Hidden Barの料金と無料でできる範囲|買い切りか、継続課金か

メニューバーのアイコンを隠す道具を探していて、料金のページが見当たらない。無料と書かれているが、あとから有料版に誘導されるのではないか。そう身構えるのは自然なことになる。この道具に関しては、価格の構造は単純で、注意すべき点は金額ではなく別のところにある。公開されている情報をもとに、費用の全体像を整理する。

価格は0円で、有料版も追加の課金もない

Mac App Store の配信ページでの価格は0円と表示されている。提供元は Dwarves Foundation Company Limited で、公開は2019年2月19日になる(2026年9月10日時点のアプリ情報より)。

無料の道具にありがちな仕掛けも、公開されている範囲では見当たらない。

  • アプリ内課金の項目が用意されていない
  • 機能を制限した無料版と、解除する有料版という分け方が無い
  • 試用期間の終了で使えなくなる仕組みが無い
  • 広告の表示や、別のアプリの同梱が無い

GitHub のリリースからダウンロードする場合も、Homebrew から入れる場合も同じく費用はかからない。brew install --cask hiddenbar で入る cask の直近365日のインストール数は28,968件と集計されており、App Store 以外の経路も実際に使われていることが分かる。

無料である理由は、配り方と作り方の側にある

価格が0円で維持されているのは、値引きではなく配布の形による。このアプリはソースコードが公開されていて、MITライセンスで配られている。

Permission is hereby granted, free of charge, to any person obtaining a copy of this software and associated documentation files (the "Software"), to deal in the Software without restriction. 出典: github.com

リポジトリは2019年2月12日に作られ、スターは14,687件、フォークは463件になる。規模の面でも参考になる数字がある。設計文書によれば、本体はSwiftで約1,500行、外部の依存はショートカット登録のための小さなライブラリ1つだけになる。サーバーとの通信を行わないため、運営側に継続的に発生する費用が小さい。課金の仕組みを持たない選択が成り立つのは、この構造があるからになる。

ソースコードが公開されていることは、費用の話としても意味を持つ。設計の文書に、ネットワークの権限を持たず、ファイルの読み書きも外部プロセスとのやりとりも行わないと書かれているだけでなく、その記述が正しいかどうかを第三者が確かめられる状態になっている。無料の常駐アプリで気になりやすい、利用状況の収集や広告の配信といった収益の経路が本当に無いのかを、公開されたコードとライセンスの側から確認できる形になる。

利用者にとっての意味は2つある。ひとつは、料金の改定という事象がそもそも起こりにくいこと。もうひとつは、開発が止まったとしても、コードが公開されている以上、誰かが引き継ぐ余地が残ることになる。

無料で支払っているのは、更新とサポートの手間

金額がかからない代わりに、利用者の側が受け持つものがある。ここが実際の判断材料になる。

まず配信の状況になる。App Store で配信されているのはバージョン1.8で、最終更新は2021年6月1日のまま動いていない。一方、GitHub のリリースの最新は v1.10 で、公開日は2026年3月3日になる。App Store の自動更新に任せている限り、新しい版は手元に届かない。新しい版を使うなら、GitHub か Homebrew を選び、更新の操作を自分で行う形になる。

次に窓口になる。困ったときの相談先は、問い合わせフォームではなく開発元のリポジトリの課題の一覧になる。未解決の課題は101件公開されており、同じ症状が先に登録されていることも多い。回答の期限は決まっていないので、急ぎの用件を抱えている場合はこの点を織り込む必要がある。

最後にOSの更新への追随になる。この道具は区切りの項目の横幅を伸ばして左側を画面の外へ押し出す方式で、macOS 側のメニューバーの作りが変われば影響を受ける。実際、macOS 27のベータでこの方式が効かなくなったという報告が2026年6月8日に登録され、調査中とされている。無料であることと、OSの更新に合わせて直ちに対応が出ることは別の話になる。

同じ用途の道具にある3つの値段の付き方

費用を比べるときは、金額の大小より先に、支払いの形を3つに分けておくと判断しやすい。次の内容は2026年9月10日に各配布元の公開ページで確認したものになる。

支払い
無料で公開されているもの 支払いなし。窓口は課題の一覧 この道具(MIT)、Ice(GPL-3.0)
無料の本体に買い切りを上乗せするもの 基本は無料。追加機能だけ一度きりの支払い Vanilla。Pro は10ドルの買い切りで、1つのコードを10台まで有効化でき、30日間の返金保証が案内されている
有料で階層を持つもの 買い切り、年額、生涯利用が並ぶ Bartender4週間の試用と14日間の返金が案内されている

3つの形のどれを選ぶかで、比較の手間も変わる。無料で公開されているものは、価格の確認が要らない代わりに、更新が続いているかを自分で見に行くことになる。買い切りを上乗せする形は、無料のまま使い続けて、必要になった時点で払うか決められる。有料で階層を持つものは、試用の期間内に判断を終える前提になるので、入れた日を控えておくと迷わない。

金額は公開ページで随時変わるため、この記事では確認できた形だけを記載している。実際に支払う前には、各配布元の表示を自分で確かめるのが確実になる。

支払いの形が違うと、比べる観点も変わる。買い切りは、その版に対する支払いであることが多く、次の大きな版が出たときに追加の支払いが発生するかどうかを確認しておく必要がある。年額は、OSの更新に合わせた対応を継続的に受け取れる代わりに、使い続ける限り支払いが続く。無料のものは、そのどちらの約束も無い代わりに、支払いも無い。

買い切りと継続課金のどちらが向くか

金額そのものは、この用途では大きな差にならない。差が出るのは次の4点になる。

  • 使う期間。1年で入れ替える前提なら年額の負担は小さく、5年使う前提なら買い切りのほうが総額で有利になりやすい
  • OSの更新への追随。毎年の秋に出るmacOSの新しい版に、すぐ対応してほしいかどうか
  • 窓口の要否。仕事で使っていて止まると困るなら、返答の経路がある形に費用を払う意味が出る
  • 台数。複数のMacで使うなら、1つのライセンスで何台まで有効化できるかが実質の単価を決める

この4点のうち3つ以上が「不要」なら、無料の道具で足りる可能性が高い。逆に、仕事で毎日使っていて、OSの更新のたびに止まると困るなら、金額の差より対応の速さを買う判断になる。どちらが正しいということはなく、止まったときに自分が困る度合いで決まる。

無料の道具が止まったときに何が起きるか

費用が0円の道具を選ぶときに、いちばん気にすべきなのは金額ではなく、止まったときの逃げ道になる。ここは公開されている条件から具体的に読める。

コードがMITライセンスで公開されているため、開発が止まっても、コードそのものが消えることはない。第三者が引き継いで公開し直すことも、自分で必要な部分だけ直して使うことも、ライセンスの上では認められている。実際、この分野には同じように公開されている道具が複数あり、IceはGPL-3.0で配られていて、スターは29,574件になる(2026年9月10日時点)。

一方で、有料の道具が止まった場合は事情が違う。手元で動いているうちは使えるが、ライセンスの認証をサーバー側で行う作りなら、認証が止まった時点で使えなくなる可能性がある。購入の前に、認証の方式と、通信できないときの扱いを確認しておくと、この差を把握できる。

実務的な備えとしては、いま動いている版の配布物を手元に残しておくのが確実になる。GitHub のリリースの配布物は約7.7MBのzipひとつなので、保管の負担も小さい。新しい版で不具合が出たときに、動いていた版へ戻せる状態にしておく意味もある。

有料に移るなら、何を買っているのかを言葉にする

無料の道具から有料の道具へ移るとき、判断が鈍るのは「良さそうだから」で決めようとするときになる。買っているものを具体的に書き出すと、金額に見合うかどうかが判定できる。

  • 時間。隠したアイコンに触れるたびの往復や、更新のたびの手作業が減るなら、その分の時間を買っていることになる
  • 対応の速さ。macOSの新しい版が出たあと、何週間で対応が出るか。仕事で止まると困るなら、ここが最大の支払い先になる
  • 作りの範囲。ノッチの下に潜った項目の扱い、複数の区画、条件による表示の切り替えなど、無料の道具が持たない範囲があるか
  • 窓口。返答の経路があるかどうか。課題の一覧に登録して待つ形で足りるかどうかで決まる

この4つのうち、自分に当てはまるものが1つも無いなら、支払う理由も無いことになる。逆に、2つ以上当てはまるなら、金額の差はおそらく問題にならない。年額と買い切りのどちらを選ぶかは、そのあとで期間から計算すれば足りる。

費用の前に確かめておく4点

料金だけを見て決めると、あとから前提が崩れることがある。金額とは別に、次の4点を確かめておきたい。この道具について公開情報で確認できた内容も添える。

  • 提供が終了していないか。リポジトリは公開が続いており、最新のリリースは2026年3月3日、コードの更新は2026年6月15日に記録されている
  • 新規の受け付けが止まっていないか。App Store の配信は継続しており、GitHub と Homebrew からの入手も止まっていない
  • 運営が変わっていないか。2019年の公開時から Dwarves Foundation が開発元として記載されている
  • 料金の改定が予定されていないか。有料の仕組みを持たないため、改定という事象が発生しない構造になる

有料の道具を検討する場合は、同じ4点を相手の公開ページで確認する。特に、運営の交代と、次の大きな版での追加の支払いの有無は、金額の表示だけでは分からないことが多くなる。

費用の話が終わったあとに残る判断

料金が0円だと分かっても、選ぶ理由がそれだけになるわけではない。使ううえで効いてくるのは、隠したアイコンにどう触れるか、ノッチの下に潜った項目をどう扱うか、といった作りの違いになる。畳んだままアイコンを押してその場でメニューを開ける作りかどうかで、1日の操作回数は変わる。何ができるかはできることに整理してある。

方式の違いを横に並べたい場合はほかの道具との違いを見ると、隠し方と、隠したあとの触り方の差が分かる。支払いの形を自分の使い方に当てはめて確かめたいなら料金で条件を見比べるのが早い。台数の扱いや、乗り換えたときに設定を引き継げるかといった疑問はよくある質問にまとめてある。金額を比べる前に手元で挙動を確かめたい場合は、ダウンロードから試して、この記事の4点の判断軸に自分の使い方を当てはめてみるとよい。

よくある質問

本当に無料ですか。あとから請求されませんか?

App Store の配信ページでの価格は0円で、アプリ内課金の項目も用意されていない。ソースコードがMITライセンスで公開されており、課金の仕組みそのものを持たない作りになっている。GitHub からのダウンロードも Homebrew からの導入も費用はかからない。ただし、支払いが無い代わりにサポートの窓口は課題の一覧になる。

無料と有料で、実際に何が変わりますか?

機能の差より、更新とサポートの形が変わる。有料の道具は、OSの更新への対応や問い合わせの経路を継続的に提供する代わりに、買い切りや年額での支払いを求める。無料の道具はその約束を持たない。仕事で毎日使っていて止まると困るかどうかが、支払う意味があるかどうかの分かれ目になる。

App Store版とGitHub版で費用は違いますか?

どちらも0円で、費用の差はない。違うのは版と更新の受け取り方になる。App Store の配信は2021年6月1日のバージョン1.8で止まっており、GitHub の最新は2026年3月3日公開の v1.10 になる。新しい版を使うなら、更新の操作を自分で行う前提になる。

有料の道具を選ぶとき、料金以外に何を見ればよいですか?

提供が終了していないか、新規の受け付けが続いているか、運営が変わっていないか、料金の改定が予定されていないかの4点になる。特に、次の大きな版が出たときに追加の支払いが必要かどうかは、価格の表示だけでは分からないことが多い。購入の前に配布元の公開ページで確かめておきたい。

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