Ice menu bar app をMacで使う前に確かめたい4つのこと

Macのメニューバーの右側が同期アプリやVPNの切り替え、クリップボード、電池の表示で埋まってきて、押したいアイコンを毎回目で探している。そういう状態のときに「ice menu bar app mac」という言葉にたどり着く人は多い。無料で、評判もよく、とりあえず試せそうに見えるからだ。ここでは、Iceが実際に何をする道具なのか、無料であることが何を含んで何を含まないのか、そして入れる前に確かめておきたい点を、公開されている情報だけで整理する。

メニューバーが埋まるのは、この10年で当たり前になった

メニューバーの右側に常駐アイコンを置く仕組みは、もともと電池残量や音量のように「見れば分かる情報」を出すための場所だった。ところが、クラウドの同期サービス、コミュニケーションの道具、パスワード管理、画面収録、開発環境、更新の通知まで、常駐する側のアプリが増えた。今では、インストールしたことすら忘れているアプリが黙って1つ席を取っている状況が普通になっている。

厄介なのは、この場所に上限があることだ。ウィンドウのように重ねたり畳んだりできないので、アプリの数が増えれば横に伸びていく。そしてノッチのあるMacBookでは、伸びた先が物理的に切り欠きにぶつかる。左端に押し出されたアイコンはノッチの下に潜り込んで、クリックできなくなる。数が増えると「探しにくい」が「触れない」に変わるのは、ここに理由がある。

macOS自身にも整理する手はある。システム設定を開けば、Bluetooth、Wi-Fi、サウンド、Time Machine、画面ミラーリング、時計の各要素は、消すか「使用中のみ表示」に切り替えられる。サードパーティのアプリも、環境設定に「メニューバーに表示しない」を持っているものが少なくない。ここまでは費用ゼロで、所要時間は10分程度だ。それでも消せないのが、隠す設定を持たないアプリのアイコンで、メニューバー管理アプリという分類はそこを埋めるために存在している。

Iceとは何か。公開されている情報で分かること

IceはJordan Baird氏が開発している、macOS向けのオープンソースのメニューバー管理アプリで、GitHubで公開されている。リポジトリの説明は「a powerful menu bar management tool」で、やっていることの中心は単純だ。メニューバー右側の常駐アイコンの列を、表示する区画と隠す区画に分ける。隠す区画に移したアイコンは普段の列から消え、必要なときに区画を展開すると戻ってくる。

機能はそれだけではない。プロジェクトページに挙がっているものを整理すると、隠した項目の出し方が複数用意されていること(カーソルを重ねる、クリックする、スクロールする)、ドラッグ&ドロップでの並べ替え、メニューバー自体の見た目の調整(色味、影、枠線、角の丸み)、常駐アイコンの検索、ホットキーの割り当て、ログイン時の自動起動、自動更新が含まれる。アイコンの間隔調整とグループ化はベータとして記載されている。

リポジトリの数字も判断材料になる。2026年9月5日時点で、スターは約29,500、フォークは876、コミットは1,140、未解決のissueは380件ある。スターが3万近いのは、それだけ多くのMac利用者が役に立つと判断したということだ。未解決のissueが数百件あるのは、報告の流入量が処理量を上回っているということで、少人数で維持されている人気プロジェクトではよくある形でもある。どちらか一方だけを取り出して評価するより、両方をそのまま受け取るほうが実態に近い。

macOS 14以上という線引きが、最初の分かれ道

Iceが動くのはmacOS 14以降で、これは「そのうち対応する」たぐいの話ではない。プロジェクト側が理由を明示している。

Ice is a powerful menu bar management tool. It uses a number of system APIs that are available starting in macOS 14, and there are no plans to support earlier versions. 出典: github.com

macOS 14以降で追加されたシステムのAPIを使っており、それ以前の版を支える予定はない、という趣旨だ。

この線引きは見た目より重い。メニューバーが混むという問題は新しい機種ほど起きるわけではなく、むしろ何年も使い続けて常駐アプリが積み上がった古いMacのほうが深刻になりやすい。ところが、そういうMacほどOSの版が上がっていない。自分の判断で上げていない場合もあるし、機種が新しい版の対象から外れている場合もある。手元のMacがVenturaやMontereyのままなら、Iceは選択肢に入らず、設定をどういじっても変わらない。比較を読み込む前に、アップルメニューの「このMacについて」でOSの版を見るほうが早い。どの機種がどの版に対応しているかはAppleサポートで公開されている。

無料であることの中身。GPL-3.0が示していること

Iceは無料で、ライセンスはGPL-3.0のオープンソースだ。試用期間もライセンスキーもアップグレード費用もない。開発者はGitHub SponsorsとBuy Me a Coffeeで任意の支援を受け付けているが、支払いによって解放される機能はない。

寄付で支えられる無料ソフトウェアには決まった形があり、自分の環境を預ける前に理解しておく価値がある。良い側から書くと、ソースが公開されているので、アプリが何をしているかを読もうと思えば誰でも読める。GPL-3.0のもとでは、あとから黙って非公開にすることはできない。開発者が手を止めても、そこまでのコードから別の人が続けられる。これは言葉の綾ではなく、実際に効く保証だ。技術に明るいMac利用者がこの分類を好むのは、主にこの点による。

もう一方の側も具体的だ。サポート契約はなく、返答の期限もなく、自分の環境だけで起きている不具合を直す義務を負う人もいない。報告は他の人の報告と同じ列に並ぶ。macOSの大きな更新で常駐アイコンの扱いが変わったとき、直るのは手が空いた人が書いたときになる。この交換条件を良しとするかどうかは、Macの使われ方で変わる。趣味の機械なら明らかに得だし、締め切りのある仕事に使う機械なら、形式的な確認ではなく本当の判断になる。

ほかの選択肢と並べて見る

現実的な候補は多くない。以下は良し悪しの評価ではなく、2026年9月5日時点で各提供元のページに書かれている事実を並べたものだ。

選択肢 費用 対応するmacOS 出典
Ice 無料、GPL-3.0のオープンソース macOS 14以降 github.com
Bartender 6 買い切り(サイト表記は12ドルから)、年額のProと生涯利用の区分もあり macOS TahoeとSequoia向け。同じライセンスで旧環境向けのBartender 5も使える macbartender.com
macOS標準の設定 追加費用なし 現行の各版 Appleサポート

同じ分類の道具でも、畳んだあとの触り方は同じではない。何が違うのかを整理したものはほかの道具との違いにまとめてあり、隠した状態からアイコンに触るまでの手数がどう変わるかを軸に比べている。有料の道具を検討する場合の費用の考え方は料金に置いてある。

つまずきやすい3つの場所

この分類の道具に共通する引っかかりは、だいたい3つに集約される。自分の設定ミスだと思い込む前に知っておくと早い。

1つ目はノッチだ。ノッチのあるMacBook ProとMacBook Airでは、メニューバーが左右に分断されている。アイコンを隠せば列が短くなるので状況は改善するが、隠した区画を展開したときには列が伸びるので、その展開した列がノッチにぶつかることがある。ノッチのある機種を使っているなら、まずここを試すのが順番として正しい。

2つ目は、隠したアイコンを実際に使いたくなったときの手数だ。この分類の道具はどれもアイコンを消せる。違いが出るのは、戻したいときのほうにある。いったんバーを展開して、展開された列の中から目的のアイコンを見つけて、それから押す。以前は1動作だったものが3動作になる作りもある。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りなら、この手数はそのまま消える。どちらの作りなのかは、入れる前に確かめておく値打ちがある。

3つ目はmacOSの更新だ。常駐アイコンの扱いはAppleが手を入れる頻度が高い領域で、この分類の道具はどれも、大きな更新の直後に一時的に動かなくなった経験を持っている。特定の製品の問題ではなく、この課題そのものの性質に近い。無料か有料かを問わず「今も手入れが続いているか」を確かめる質問が意味を持つのは、これが理由だ。

隠す前に、アイコンを3つに仕分ける

どの道具を選ぶ場合でも、最初にやることが「とりあえず全部隠す」だと、うまくいかないことが多い。何もないメニューバーは整っているのではなく、別の意味で使えないだけで、1週間もすると半分が引き戻されて元の見た目に戻る。

順番を変えて、設定を触る前にアイコンを3つに仕分けると結果が安定する。1つ目は、押さずに読むもの。電池の残量、時計、入力ソースの表示、収録中のしるしなど、視線を向けるだけで意味があるものだ。これは席を確保する価値があるので残す。2つ目は、押すもの。VPNの切り替え、クリップボードの履歴、スクリーンショット、音声出力先の選択などで、常時見えている必要はないが、素早く触れる必要がある。ここが、道具ごとの手数の差が効く場所になる。3つ目は、読みも押しもしないもの。多くの人にとって、これが最も数が多い。壊れたときにしか意味のない同期の状態表示、更新の常駐、起動用のランチャー、習慣で常駐しているだけのアプリがここに入る。これは最も奥の区画に入れるか、アプリ側の設定で常駐そのものを止めてしまえばよい。

先に仕分けておけば、設定作業は数分で終わる機械的な仕事になる。あとから仕分けると、数週間かけて少しずつ元に戻る作業になる。加えて、2つ目の群にいくつ入ったかが分かるので、次の判断がしやすくなる。

何を隠して何を残すかを決める判断材料

ここまでを踏まえると、決め手になるのは次の4点に絞られる。

  • 手元のMacのOSの版はいくつか。14未満ならIceは対象外で、標準の設定か、旧環境に対応する有料の道具のどちらかになる
  • 列に並んでいるアイコンは何個で、そのうち1週間のあいだに実際に押すのは何個か。15個のうち日常的に押すのは3個で、残りは状態表示か別の起動方法があるアプリ、という結果になることが多い
  • 隠したアイコンを戻す頻度はどれくらいか。ほとんど戻さないなら戻し方の違いは効かず、1日に何度も戻すなら戻し方が判断のほぼすべてになる
  • 設定をどこまで自分で詰めたいか。Iceは見た目、出し方、ホットキー、間隔と、触れる範囲が広い。それを楽しめるなら利点で、5分で片づけて二度と考えたくないなら、設定項目が少ないほうが向いている

道具を比べるときに、機能の一覧だけを横に並べても差は見えにくい。実際に効くのは、隠したあとに触るまでの手数と、macOSが更新されたあとの動きの2点で、この2点は一覧表に載りにくい。案内サイト側では、何ができるかをできることに、判断に迷いやすい点の答えをよくある質問に分けて置いてある。手元で試すのが最も確実な確かめ方なので、候補が絞れたらダウンロードから実機で触って、上で仕分けた2つ目の群のアイコンを1つ選び、隠した状態から押せるまでに何動作かかるかを数えてみるとよい。

よくある質問

Iceは無料と書かれていますが、あとから課金される部分はありますか?

Iceは全機能が無料で、GPL-3.0のオープンソースとして公開されています。試用期間もライセンスキーもなく、支払いで解放される機能もありません。開発者はGitHub SponsorsとBuy Me a Coffeeで任意の支援を受け付けていますが、支援しなくても使える範囲は変わりません。

古いmacOSでもIceは使えますか?

使えません。IceはmacOS 14以降が必要で、macOS 14から利用できるシステムのAPIを使っているため、それ以前の版を支える予定はないとプロジェクト側が明記しています。VenturaやMontereyのままなら、macOS標準のメニューバー設定を使うか、旧環境に対応する有料の道具を検討することになります。

そもそも専用アプリを入れずに、macOSの設定だけで片づきますか?

半分は片づきます。システム設定でBluetooth、Wi-Fi、サウンド、Time Machine、画面ミラーリング、時計の各要素は消すか使用中のみ表示に切り替えられますし、サードパーティのアプリも環境設定に非表示の項目を持っているものがあります。片づかないのは、その設定を持たないアプリのアイコンで、そこが専用アプリの役割です。

隠したアイコンを使いたくなったときは、どうやって戻すのですか?

道具によって違います。よくあるのは、カーソルを重ねるかクリックするかホットキーで隠れた区画を展開し、展開された列から目的のアイコンを押す流れです。畳んだまま隠れたアイコンを直接押せる作りもあります。1日に何度も戻すなら、この動作の違いが日々の差になるので、決める前に実機で数えて確かめるのが確実です。

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