Macのバックアップ|何が残って何が残らないかを先に決める

Macのバックアップを調べると、Time Machineの手順とiCloudの手順が同じ棚に並んで出てくる。どちらも「バックアップ」と呼ばれているが、残るものと戻せるものが違う。復元が必要になった日に足りないと分かっても、そのときにはもう手遅れである。この記事では、Appleが案内している4つの方法を分け、それぞれで何が残って何が残らないのかを先に決められるように並べる。

バックアップという言葉が、4つの方法を指している

Appleのバックアップの案内は、方法を4つに分けている。Time Machineを使って自動的にバックアップする、iCloudとデータを同期して保存する、ほかのストレージデバイスにファイルを手動でコピーする、他社製のバックアップユーティリティを使う、の4つである。

この4つは目的が重なっていない。Time Machineは機械ごと戻すためのもので、iCloudは複数のデバイスから同じデータに届くためのもの、手動コピーは選んだファイルだけを別の場所に残すためのもの、他社製のユーティリティはその中間を埋めるためのものである。

内蔵の仕組みについての説明はこうなっている。

Time MachineはMacに内蔵されているバックアップ機能です。USBドライブなどのストレージデバイスがある場合は、そのデバイスを使って、アプリ、音楽、写真、メール、ドキュメントなど、すべてのファイルをTime Machineで自動的にバックアップできます。こうしておけば、古いファイルや削除したファイル、アクセスできなくなったファイルなどを、バックアップから復元できます。 出典: support.apple.com

注目したいのは「削除したファイル」と「アクセスできなくなったファイル」という言葉である。すでに手元から消えたものを取り戻せるという性質は、過去の状態を世代として残しているからこそ成り立つ。ここが同期の仕組みとの分かれ目になる。

方法を選ぶ前に、自分が何から守りたいのかを決めておくと迷わない。機械が壊れることから守りたいのか、間違って消したことから守りたいのか、盗難や紛失から守りたいのか。守りたい相手が違えば、選ぶ方法も変わる。

Time Machineが残すものと、必要な容量

Time Machineは、外付けのストレージデバイスへ機械の中身をまとめて残す。対象はアプリ、音楽、写真、メール、ドキュメントなど、すべてのファイルである。設定が終わるとすぐにバックアップの作成が始まり、以降は自動で続く。

容量の目安は公開されている。Appleは、ストレージ容量がMacの2倍以上あるストレージデバイスを用意するよう案内している。たとえばMac本体のストレージが1TBの場合、少なくとも2TBの容量があるバックアップディスクが理想的だとされている。足りない場合はMacが教えてくれる。

使い方にも決まりがある。Time Machineのバックアップディスクは、Time Machineのバックアップ専用にする。ほかのファイルの保管には使わない。1台で兼用したい場合の抜け道も案内されていて、外付けのストレージデバイスにAPFSボリュームを追加すれば、1つをTime Machineのバックアップ用、もう1つをほかのファイルの保存用に使える。この場合もTime Machine側のボリュームには、Macのストレージ容量の2倍が必要になる。

初回は時間がかかる。ただしバックアップの進行中もMacを普段通りに使っていられる。2回目以降は、前回のバックアップ後に変更されたファイルだけが対象になるので、初回ほど時間はかからない。夜のうちに1回目を走らせてしまえば、以降は気にならなくなる。

外付けディスクを外して持ち歩く使い方では、取り出しの手順を守る。バックアップディスクの接続を外す前に、バックアップディスクを取り出すか、Macをシステム終了する。接続を外すと、Time Machineは自動的にバックアップスケジュールを再開する。

世代の残り方には決まった刻みがある

Time Machineが残す世代の刻みは、あらかじめ決まっている。過去24時間分の毎時間のバックアップ、過去1か月分の毎日のバックアップ、そして過去のすべての月の1週間ごとのバックアップを自動的に作成する。

この刻みを知っておくと、戻せる粒度が読める。今日のうちに間違えたものは1時間単位で戻せる。先週の状態なら1日単位、半年前なら1週間単位になる。「3か月前の午前中の状態に戻したい」という要望には応えられない作りである。

容量がいっぱいになったときの振る舞いも決まっている。バックアップディスクの容量がいっぱいになると、一番古いバックアップが削除される。つまり古い世代は永久には残らない。何年も前の版を確実に保管したいなら、その版だけを別の場所へ複製しておく必要がある。

頻度は変えられる。macOS Ventura 13以降では、Time Machineメニューから「Time Machine設定を開く」を選び、「オプション」をクリックして「バックアップ頻度」メニューから設定を選ぶ。外部の解説でも選択肢が紹介されている。

ただし、このバックアップの頻度はmacOS Ventura以降、ユーザーが自動で設定できます。「システム設定」の「Time Machine」から[オプション]をクリックすると[自動で1時間ごと][自動で1日ごと][自動で1週間ごと]または[手動]に変更可能です。 出典: pc.watch.impress.co.jp

頻度を下げれば書き込みは減るが、戻せる粒度も粗くなる。持ち出し用のノート型で外付けを繋ぐ時間が限られているなら手動、据え置きで常に繋いでいるなら細かい刻みのまま、という決め方になる。

iCloudが残すものと、同期が持っていない性質

iCloudの役割は、複数のデバイスから同じデータに届くことである。同じApple AccountでiCloudにサインインしているすべてのデバイス間でデータを同期し、アクセスできるようにする。写真、ビデオ、連絡先、カレンダー、メモ、パスワードなどを保存し、自動的にバックアップできる。

iCloud Driveを使えば、「デスクトップ」フォルダや「書類」フォルダ内のファイルを含むほかのファイルもiCloudに保存できる。手元のMacが壊れても、別のデバイスから同じファイルに届く。この点はTime Machineには無い強みである。

一方で、同期は履歴を残す仕組みではない。Appleの案内にも、iCloudに保存している情報をアーカイブまたはコピーして、情報のコピーをもう1つ別に確保しておくこともできると書かれている。同期の先にあるデータだけを頼りにしない前提が、案内する側にも置かれている。

対象になるものも限られる。同期の対象はアプリごとに選ぶ形なので、設定でオフにしているものは同期されない。iCloud Driveに入っていないフォルダの中身も、当然ながら同期されない。外部の質問掲示板にも、この点で迷った投稿が残っている。

Macbookのicloudでのバックアップについて質問があります。Macのダウンロードフォルダは、icloud driveではバックアップできないのでしょうか? FinderでiCloud Driveフォルダを確認しても、デスクトップフォルダや書類フォルダなどはあるものの、ダウンロードフォルダはありません。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

同期の対象として用意されているのは「デスクトップ」と「書類」であって、それ以外のフォルダは自分で移すか、別の方法で残すことになる。ここを確かめずに「iCloudに入れてあるから安心」と考えると、抜けが残る。

iCloudの容量と、日本の料金

iCloudは無料で使える容量が決まっている。5GB分のストレージが無料で、それを超える分はiCloud+へのアップグレードで増やす。iCloudに保存すると、iCloudストレージプランの容量が消費される。上限に達した場合は、より大きな容量を購入するか、空き容量を増やすことになる。

日本の月額料金は次の通りである。2026年9月28日にAppleのサポートページで確認した値で、税込である。

容量 月額(税込)
5GB 無料
50GB 150円
200GB 450円
2TB 1,500円
6TB 4,500円
12TB 9,000円

プランは家族で分けられる。最大5人の家族で全部共有できると案内されている。50GBのプランではHomeKitセキュアビデオが1台のカメラ、200GBでは最大5台、2TB以上ではカメラの台数が無制限という違いもある。

写真とビデオを全部iCloudに保存する使い方だと、50GBはすぐに埋まる。写真の枚数が多い人は、200GB以上から考えるほうが現実的である。逆に、書類だけを同期して写真は外付けに残す運用なら、50GBで足りることもある。どちらにしても、いま何を何GB使っているかを確かめてから選ぶ。

手動コピーと他社製のユーティリティの位置づけ

3つ目の方法は手動のコピーである。MacからUSBドライブなどの外付けのストレージデバイスにドラッグするだけで、写真、ビデオ、ドキュメントなどのファイルを手動でバックアップできる。復元するにはMacにドラッグして戻す。

仕組みが単純なので、失敗しにくいという利点がある。特別なアプリも設定も要らず、別のパソコンからも読める。渡す相手がMacを使っていない場合や、何年も動かさない資料を保管する場合には、これが一番確実である。欠点は、自分がやらなければ何も残らないことと、やった時点の状態しか残らないことである。

4つ目は他社製のバックアップユーティリティである。App Storeやその他の場所から広く入手できるとAppleは案内している。データを全部バックアップできるものもあれば、写真やメールなどの特定の種類のファイル専用に作られたものもある。外付けストレージデバイスへ保存するものと、クラウドベースのサービスへ保存するものがある。使い方はそのユーティリティの説明書に従う。

クラウドを提供する側の説明も見ておくと、選ぶ観点が増える。

世の中にはさまざまな種類のバックアップ サービスがあり、どれが最適なのかがわかりにくいと感じるかもしれません。ですが、Mac ユーザーにとって最も簡単かつ効果的な方法は、クラウドに保存するオンライン バックアップでしょう。 出典: experience.dropbox.com

これはサービスを提供する側の説明なので、そのまま結論にはできない。ただし火事や盗難のように機械と外付けディスクがまとめて失われる事故を想定すると、手元から離れた場所に控えがあることには意味がある。手元の外付けと、離れた場所のどちらかだけを選ぶのではなく、両方を薄く持つ形が現実的である。

残らないものを、先に洗い出す

4つの方法の性質を並べると、判断の材料が揃う。

方法 主に残るもの 戻せる形 手元から離れた場所
Time Machine アプリ、音楽、写真、メール、ドキュメントなど全体 決まった刻みの過去の世代 外付けを別の場所に保管した場合のみ
iCloudの同期 写真、ビデオ、連絡先、カレンダー、メモ、パスワード、デスクトップと書類 いまの状態 標準で離れている
手動のコピー 自分で選んだファイルだけ コピーした時点の状態 外付けを別の場所に保管した場合のみ
他社製のユーティリティ 製品によって全体または特定の種類 製品の仕様による クラウド型なら離れている

この表を見ながら、残らないものを紙に書き出してみる価値がある。同期の対象から外しているアプリのデータ、iCloud Driveに入っていないフォルダ、外付けを繋いでいない時間帯に作ったファイル、いま使っている機械と同じ場所に保管している外付けディスク。どれも「バックアップしている」と思っている人の穴になりやすい場所である。

決め方としては、まずTime Machineを1台の外付けで走らせ、次にiCloudで同期する範囲を確かめ、最後に長期保管したい資料だけを手動でもう1か所に複製する、という順が組みやすい。全部を一度に整えようとすると止まるので、1つ動かしてから次へ進む。

バックアップの進み具合は、メニューバーで見る

Time Machineを設定したあと、進み具合を確かめる場所はメニューバーである。Time Machineメニューから「今すぐバックアップを作成」を選べばその場で始められ、同じメニューから停止やスキップ、進捗状況の確認もできる。メニューの一番上には、バックアップ中は何割程度終わったかが表示され、バックアップ中でなければ前回のバックアップ日時が表示される。

このメニューが見えないときの確認先も案内されている。メニューバーの設定、コントロールセンターの設定、またはデスクトップとメニューバーの環境設定で、メニューバーにTime Machineのステータスを表示する設定になっているかを確かめる。設定がオンなのに見えない場合は、別の理由が残っている。

その別の理由が、メニューバーの幅である。右側には常駐アプリが置いた状況メニューが並び、時計を右端として左へ積まれていく。幅に入らなくなった分は単に描かれなくなるので、表示はオンなのにTime Machineの項目が見えないという状態が起こる。前回いつバックアップしたのかを確かめたいときに限って見えない、という形でつまずく。

macOSが用意している手当ては、Commandキーを押したままアイコンをドラッグして並び順を変えることと、Commandキーを押したままメニューバーの外へドラッグして外すことの2つである。幅の変動に合わせて自動で並べ替える仕組みは無い。

そこで使われるのが、メニューバーを整理する常駐アプリである。できることには、ふだん押さないアイコンを仕切りの左へ送って時計のまわりを空ける仕組みと、隠したものを紋章から呼び出す仕組みが並んでいる。アイコンごとにキーを割り当てておけば、隠したままでもそのメニューを開けるので、バックアップの状況を見たいときだけ呼び出す使い方ができる。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開けるため、確認のために並びを崩す必要もない。

同じ用途のアプリは無料のものから買い切りのものまである。価格と払い方を並べた表はほかの道具との違いにあり、調べた日付を添えた形で載っている。買い切りの範囲と試用の条件は料金にまとまっていて、1,980円の買い切りと14日間の試用が示されている。メニューバーの描画を読み取る許可が要る理由はよくある質問にあり、対応するmacOSの下限を見たうえで手元で試すならダウンロードから入る流れになる。

バックアップの仕組みは、作った日ではなく、必要になった日に評価される。世代の刻み、対象から外れているフォルダ、外付けの置き場所。この3つを一度確かめておけば、復元の日に慌てる要素はかなり減る。

よくある質問

Time MachineとiCloudは両方要る?

役割が違うので、両方を使う形が噛み合う。Time Machineはアプリや写真やメールを含む全体を外付けに残し、削除したファイルや古い版を過去の世代から戻せる。iCloudは複数のデバイスから同じデータに届くための同期で、機械が手元から失われても別のデバイスから開ける。片方だけだと、戻せない場面が残る。

Time Machine用の外付けはどれくらいの容量が必要?

Appleは、ストレージ容量がMacの2倍以上あるストレージデバイスを用意するよう案内している。Mac本体が1TBなら、少なくとも2TBが理想的とされている。容量が不足している場合はMacが教えてくれる。またバックアップディスクはTime Machine専用にし、ほかのファイルの保管には使わない前提になっている。

Time Machineはどこまで過去に戻せる?

過去24時間分は毎時間、過去1か月分は毎日、それより前は1週間ごとの世代が自動で作られる。バックアップディスクの容量がいっぱいになると、一番古いバックアップが削除される。何年も前の特定の版を確実に残したい場合は、その版だけを別の場所へ複製しておく必要がある。

iCloudの無料の容量と、増やしたときの料金は?

無料で使えるのは5GBである。日本での月額料金は、50GBが150円、200GBが450円、2TBが1,500円、6TBが4,500円、12TBが9,000円で、いずれも税込である。2026年9月28日にAppleのサポートページで確認した値で、プランは最大5人の家族で共有できる。

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