Macの必須アプリは人によって違う|自分の分を決める手順
Macの必須アプリを調べると、どの記事にも十数本の一覧が並ぶ。ところが並んでいる顔ぶれは記事ごとに違う。同じ「必須」という語が、書いた人の作業を指しているからである。この記事では、他人の一覧を写す代わりに、自分にとっての必須を判定する手順を組み立てる。
必須という語が指しているのは、書いた人の作業である
おすすめアプリの案内は用途別に整理されているものが多く、無料のものと有料のものを並べて紹介する形が定着している。役に立つ情報ではあるが、そこに並ぶ顔ぶれは書いた人の仕事の内容で決まる。
平日なんて10時間以上触っている日もざらで、「あ、これちょっと不便だな…。」と思ったら、その場ですぐ便利なアプリを探してワークフローに取り入れるのが習慣です。 出典: digital-style.jp
1日に10時間画面に向かう人の必須と、週に数時間しか触らない人の必須は別物である。前者にとって打つ回数を減らす道具は毎日効くが、後者にとっては覚える手間のほうが大きい。
だから一覧を読むときは、並んでいる名前を写すのではなく、その道具が何の手間を減らしているのかを読み取りたい。手間の中身が自分にもあるなら候補になり、無いなら候補にならない。この読み方に変えると、十数本の一覧から残るのは2本か3本になる。
必須かどうかを4つの問いで判定する
候補を絞るときに使える問いを挙げる。順番に当てると、入れる前に判断がつく。
1つ目は、その手間が1週間に何回起きるかという問いである。回数が数えられないものは、まだ手間として認識できていない。数えられるようになるまでは候補に残さない。
2つ目は、macOSに入っている機能で済まないかという問いである。ウインドウの整列、スクリーンショット、画面の収録、パスワードの管理、繰り返しの作業の自動化は、いずれも標準で扱える。同じことをする道具を入れると、覚える対象が増えるだけになる。
3つ目は、メニューバーに常駐するかという問いである。常駐するものは動いている間ずっと帯にアイコンを出し、横幅を使う。常駐しないものは枠を使わないので、迷ったら先に試してよい。
4つ目は、外す手順が用意されているかという問いである。常駐するアプリは設定の項目やログイン時の起動の登録を残す場合がある。入れる前に外し方を確かめておくと、合わなかったときの手間が小さい。
| 問い | 通らなかった場合 |
|---|---|
| 週に何回起きる手間か | 回数を数えられるまで候補に残さない |
| 標準の機能で済まないか | 標準の機能を設定して終える |
| 帯に常駐するか | 常駐するなら枠と相談する |
| 外す手順があるか | 試用を短く区切る |
1週間の記録から自分の分を出す方法
問いに答えるには材料が要る。手っ取り早いのは、1週間だけ手間を書き留めることである。
やり方は単純で、作業中に「面倒だ」と感じた瞬間に、何をしていたかを1行書く。同じファイルを何度も探した、同じ文を打ち直した、設定の画面を何度も開いた、といった粒度でよい。標準のメモアプリでもリマインダーでも構わない。
1週間たつと、同じ内容の行が何本か並ぶ。並んだ本数がそのまま優先順位になる。3本以上並んだ手間から順に、それを減らす道具を探す。1本しか無いものは、まだ道具を入れる段階に来ていない。
この記録には副産物がある。手間の内容を言葉にすると、探すときの語が決まる。「ファイルを探すのが面倒」ではなく「同じフォルダを何度も開き直している」と書いてあれば、探す対象が具体的になる。一覧を眺めて良さそうなものを選ぶより、当たりが早い。
記録の期間を1週間にしているのは、曜日による偏りを避けるためである。会議が月曜に集まる人と金曜に集まる人では、平日の手間の出方が違う。
記録の行を道具に置き換える例
書き留めた行が、どう候補に変わるのかを具体的に見ておく。
「同じ文を打ち直している」という行が3本並んだ場合、候補は定型文を呼び出す系統になる。ただしその前に、macOSのテキスト置換の設定で足りないかを確かめたい。短い語を打つと決まった文に変わる仕組みが標準にあり、数が少ないならここで済む。
「コピーした内容を上書きして消してしまった」という行が並んだ場合、候補はクリップボードの履歴を残す系統になる。この系統は常駐するものが多いので、帯の枠を1つ使う前提で判断する。
「ウインドウを毎回同じ位置に並べ直している」という行が並んだ場合、まずmacOSのタイル表示とSplit Viewを確かめる。左右や四分割への配置は標準で扱えるため、3通り以上の並べ方を毎日切り替えるのでなければ足りることが多い。ステージマネージャで作業ごとにウインドウの組を切り替える手もある。
「同じフォルダを何度も開き直している」という行が並んだ場合は、道具より先にFinderのサイドバーとタグを見直したい。よく使うフォルダをサイドバーに登録し、種類の違うファイルにタグを付けるだけで開き直す回数が減る。
「通知で作業が途切れる」という行が並んだ場合は、集中モードの設定が該当する。通知を止める、特定のアプリだけ通す、時間帯で自動的に切り替えるといった指定ができる。道具を探すより、この設定を詰めるほうが早い。
こうして当てていくと、記録の行の半分ほどは標準の機能で片付く。残った行だけが、追加の道具を探す対象になる。
無料のものから試す順序が効く
候補が決まったら、無料のものから試す。1つの症状に効く小さな道具は無料で公開されていることが多く、これで済めば費用も枠も使わない。
無料体験2日目で購入。作業中のウィンドウ以外を暗くすることで、集中力を高めることができるアプリ。複数のディスプレイにも対応。 出典: sukiburo.jp
試用の期間があるものは、その期間を使い切る前に判断しないほうがよい。手の動きに合うかどうかは、説明を読んでも分からない。1週間ほど使って、記録に書いた手間の回数が実際に減ったかを見る。
配られている場所も見ておきたい。App Storeで配られているものは審査を通っており、削除も設定から扱える。作者のサイトから直接配られているものは、Appleの公証を受けているかどうかで初回の起動のしかたが変わる。
同じ系統の道具を2つ同時に入れないことも守りたい。どちらが効いているのか分からなくなり、判断ができない。とくに帯を整える系統は、2つ入れるとアイコンの位置を取り合って、どちらも思った通りに動かない状態になりやすい。
必須にしないほうがよいものもある
候補から外す基準も持っておきたい。
見た目を変えるだけのものは、最初の数日は楽しいが手間の回数を減らさない。記録に対応する行が無いなら、必須には入らない。
機械の数字を常に出すものも、扱いに注意が要る。温度や通信の速度を帯に出しておくと安心するが、見て何かを変えるわけではないなら、変わったときだけ知らせる形に回せる。帯の枠を1つ使う価値があるかを考えたい。
同じことを2通りでできるようにするものも外したい。標準の機能とほぼ同じ働きの道具を入れると、どちらを使うか毎回迷う。迷いは手間なので、片方に決める。
更新が止まっているものは、macOSの版が上がった直後に動かなくなる場合がある。最後の更新がいつかを確かめて、仕事で使う機械には入れる前に判断したい。
無料でも有料でも、機械の動きを深いところで変える系統は数を絞りたい。キーボードの入力を受け取る、画面の描画を読み取る、通信を経由させるといった働きのものは、画面収録やアクセシビリティ、ネットワークの許可を求める。許可を与えた数が増えるほど、不調が出たときの切り分けが長くなる。何のために許可が要るのかを説明している道具のほうが判断しやすい。
反対に、必須に入れやすいのは効果が数えられるものである。押す回数が減る、待ち時間が短くなる、消えるはずのものが残る。どれも1週間の記録と突き合わせれば確かめられる。効果が気分の話にしかならないものは、候補の下のほうに置いて構わない。
常駐するものには枠がある
必須の一覧が固まっても、全部を帯に出すと別の問題が起きる。
メニューバーは左にアプリのメニュー、右に状況メニューが並ぶ構造で、左側の長さは前面のアプリによって変わる。メニューの多いアプリに切り替えると左が伸び、右の項目が押し出される。あふれた項目は折り畳まれるわけではなく、単に描かれない。消えたことを知らせる合図も出ない。
ノッチのあるMacBookでは帯の中央が使えないため、押し出しが早く起きる。常駐するものが10個を超えたあたりから、前面のアプリを切り替えるたびに端の1つか2つが出入りする状態になる。
標準の設定でできる手当てもある。システム設定を開き、サイドバーを下へたどって「メニューバー」を選ぶと、標準の項目ごとに「常に表示」と「使用中に表示」を選べる。同じ設定には「メニューバーに追加することを許可」の欄があり、アプリごとに帯へ出すかどうかを決められる。並び順はCommandキーを押したままドラッグして変えられ、帯の外へドラッグすると項目を外せる。
帯そのものを隠す設定もある。「メニューバーを自動的に表示/非表示」には「常に」「デスクトップ上のみ」「フルスクリーン時のみ」「しない」の4通りがあり、隠しているときはポインタを画面の一番上に移動すると出てくる。画面の縦を稼げる代わりに、隠れている間は時計も状況も見えない。
コントロールセンター側へ寄せる手もある。メニューバーのコントロールセンターのアイコンをクリックして「コントロールを編集」を選ぶと、項目を追加したり並べ替えたりできる。帯に出す必要の薄い標準の項目をこちらへ寄せると、常駐するアプリのぶんの横幅が空く。
ただし、数を保ったまま畳む仕組みは標準に含まれていない。減らすか並べ替えるかのどちらかになる。
自分の分を決めてから帯を整える
必須の一覧と帯の整理は、同じ作業の表と裏である。必須を増やすほど帯が混み、帯が混むほど押したいものが見つからなくなる。
目安は押す頻度で3段階に分けることである。1日に何度も押すものは2つか3つに収まることが多い。次に、気になったときだけ押すもの。最後に、動いていることが分かればよく、押すことがほぼ無いもの。3段目は常時隠す扱いでよく、2段目は畳んで必要なときに呼び出す形が合う。
この分け方で組むと、必須の数を増やしても帯は落ち着く。できることには、仕切りより左へ送って時計のまわりを空ける仕組みと、隠したものを元の見た目のまま呼び出す仕組みが説明されている。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りなら、畳んでも押す手数は増えない。
同じ用途の道具は無料のものから買い切りのものまで幅がある。価格と払い方、対応するmacOSの下限を並べた表はほかの道具との違いにあり、調査日が添えられている。買い切りの範囲は料金で確かめられる。画面収録とアクセシビリティの許可が必要になる理由はよくある質問に説明があり、乗り換えのときに前の道具の分け方を引き継げるかもそこに書かれている。手元で試すならダウンロードから入手する流れになる。
手順を整理しておく。1週間だけ手間を書き留める。3本以上並んだものから順に、標準の機能で済まないかを確かめる。済まないものだけ、無料のものから試す。残ったものを押す頻度で3段階に分け、下の2段を畳む。この順で進めると、他人の一覧を写さずに自分の必須が決まり、帯も埋まらない。
よくある質問
必須アプリの一覧は参考にならない?
一覧そのものは役に立つ。読み方を変えるとよい。並んでいる名前を写すのではなく、その道具が何の手間を減らしているのかを読み取り、同じ手間が自分にもあるかで判断する。書いた人の作業量と自分の作業量が違うほど、写しても効かない。
何本くらいまで入れてよい?
常駐しないものは帯の横幅を使わないので数の制約は薄い。メニューバーに常駐するものは10個を超えたあたりから、前面のアプリを切り替えるたびに端のアイコンが出入りするようになる。入れる前に常駐するかどうかを確かめ、数え分けるとよい。
無料のものと有料のものはどう試し分ける?
無料のものから試す。1つの症状に効く小さな道具は無料で公開されていることが多く、これで済めば費用も帯の枠も使わない。有料のものは試用の期間を使い切ってから判断し、記録に書いた手間の回数が実際に減ったかを確かめる。
入れたあとに合わないと分かったら?
外す手順を入れる前に確かめておくと手間が小さい。App Storeから入れたものは設定から削除でき、作者のサイトから入れたものはアプリ側に手順が用意されていることが多い。常駐するアプリはログイン時の起動の登録が残る場合があるため、そこも合わせて解除する。