MacBookの便利機能で、最初から入っているのに使われていないもの
MacBookの便利機能を探すとき、まず当たるべきなのは最初から入っている側である。追加のアプリを入れないまま使える仕組みが多く、使っていない理由のほとんどは存在を知らないことにある。この記事は、クイックルック、iPhoneやiPadと組み合わせる連係機能、コピーとタスクの受け渡し、ファイルの探し方、ウインドウの並べ方の5領域について、Appleの公開資料で確かめられる操作を並べ、最後に機能を増やしたあとに残る片づけまで扱う。
追加のアプリが要らない範囲は広い
Appleデバイスをまたぐ機能は、まとめて連係と呼ばれている。この仕組みの入口が低いことは資料にも明記されている。
連係機能は、デバイスのオペレーティングシステムや、毎日のように使う多くのアプリに直接組み込まれています。インストールが必要な追加アプリはありません。 出典: support.apple.com
使い始める条件は、各デバイスで同じApple Accountにサインインしておくことである。ただし機能ごとに最小システム条件があり、一部はWi-FiとBluetoothを要する。手元の機種で全部が動くとは限らないので、動かないときは条件の側を先に見ることになる。
地域による制限もある。iPhoneミラーリングは、住んでいる国または地域で使えることが前提で、現在はEUでは使えないと案内されている。日本では使えるが、海外で使う前提の記事を読んで手順どおりに進まない場合は、この種の制限が背景にあることがある。
スペースバーを押すだけで中身を見る
ファイルを開かずに中身を確かめる仕組みがクイックルックである。Finderやデスクトップ、メール、メッセージの中で項目を選び、スペースバーを押すと開く。もう一度スペースバーを押すと閉じる。
この窓は見るだけの窓ではない。中でできることが並んでいる。
- 写真を回転する。繰り返しクリックすると回り続ける
- オーディオやビデオをトリミングする。黄色のハンドルをドラッグし、完了時に元のファイルを置き換えるか新規作成するかを選ぶ
- マークアップを使って書き込む
- 複数の項目を選んだ場合は、左右の矢印キーで送り、Command+Returnキーでグリッド表示に切り替える
- スクリーンショットや写真なら、Controlキーを押しながらクリックして被写体をコピーを選ぶと、背景から切り離した被写体を書類やメールにペーストできる
画像から人物だけを抜いて資料に貼る作業は、これだけで済む場面が多い。Live Photosを開くとビデオ部分が自動で再生され、左下隅のLive Photosをクリックすればもう一度見られる。HDR画像も表示でき、クイックルックが前面にあるときだけHDRとして表示される仕様になっている。
iPhoneやiPadをMacBookの部品として使う
手元にiPhoneかiPadがあるなら、周辺機器を買わずに増やせる機能がある。
連係カメラは、iPhoneをMacのWebカメラまたはマイクとして使う機能である。Webカメラとして使う場合は、机の上を映すデスクビューなどのビデオエフェクトも使える。内蔵カメラの画質に不満がある会議で、追加の機材を買う前に試せる範囲になる。
Sidecarは、iPadをMacの2台目のディスプレイにする機能である。デスクトップを広げる使い方と、同じアプリを両方の画面に出して別の機能を操作する使い方の2通りが挙げられている。
ユニバーサルコントロールは、1つのキーボードとトラックパッドまたはマウスでiPadとMacの両方を操作する機能である。2台のあいだでポインタを行き来させる形になるため、画面を広げるSidecarとは用途が違う。
スキャンの取り込みも連係で済む。iPhoneやiPadのカメラで写真を撮るか書類をスキャンすると、そのままMacの書類に挿入できる。紙の書類をPDFにするために複合機の前へ行く手数が消える。
Apple Watchを持っているなら、Macのロック解除と認証リクエストの承認をWatchで行える。パスワードを打つ回数が減る変更としては効きが大きい。
コピーとタスクを別のデバイスへ渡す
同じApple Accountで揃えていると、コピーと作業の受け渡しがまたげる。
ユニバーサルクリップボードは、あるデバイスでコピーしたテキスト、画像、写真、ビデオを、別のデバイスでペーストできる機能である。iPhoneで見ている住所や文面をMacに持ってくるとき、自分宛にメッセージを送る必要がなくなる。
Handoffは、書類の作成やメールの作成、Webの閲覧といった作業を1台で始め、途中から別のデバイスで再開する機能である。移動の前後で同じ画面を開き直す手間が減る。
AirDropは、近くにいる人のAppleデバイスと写真やビデオ、連絡先を共有する仕組みで、iPhoneとiPadとMacのあいだではドラッグ&ドロップで渡せる。ファイル共有サービスにいったん上げる形より速い場面が多い。
Wi-Fiの側では、iPhoneまたはiPadのインターネット共有を使ってMacをインターネットにつなげる。AirPlayを使えば、iPhoneやiPadからMacへ、あるいはMacからテレビへ、ビデオやオーディオを送れる。
ファイルを探す時間を削る2つの仕組み
探す時間は積み上がる。ここで効くのはSpotlightとタグの2つである。
Spotlightは、Command+スペースバーで開く。アプリやファイルの検索だけでなく、数式や単位の換算をその場で出す、クリップボードの履歴を検索する、アクションを実行する、といった使い方が案内されている。上矢印キーを押すと以前の検索を呼び戻せる。開いたパネルはデスクトップ上にドラッグできて、大きさを変えると表示される結果の数が変わる。電卓や履歴の道具を別に入れる前に、この範囲で足りるかを見ておくと、入れるアプリの数が減る。
タグは、ファイルとフォルダに色と名前を付けて後から束ねて呼び出す仕組みである。Macに保存してあるファイルでもiCloudに置いてあるファイルでも同じように働き、1つの項目に複数のタグを付けられる。効くのはキーボードショートカットで、ファイルを選んでControl+1キーからControl+7キーまででよく使うタグを追加したり外したりできる。Control+0キーを押すとそのファイルのタグが全部外れる。フォルダの階層を作り直すより手数が少ない整理の仕方になる。
保存の時点で付けることもできる。ファイルメニューから保存を選び、保存ダイアログのタグフィールドに入力するか、一覧から選ぶ形である。
画面の広さを、買い替えずに増やす
macOSにはウインドウをタイル表示する仕組みが入っている。方法は5通りあり、画面の端にドラッグする、Optionキーを押したまま強調表示された場所にドラッグする、ウインドウの左上隅にある緑色のボタンを使う、ウインドウメニューから選ぶ、キーボードショートカットを使う、のいずれでも同じ結果になる。
覚えるなら緑色のボタンが早い。ポインタを乗せるとレイアウトの一覧が出て、Optionキーを押すと追加のレイアウトが出る。2分割と4分割のほか、アクティブなウインドウを画面の中央に置く、デスクトップ全体に広げる、といった操作もここから選べる。
つまずきやすいのは、ウインドウを画面の上端にドラッグするとMission Controlが開くことである。タイル表示のつもりで上へ運んで操作スペースの一覧が開く場合は、デスクトップとDock設定にある「ウインドウを画面上部にドラッグしてMission Controlに入る」をオフにすると止まる。
画面の記録まわりも押さえておきたい。Shift+Command+5キーでスクリーンショットのツールが開き、保存先やタイマー、マイクを選べる。ファイルとして残さず貼るだけなら、Controlキーを足すとクリップボードに入る。画面全体をコピーするならControl+Shift+Command+3キーになる。保存されるファイルはスクリーンショットが.png、画面収録が.movで、名前には撮った日時が入る。
便利機能を足すと、増えるのはメニューバーのアイコン
機能を使い始めると、画面の上端に変化が出る。常駐するアプリはメニューバーの右端にアイコンを置くので、クラウドストレージ、チャット、パスワード管理、会議、バックアップ、画面の切り出し、入力の切り替えを揃えた時点で右半分は埋まる。MacBookではノッチの分だけ使える幅が狭く、埋まる速さも上がる。
macOSの側にも手立てがある。メニューバーの項目はCommandキーを押したままドラッグして並べ替えられ、外へドラッグすれば素早く削除できる。メニューバーを自動的に非表示にする設定もあり、この場合はポインタを画面上部に動かしたときだけ現れる。
状況メニューの配置を変更するには、Commandキーを押したままアイコンをドラッグします。状況メニューを素早く削除するには、Commandキーを押したままアイコンをメニューバーの外にドラッグします。 出典: support.apple.com
ただし、消してよい項目は限られる。コントロールセンターのアイコンの横に出るプライバシーインジケータは、オレンジ色のドットがマイクの使用中、緑色のドットがカメラの使用中、紫色のドットがシステムオーディオの録音中、矢印が位置情報の使用中を示す。一度に出るのは1つだけで、マイクとカメラの両方が動いているときは緑色のドットだけが出る。連係カメラで会議をする場面では、この表示が見えている状態を保ちたい。
判断は3つに割り振ると決まりやすい。常に見せるのは時計や入力の切り替えのように視線を送る前提のもの。畳んで隠すのは、押すことはあるが常時見ている必要のないもの。消すのは、状態も見ないし押しもしないものである。数がいちばん多いのは真ん中の層で、ここの扱いがメニューバーの混雑の実態になる。
メニューバーを整理する道具を使う場合、実用の分かれ目は畳んだまま押せるかどうかにある。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りであれば、真ん中の層をまとめて隠す判断ができる。畳んだ状態からいったん全部を開いて探す作りだと、隠す前と手間が変わらない。道具の側で何ができるのかはできることに整理されている。
同じ用途の道具は複数あり、対応するmacOSの範囲や提供の形が違う。並べて見たい場合はほかの道具との違いが使える。比較の内容は時期で変わるため、見た日付を意識して読むことになる。支払いの形は買い切りと期間契約で考え方が変わるので、料金で確かめておきたい。
導入で引っかかりやすいのは、macOSに与える権限まわりである。メニューバーの項目を並べ替えたり隠したりするには許可が要り、macOSを大きく上げたあとに入れ直すことになる場合がある。この種の疑問はよくある質問にまとまっている。手元で試す段になったら、ダウンロードから対応するmacOSの範囲を確かめて入手する流れになる。
順番をまとめておく。まずスペースバーとCommand+スペースバーを手に覚えさせる。次に手元のiPhoneやiPadで動く連係機能を1つ試す。そのあとタグとタイル表示を足す。追加のアプリを入れる判断は、この4つを試したあとに残った不満に向けると、何が足りていないのかが具体的に言えるようになる。
よくある質問
MacBookの便利機能を1つだけ覚えるなら?
クイックルックが手数に効く。ファイルを選んでスペースバーを押すだけで中身が開き、写真の回転やビデオのトリミング、マークアップ、被写体を切り離してコピーする操作までその窓の中でできる。アプリを起動して閉じる往復が消えるため、1日に何度も効く。
連係機能を使うのに追加の費用や導入作業は必要?
費用も追加アプリも要らない。各デバイスで同じApple Accountにサインインしておくことが条件になる。ただし機能ごとに最小システム条件があり、一部はWi-FiとBluetoothを使う。動かないときは設定を探す前に、機種とOSが条件に入っているかを確かめる順になる。
ファイルの整理はフォルダとタグのどちらがよい?
併用が現実的である。タグは1つのファイルに複数付けられ、MacでもiCloudでも同じように働く。Control+1キーからControl+7キーでよく使うタグを付け外しでき、Control+0キーで全部外せる。フォルダの階層を組み替えるより手数が少ない。
機能を増やすとメニューバーが埋まる。どう片づける?
状態も見ないし押しもしない項目はCommandキーを押したままメニューバーの外へドラッグして外す。残りは常に見せるものと畳んで隠すものに分ける。マイクやカメラの使用を示すプライバシーインジケータは状態表示として意味があるため、会議や収録をするなら見える側に置く。