たあとに更新があるかどうかで、動作の確からしさがおおよそ判断できます。更新が止まっている道具でも動くことは普通にありますが、動かなくなったときに直る見込みが立たない点は理解して入れることになります。
ふたつめは、対応しているmacOSの世代です。説明文に対応バージョンが書かれているか、Issueなどで新しいmacOSでの動作報告があるかを確認します。ここが不明なまま入れると、動かなかったときに原因の切り分けから始めることになります。
みっつめは、必要な権限です。メニューバーの項目を扱う道具は、システム設定でアクセシビリティなどの許可を求めることがあります。会社から貸与されたMacで管理者権限が制限されている場合、そもそも許可できないことがあるため、導入前の確認が必要です。権限と動作の関係についてはよくある質問に整理されています。
この3点を確認したうえで入れるなら、無料の道具は十分に実用的な選択肢です。逆に、確認せずに入れて「動かない」と判断してしまうのは、単純にもったいない進め方です。
この方式で解決できること、解決できないこと
Dozerのような境界方式の道具は、次の要求にはよく合います。
- 使っていないアプリのアイコンを視界から外したい
- 作業中のスクリーンショットや画面共有で、余計なアイコンを写したくない
- アイコンの数が多すぎて、目的のものを探すのに時間がかかっている
一方で、次の要求には別の仕組みが必要になります。
- 隠したアイコンをすぐ押したい。展開して探して押す手順を挟まずに、隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける動きが欲しい場合は、境界方式だけでは足りません
- 状況に応じて自動で出し入れしたい。会議中だけ特定のアイコンを出す、電池が減ったときだけ表示する、といった条件の設定が必要な場合
- 切り欠きのあるMacBookで、項目が切り欠きの向こうに入り込むのを避けたい場合。ディスプレイ中央に切り欠きのあるMacでは、項目が増えると押せない位置に回り込むことがあります
どこまでの動作が必要かは、人によってはっきり分かれます。自分の要求がどちら側にあるかを先に決めておくと、道具選びで迷う時間が減ります。対応している動作の範囲はできることで一覧できます。
同じ分野の選択肢を、提供の形で並べる
メニューバー整理の道具は複数あり、提供の形で整理すると全体像がつかめます。
| 道具 | 提供の形 | 費用 | 入手先 |
|---|---|---|---|
| Dozer | オープンソース | 無料 | GitHub |
| Hidden Bar | オープンソース | 無料 | Mac App Store、GitHub |
| Ice | オープンソース | 無料 | GitHub |
| Bartender | 買い切り(1回払い) | 有料 | 開発元の販売ページ |
表に価格の数字を入れていないのは、有料の道具の価格が為替や改定で動くためです。金額は購入時点の販売ページで確認してください。提供の形(無料か、買い切りか)は変わりにくいため、比較の軸としては安定しています。
無料の道具の中でも、入手経路には差があります。Mac App Storeで配られているものは、初回起動時の警告を越える手順が不要で、更新もApp Store経由で届きます。GitHubから直接配られているものは、自分で入手して更新する形になります。この違いは機能ではなく運用の手間の差です。実際に入れて比べてみたい場合は、ダウンロードから試すのが早道です。
隠す前に、3つに分けて考える
どの道具を選ぶ場合でも、先にやっておくと結果が安定する作業があります。いまメニューバーに出ている項目を、3つに分けることです。
- 常に見せるもの。時計、電池、通信の状態、入力ソースなど、視線を送るだけで判断できることに意味がある項目
- 普段は隠すもの。同期の状況、バックアップ、通知系など、確かめたいときだけ見ればよい項目
- 常に隠すもの。起動しているだけで操作しない常駐アプリ、設定を終えたあとは触らない項目
この3分類は、境界方式の道具でもそのまま使えます。常に見せるものを右側に、普段は隠すものと常に隠すものを境界の左側に置けば、日々の見え方が整います。分類を紙かメモに書き出しておけば、道具を替えたときの組み直しも短時間で終わります。
常駐アプリが20個前後ある環境なら、この振り分けにかかる時間は10分ほどです。この10分をかけずに道具だけ入れると、隠したいものと見せたいものが混ざったまま畳むことになり、結局また展開して探す状態に戻ります。
道具選びの考察: 位置で持つか、アプリごとに持つか
メニューバー整理の道具を長く使うと、設計の違いが手数として表れてきます。いちばん大きいのは、設定をどこに持っているかです。
境界方式の道具は、設定が「アイコンの位置」にあります。覚えることが少なく、導入直後から使えるのが利点です。一方で、位置は環境の変化で崩れます。アプリを入れ直したとき、macOSを更新したとき、外部ディスプレイの構成を変えたときに、並びが変わって割り当てをやり直すことがあります。
アプリごとに記録する方式の道具は、どのアプリをどのゾーンに置くかを内部で持ちます。並びが崩れても割り当ては残るため、やり直しが起きにくくなります。そのぶん、最初に分類を作る手間はかかります。
どちらが優れているという話ではなく、環境の変化がどれくらい頻繁かで向き不向きが分かれます。使うアプリが固定していて、Macの構成もあまり変えないなら、位置で持つ方式は軽くて快適です。仕事の道具を入れ替える頻度が高い人や、複数のMacで同じ見え方にしたい人は、アプリごとに記録する方式の方が結果的に手数が減ります。
いずれにしても、選ぶ順番は同じです。先に3分類を決め、無料の道具で実際に畳んでみて、それで足りるかを確かめる。足りない部分がはっきりしてから、その部分を持つ道具を探す。この順番であれば、費用も時間も無駄になりません。
よくある質問
Dozerは無料で使えますか?
無料です。オープンソースとして公開されており、GitHubから入手できます。Homebrewのcask経由で入れることもできます。ただし、App Store以外から配られる形式では、初回起動時にmacOSの警告を自分で越える必要がある場合があります。導入前に、最新版の公開日と対応しているmacOSの世代を配布ページで確認しておくと安心です。
Dozerでアイコンを隠すには、どう操作しますか?
メニューバーに置かれた点が境界になり、その左側にあるアイコンが隠れます。隠したいアイコンは、Commandキーを押したままドラッグして境界の左側へ動かします。常に見せたいものは右側に残します。並べ替えが済んだあとは、点を押すたびに折りたたみと展開が切り替わります。設定画面で個別にチェックを付ける方式ではありません。
隠したアイコンをすぐ押したい場合はどうすればよいですか?
境界方式の道具では、いったん展開してから目的のアイコンを押す手順になります。畳んだまま隠れているアイコンを押して、その場でメニューを開ける動きが必要な場合は、その動作に対応した道具を選ぶ必要があります。1日に何度も触る項目がある場合ほど、この違いは手数の差として積み上がります。
切り欠きのあるMacBookでも使えますか?
アイコンを隠すこと自体は行えますが、項目が多いと切り欠きの向こう側に回り込んで押せなくなる状況は、道具の方式によって扱いが異なります。切り欠きが導入の動機になっている場合は、その状況をどう扱うと説明されている道具かを確認してください。まず表示する項目そのものを減らし、常に見せるものを絞ることが、どの道具を使う場合でも有効な対策です。