Bartenderの代わりをMacで探すとき、設定はどこまで移せるか

Macのメニューバーを整理する道具を替えようとするとき、いちばん引っかかるのは機能の違いではない。いま作ってある設定をもう一度作り直すのかという点である。どのアイコンを隠し、どれを常に見せ、どれを完全に隠すか。時間をかけて決めた分け方が消えるなら、乗り換えは面倒な作業になる。この記事は、Bartenderから別の道具へ移るときに、何が引き継げて何が引き継げないのかを具体的に整理し、入れ直しになる部分をどの順番で片付けるかをまとめたものである。

乗り換えで本当に問題になるのは、設定のやり直し

メニューバーを整理する道具は、どれも似た働きをする。項目を畳んで隠し、必要なときに呼び出す。中心の働きが近いからこそ、選ぶときの差は別のところに出る。乗り換えのコストがそこに当たる。

設定のやり直しが重いのは、決めごとが記憶に残りにくいからである。どのアプリを常に見せていたかは、メニューバーを見れば分かる。しかし、どのアプリを常時非表示にしていたかは、隠れているので思い出せない。乗り換えた直後に「何かが足りない気がする」という状態になり、原因を探すのに時間を取られる。

もう一つは、条件やショートカットである。電池が減ったら電源の項目を出す、会議のアプリが前面にあるときだけマイクの項目を出す、といった設定は、作ったときの意図とセットになっている。移した先で同じことを再現しようとしても、まず何を設定していたかを思い出すところから始まる。

だから乗り換えを検討する段階で見るべきなのは、機能表の一致率ではない。いまの設定のうち、どこまでが自動で移り、どこからが手作業になるのかという線引きである。ここが分かっていれば、必要な時間を先に見積もれる。

引き継げるのは、3つの分類そのもの

メニューバーを整理する道具の中には、Bartenderの設定を読み込む仕組みを持つものがある。読み込めるのは、Bartenderが持っている3つの分類である。表示、非表示、常時非表示という分け方が、移った先の同じ3つのゾーンへ対応づけられる。

この対応づけは、アプリ単位で行われる。判断の材料になるのはアプリのバンドルIDで、いまメニューバーに出ている項目のうち、そのアプリのものはすべて同じゾーンに入る。アプリを基準にした振り分けなので、「このアプリは隠す」「このアプリは常に見せる」という粒度で移ることになる。

読み込む対象は、Bartenderの設定のうち、いま有効になっているプロファイル1つである。複数のプロファイルを作って場面ごとに切り替えている場合でも、読み込まれるのは切り替えの対象になっている現在のプロファイルだけになる。

ここまでが自動で移る範囲である。分類だけと聞くと少なく感じるが、実際には仕分けの作業がいちばん時間を食う部分なので、ここが移るかどうかで体感はかなり変わる。逆に言えば、これ以外は移らない前提で予定を立てる必要がある。

引き継げないものを、先に把握しておく

移らない設定は次のとおりである。乗り換えた直後に「設定が消えた」と感じないために、先に見ておきたい。

  • 有効なプロファイル以外のプロファイル。複数を使い分けていても、読み込まれるのは現在有効な1つだけになる
  • キーボードショートカット。畳む、広げるといった操作に割り当てたキーは移らない
  • 条件やトリガー。電池残量、時間帯、使っているアプリなどに応じて出し入れする設定は移らない
  • アイコンの間隔や見た目に関する設定
  • 同じアプリが複数のアイコンを出している場合の、アイコンごとの振り分け。対応づけはアプリ単位なので、そのアプリの項目はすべて同じゾーンに入る

最後の項目は見落としやすい。1つのアプリがメニューバーに2つ以上の項目を出していて、片方は常に見せ、もう片方は隠していた場合、読み込み後は両方が同じゾーンに入る。読み込んだあとに手で分け直すことになる。

条件やショートカットについては、移った先の道具にも同じ種類の仕組みが用意されていることが多い。ただし設定は移らないので、必要なものを自分で作り直す。ここは自動化できない部分だと割り切って、時間を確保しておくほうがよい。

読み込みは、押した瞬間に反映されるわけではない

実際の流れを知っておくと、途中で不安にならずに済む。読み込みの機能は次のように動く。

設定の画面に「Bartenderの設定を引き継ぐ」という項目が出る。この項目は、Bartenderの設定が見つかるMacにだけ出る。Bartenderを使っていないMacや、設定が残っていないMacでは、行そのものが表示されない。したがって、項目が見当たらない場合は、機能がないのではなく、読み込む対象が見つかっていないと考えるのが自然である。

「Bartenderから読み込む」を押すと読み込みが行われ、何件を振り分けたかが表示される。ここで結果の件数を確認できる。

大事なのは次の点である。読み込んだだけでは、メニューバーの並びは変わらない。そのあとに「メニューバーに反映」を押した時点で、実際の並びに適用される。読み込みと反映が分かれているため、読み込んだ内容を確認してから適用できる。押しても何も起きないと感じたときは、反映の操作が済んでいるかを確かめる。

また、Bartender側で隠しているアイコンが1つもない場合は、その旨が表示され、何も変更されない。整理していない状態から読み込んでも、勝手に何かが隠れることはない。読み込みの対象からは、道具自身のアイコンは外れている。

乗り換える前にやっておくこと

自動で移らない部分があるので、移る前に手元に記録を残しておくと復元が楽になる。

まず、いまのメニューバーの状態を画面に撮る。畳んだ状態と、広げた状態の両方を撮っておく。広げた状態のほうが重要で、ふだん隠している項目が何かを思い出す材料になる。

次に、Bartenderの設定画面を開いて、どのアプリをどの分類に入れているかを見ておく。分類そのものは読み込みで移るが、移ったあとに正しく入っているかを確認するための照合先になる。特に、同じアプリが複数の項目を出しているものは、あとで手で分け直す対象になるので、印を付けておくとよい。

そして、ショートカットと条件の設定を書き出す。ここは移らないので、書き出したものがそのまま作り直しの手順書になる。プロファイルを複数使っている場合は、有効になっているもの以外の内容も控えておく。

あわせて、いまメニューバーに出ている項目のうち、直近1週間で一度も見ておらず、押してもいないものを洗い出しておく。この種の項目は、隠すのではなく表示そのものを止めるほうが管理が楽になる。多くのアプリは環境設定にメニューバーへ表示するかどうかのスイッチを持っており、そこを切れば並ばなくなる。macOSが用意している項目についても、コントロールセンターの設定で個別に表示の有無を選べる。移る前にここを減らしておくと、読み込みで振り分けられる件数が減り、確認も短く済む。

最後に、しばらくは元の道具をすぐ戻せる状態にしておく。乗り換えの判断は数日使ってからで遅くない。両方を同時に動かすと、どちらの設定が効いているのか分からなくなるため、新しい道具を試す間は前の道具を終了させておく。

入れ直す順番を決めておく

移ったあとの作業は、順番を決めておくと短くなる。

最初に、読み込んだ結果を確認する。件数が出るので、想定と大きく違っていないかを見る。次に、メニューバーに反映して、実際の並びを確かめる。ここで、同じアプリが複数の項目を出しているものを手で分け直す。

その次に、1日か2日そのまま使う。隠れていて困った項目を、常に見せる側へ移す。この段階では条件やショートカットを作らない。隠す対象が固まる前に条件を作ると、対象が動いたときに作り直しになるためである。

対象が固まってから、ショートカットを作る。畳む、広げる、隠した項目を探す、といった操作のうち、実際に使うものだけでよい。最後に条件を作る。電池残量や時間帯で出し入れする設定は、必要性がはっきりしたものだけに絞ると、あとで管理しやすくなる。

この順番なら、移った直後の不安定な期間を短くできる。全部を一度に作り直そうとすると、どの設定が効いているのか分からなくなり、切り分けに時間がかかる。

権限の確認を忘れない

道具を入れ替えたあとに動かないという相談の多くは、権限が原因である。メニューバーの項目を並べ替えたり隠したりするには、システム設定のプライバシーとセキュリティでアクセシビリティの許可が要る。実装によっては、メニューバーの表示内容を読み取るために画面収録の許可も使う。

Appleは、この種の許可について次のように位置づけている。要点をまとめると次のようになる。

Macの一部のアプリは、ほかのアプリの画面や操作に関わる動作のために、システム設定のプライバシーとセキュリティで許可を受け取る必要がある。許可はアプリごとに利用者が与え、あとから取り消すこともできる。 出典: support.apple.com

新しい道具を入れたら、この一覧に該当のアプリが並んでいるか、チェックが入っているかを見る。前の道具の許可が残っている場合は、使わなくなった時点で外しておくと、どちらが動いているのか分からなくなる事態を避けられる。アプリの版が上がって中身が入れ替わったときに、一覧に載っているのに効いていない状態になることもある。その場合は一度外して入れ直す。

候補を比べるときに見る項目

乗り換え先を選ぶときは、機能の数より、日々の手数に効く部分を見る。案内ページで確かめられる項目は次のとおりである。

隠したあとにどう触るかは、機能をまとめたページに書かれている。できることでは、畳む操作と、隠した項目の呼び出し方が説明されている。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける形かどうかで、1日に何度も触る項目での手数が変わる。

同じ用途の道具の違いは、比較のページで見る。ほかの道具との違いには、対応の範囲や提供の形が並べて示されている。比較の情報は時期によって変わるため、いつ時点のものかを見て読む必要がある。この記事の内容も2026年9月時点のもので、各配布元の公開情報を確認してほしい。

費用の形は、買い切りか、期間ごとの支払いか、大きな版が上がったときに追加の支払いが要るかで違う。料金に支払いの形が書かれている。乗り換えは一度きりの作業ではないので、数年単位でどうなるかを見ておくと判断がぶれない。

設定の読み込みで何が移るかといった細かい点は、よくある質問にまとまっていることが多い。実際に試す段階になったら、ダウンロードから入手し、対応するmacOSの範囲を確かめてから入れる。

よくある質問

Bartenderの設定は、そのまま全部移せる?

移るのは3つの分類だけである。表示、非表示、常時非表示という分け方が、移った先の同じ3つのゾーンへ対応づけられる。キーボードショートカット、条件やトリガーの設定、アイコンの間隔などは移らないため、必要なものは移ったあとに作り直すことになる。

プロファイルを複数使い分けているけれど、全部読み込まれる?

読み込まれるのは、いま有効になっているプロファイル1つだけである。場面ごとに切り替えて使っている場合、他のプロファイルの内容は移らない。乗り換える前に、有効になっていないプロファイルの中身を控えておくと作り直しが楽になる。

読み込みを押したのに、メニューバーの並びが変わらない。

読み込みと反映は分かれている。読み込んだ段階では並びは変わらず、そのあとに反映の操作を行った時点で実際のメニューバーに適用される。また、Bartender側で隠しているアイコンが1つもない場合は、その旨が表示されて何も変更されない。

同じアプリが2つのアイコンを出している場合はどうなる?

対応づけはアプリ単位で行われるため、そのアプリの項目はすべて同じゾーンに入る。片方は常に見せ、もう片方は隠したい場合は、読み込んだあとに手で分け直す。事前にどのアプリが複数の項目を出しているかを控えておくと、確認が早く済む。

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