Dozerの代わりを探すとき|手放してよい機能を先に決める

Dozerの代わりを探し始める理由は、たいてい同じところから来ます。新しいMacに移そうとしてHomebrewのコマンドが通らなかった。macOSを上げたら挙動が変わった。あるいは、そもそも更新が長く止まっていることに気づいた。乗り換え先を探す前に、公開されている記録で現状を確かめ、自分が本当に使っていた機能を切り分けておくと、選び直しが一度で済みます。

この記事では、公開情報で確認できる現在の状況、Dozerが実際に持っていた機能の一覧、手放してよいものと譲れないものの分け方、そして移行のときに引き継げないものを順に整理します。ここに書く日付と数値は2026年9月10日時点で確認できたものです。

公開されている記録が示している現状

まず、意見ではなく記録から確認します。ソースコードが公開されている場所を見ると、最後にコードが反映されたのは2023年11月30日です。公開されている版のうち、安定版として出ているのは4.0.0で、その公開日は2019年8月20日。先行版として出ている4.2.0が2020年7月13日で、これが最も新しい配布物になります。ライセンスはMPL-2.0、星の数は8,717で、関心を集めた道具であることは数字にも表れています。

ここで重要なのは、配布物の最終更新と、コードの最終更新に開きがあることです。コード側には新しい環境への対応が入っている一方、それを取り込んだ配布物は出ていません。つまり、公式に配られている実行ファイルを入れる限り、手元に来るのは2020年に作られたものになります。ソースコードから自分で組み立てれば新しい状態にできますが、開発の道具一式を用意する前提の作業です。

Homebrewでの扱いも変わりました。パッケージの定義には、提供終了を理由とする非推奨の印が2023年11月26日付で入り、その後に無効化されています。

disable! date: "2024-12-01", because: :discontinued 出典: github.com

この記述が入った状態を経て、定義そのものが2025年12月2日に一覧から削除されました。新しいMacで同じコマンドを打っても通らないのは、この経緯によります。なお、公開されている置き場所そのものは残っており、作者による終了の宣言が出ているわけではありません。事実として並ぶのは、配布物の更新が2020年で止まっていること、コードの更新が2023年で止まっていること、パッケージ管理の側が提供終了として扱ったことの3つです。

実際に使っていた機能を、先に洗い出す

代わりを探すときに失敗しやすいのは、機能表を横に並べて多いほうを選ぶやり方です。使っていない機能が多い道具を選んでも、日々の手数は減りません。まず、自分が実際に使っていたものを書き出します。

Dozerが持っていた機能を並べると、次のようになります。

  • 境界となる項目をメニューバーに置き、その向こう側を畳む基本の動き
  • 第2のグループ。Optionを押しながらクリックすると、別の区分を出し入れできる
  • 起動時に隠した状態で立ち上げる設定
  • 一定の時間が過ぎたら自動で畳む設定と、その待ち時間の調整
  • 項目を取り除く機能と、境界の項目自体を見せないモード
  • アイコンの大きさの調整、メニューやDockでの表示の切り替え
  • 並べ替えはmacOS標準のCommandを押しながらのドラッグに任せる

この中で、毎日使っていたものはいくつあるでしょうか。多くの場合、実際に使っていたのは最初の1つと、せいぜい3つ目までです。第2グループや待ち時間の調整は、設定した記憶はあっても、日常の操作としては意識に上らない部類に入ります。ここを正直に切り分けると、乗り換え先に求める条件が2つか3つに絞れます。

手放してよい機能と、譲れない機能の分け方

判断の軸は「その機能が無いと、1日に何回余計な操作が増えるか」です。回数に換算すると、迷いが減ります。

手放しても影響が小さいのは、設定時にしか触らない機能です。アイコンの大きさ、境界の項目を見せないモード、Dockへの表示の切り替え。これらは最初に決めたら二度と触らないため、乗り換え先に無くても日々の手数は変わりません。

逆に譲れないのは、押す回数に直結する部分です。よく押すアイコンを隠したときに、畳んだ状態から展開して探して押し、また畳むという往復が発生するなら、その回数だけ毎日負担が増えます。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りであれば往復は起きません。1日に5回押すアイコンがあるなら、往復の有無は月に150回の差になります。

もうひとつ譲れないのが、切り欠きのある機種での挙動です。項目が切り欠きの向こうへ回り込むと、表示されないだけでなく押すこともできません。この症状が導入の動機なら、乗り換え先がその領域をどう扱うかを先に確認します。

選択肢を、提供の形と更新の状況で並べる

同じ分野の道具を、2026年9月10日時点で確認できる情報で並べます。金額は各社の表示によるもので、地域や時期によって変わります。

名前 提供の形 費用 入手の経路 確認できた版
Dozer オープンソース(MPL-2.0) 無料 公開リポジトリからの配布 4.2.0(2020年)
Hidden Bar オープンソース(MIT) 無料 パッケージ管理とApp Store 1.10
Ice オープンソース(GPL-3.0) 無料 パッケージ管理 0.11.12
Bartender 商用 3,072円の買い切りなど 配布元のサイト 6.6.2
Barbee App Storeでの配布 無料とApp内課金 Mac App Store 4.3

対応するmacOSにも差があります。Iceは14以降、Bartenderは14以降が条件として示されています。Barbeeは11.0以降です。古いmacOSを使い続けている場合は、この条件だけで候補が絞られます。

入手の経路の違いも、使い始めの手間として表れます。App Storeで配布されているものは、初回の起動で配布元をどう扱うかを判断する場面がありません。購入した権利がApple IDに紐づくため、Macを買い替えたときも購入済みの一覧から入れ直すだけで戻ります。一方、配布元のサイトやパッケージ管理から入れるものは、更新の通知や取得の経路がその道具ごとに異なります。どちらが良いかではなく、更新をどこで受け取りたいかの好みで決まる部分です。

更新の状況は、費用より重要な判断材料になります。公開されている置き場所を見ると、Hidden Barのコードには2026年6月15日付の反映があり、Iceには2025年9月20日付の反映があります。無料であることと、手入れが続いていることは別の話です。同じ「無料のオープンソース」でも、最後の反映が何年前かで、次のmacOSが出たときの見通しが変わります。

移行のときに引き継げないもの

設定の引き継ぎを期待していると、そこでつまずきます。この分野では、道具のあいだで設定を持ち運ぶ仕組みが用意されていないのが普通です。理由は作りの違いにあります。

境界方式の道具は、「どのアイコンを隠すか」を設定として持っていません。持っているのは境界の位置だけで、隠れるかどうかはアイコンが境界のどちら側にあるかで決まります。この情報は、macOSが覚えているメニューバーの並び順の中にあります。したがって、乗り換え先が「アプリごとに隠す対象を記録する」作りであれば、そもそも移せる形のデータが存在しません。

引き継げるものと引き継げないものを整理すると、次のようになります。

  • 引き継げる: アイコンの並び順。これはmacOS側が持っているため、道具を入れ替えても位置は残る
  • 引き継げない: 隠す対象の指定、自動で出し入れする条件、キーボードの割り当て、待ち時間の設定
  • 作り直しになる: 常時見せるアイコンの選定。ただし、この作業自体は10分程度で終わる

古い道具を消してから新しいものを入れるか、両方を入れて比べるかは判断が分かれます。同時に2つを動かすと、どちらが並びを動かしたのか分からなくなり、切り分けが難しくなります。比べたい場合でも、片方を終了した状態で試すほうが結果を読み違えません。

移行の作業を、順番どおりに進める

引き継げるものが並び順だけだと分かれば、作業自体は短く済みます。所要時間はおおむね20分です。

最初に、いまの状態を記録します。畳んでいる状態を展開し、メニューバー全体が見えるようにしてから画面を撮っておきます。境界方式で運用していると、何を隠していたか自体を覚えていないことが多いためです。この1枚が、新しい道具で配置を作り直すときの下書きになります。

次に、古い道具を終了します。削除まではせず、まず終了だけにしてください。この状態でメニューバーを見ると、常駐している項目の実数が分かります。整理の道具を入れる前提が、そもそも何個あるのかという数字です。ここで20個近く並ぶなら、どの道具を選んでも、常時見せる対象を減らす作業からは逃れられません。

そのうえで新しい道具を入れ、権限を与えて動かします。メニューバーを扱う道具は、ほかのアプリの要素を操作するための許可を求めるのが一般的です。古い道具の許可が残っている場合は、システム設定の一覧から外しておくと、どちらが動いているのか分からなくなる事態を避けられます。

配置を作るのは最後です。撮っておいた画面を見ながら、常時見せるものと隠すものを決めます。ここで最初から完璧な配置を作ろうとせず、1週間使ってから、往復が発生したアイコンだけを戻す進め方のほうが早く落ち着きます。古い道具の削除は、新しい道具が1週間問題なく動いてからで構いません。

選び直しの考察: 数を減らす道具か、届きやすさを保つ道具か

この分野の道具は、大きく2つの設計に分かれます。ひとつは、見えている数を減らすことに集中した作り。もうひとつは、隠したあとの届きやすさまで含めて設計した作りです。Dozerは前者の代表格で、覚えることが少ないという明確な利点がありました。

選び直すときの材料は、次の3つの数字に集約できます。常駐しているアイコンの総数、そのうち1日に1回以上押すものの数、そして隠した状態から目的のアイコンを押すまでの動作数です。押すものが2つ以下であれば、前者の作りで十分に足ります。押すものが5つ以上あるなら、後者の作りに移したほうが、毎日の動作数が目に見えて減ります。

費用の差は、この判断のあとに考えれば足ります。無料の選択肢が複数あるため、金額だけを理由に選ぶ場面はほとんどありません。実際に効くのは、更新が続いているかどうかと、必要な機能がどちら側に入っているかです。機能を単位で並べて確認したい場合はできることに、設計の違いを横に並べて見たい場合はほかの道具との違いに整理があります。含まれる範囲と費用の関係は料金で確認できます。

最後は手元で確かめるのが確実です。候補を2つに絞ったらダウンロードから実際に動かし、いつも押しているアイコンを1つ隠して、そこから押すまでに何動作かかるかを数えてみてください。機能表では差が見えなくても、この数字には差が出ます。

よくある質問

Dozerはもう使えないのですか?

公開されている置き場所は残っており、配布物も取得できます。ただし最も新しい配布物は2020年7月13日付の4.2.0で、コードへの最後の反映は2023年11月30日です。Homebrewでは提供終了を理由に2023年11月26日付で非推奨とされ、その後に無効化を経て2025年12月2日に一覧から削除されています。

乗り換えると設定は引き継げますか?

隠す対象の指定、自動で出し入れする条件、キーボードの割り当ては引き継げません。境界の位置で隠す対象を決める作りでは、そもそも移せる形のデータがないためです。引き継がれるのはアイコンの並び順で、これはmacOS側が覚えています。選び直しの作業自体は10分程度で終わります。

無料の選択肢はほかにありますか?

オープンソースで無料のものが複数あります。2026年9月10日時点で確認できる範囲では、MITライセンスのものとGPL-3.0のものがパッケージ管理から入手でき、対応するmacOSの条件はそれぞれ異なります。無料であることと更新が続いていることは別の話なので、最後にコードが反映された日付も合わせて見ておくと判断しやすくなります。

代わりを選ぶとき、最初に見るべき点はどこですか?

1日に1回以上押すアイコンが何個あるかです。2つ以下なら、畳むことに集中した作りで足ります。5つ以上あるなら、隠したあとに直接押せるかどうかで毎日の動作数が変わるため、そこを基準にすると選び直しが一度で済みます。

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