Macのメニューバー整理アプリを比べる。価格と挙動の違い
メニューバーは静かに埋まっていきます。1つずつ、2年ほどかけて増えていき、あるときメニューの多いアプリを開いただけでアイコンが3つ画面から消えます。そこで検索を始めると、似たような説明文の道具がいくつも出てきます。これらは同じではありませんが、違いが出るのは機能一覧に並んだ項目ではないことがほとんどです。ここでは現在の選択肢と、それぞれの価格と、入れる前に確かめておくべき5つの挙動を整理します。
価格は2026年9月3日に各配布ページで確認した時点のものです。価格は変わりますし、地域によっても表示が変わります。恒久的な事実ではなく、その日の状態として読んでください。
メニューバーを整理する道具が求められている背景
メニューバーに常駐するアプリは、この10年でかなり増えました。クラウドストレージ、バックアップ、VPN、日本語入力、画面収録、キーボードの切り替え。窓を開いておく必要がない代わりに、状態を伝える場所としてメニューバーを選ぶ設計が定着したためです。macOS自身も、コントロールセンターの項目をいくつか既定で表に出しています。
一方で、使える幅はむしろ減りました。MacBook Proは2021年モデル以降、MacBook Airは2022年モデル以降に、画面上部の中央にカメラのくぼみがあり、macOSはそこにメニューバーの中身を描きません。据え置き型のMacや外部ディスプレイでは途切れませんが、ノートを持ち出した途端に足りなくなります。
数が増えて幅が減った。この2つが重なった結果、整理する道具の必要性が特定の層のものではなくなりました。無料で公開されているものから買い切りのものまで選択肢があり、価格帯も挙動もかなり幅があります。
この種の道具が実際にやっていること
どの道具も、根っこでは同じ問題を扱っています。macOSはメニューバーの項目を右端から左へ並べ、いちばん前にあるアプリのメニューを左端から右へ伸ばします。両者がぶつかったところで、入り切らなかったものはレイアウトから外されます。壊れているわけではなく、この挙動を止める設定も用意されていません。
メニューバーを整理する道具は、この帯に仕切りを1つ入れます。仕切りの右にあるアイコンは出たまま、左にあるものは呼び出すまでレイアウトに入らないので、幅の取り合いから抜けます。多くの道具は、ほとんど見たくないものを入れる3つ目の区分も持っていて、「常に隠す」などと呼ばれます。
ここまでは共通です。違いが出るのは、隠したあとに起きることのすべてです。どうやって戻すのか、戻したときにどう見えるのか、条件で自動的に出てこられるのか、モニタを繋いだときに並びが保たれるのか。比べるべきなのはこの軸で、詳しくは後半にまとめます。
どれもやらないことも書いておきます。アプリからアイコンそのものを取り除くわけではありませんし、メモリ使用量が減るわけでもありませんし、macOSの幅の割り当て方を変えるわけでもありません。変えるのは、その帯に何を置くかです。
選択肢と価格
| 道具 | 2026年9月3日時点の価格 | ライセンス | 備考 |
|---|---|---|---|
| Bartender 6 | 3,494円 | 買い切り | 年額2,382円と、永久に使える13,975円の選択肢もある |
| Barbee | 12.99ドル | 買い切り | App Storeの追加購入として販売 |
| Ice | 無料 | オープンソース | 隠す、出す、常に隠す |
| Hidden Bar | 無料 | オープンソース | 隠す、出す |
出典は順に、macbartender.com、App Storeの掲載ページ、github.com/jordanbaird/Ice、github.com/dwarvesf/hiddenです。買い切りの価格を比べると、Bartender 6は3,494円、Barbeeは12.99ドルという並びになります。
表について2点だけ補足します。1つは、有料の2つは互いに値付けを揃えているわけではないことです。片方は開発元のサイト、もう片方はApp Storeで販売されていて、表示される通貨もストアの地域で変わります。もう1つは、ここでの無料が「お金がかからない」であって「何の代償も無い」ではないことです。オープンソースの製品は有志が保守していて、公開の間隔は状況によって変わります。macOSの更新でメニューバーの描かれ方が変わったときに、どれくらいで追随するかは製品ごとに違います。
このサイトが公開している道具も含めた一覧は、調べた日付を添えてほかの道具との違いに載せています。
無料のものでまかなえる範囲
IceとHidden Barはどちらも中心の仕事をこなします。仕切りの左へ送った項目が、仕切りを押すと戻ってきます。Iceにはさらに、恒久的にどけておきたいものを入れる「常に隠す」の区分があります。メニューバーの項目が8つか9つあって、そのうち3つか4つがまったく使われていないだけの状態なら、これで要件は満たされます。お金を払う理由はありません。
両方ともGitHubでソースとビルド済みの配布物が公開されています。ここから実務上の違いが2つ出ます。1つは導入時に、開発元が確認済みのアプリを許可する操作、場合によっては未確認のアプリを許可する操作が必要になることがある点です。どの署名で配布されているかは公開ごとに変わり得ます。もう1つは、困ったときの窓口が公開の課題管理であって、問い合わせ先のアドレスではない点です。返答は保守している人の手が空いたときに来ます。
機能の一覧では見えにくい点をもう1つ。この分野のオープンソースの製品は、活発に保守されているあいだは速く動き、保守する人の状況が変われば止まります。最終の公開日と、いま使っているmacOSのバージョンが課題管理に出てきているかを見ておくと、機能一覧を眺めるより実態がつかめます。
無料のものを選ぶ前に確かめておきたい挙動は1つです。隠した項目を使いたくなったときに何が起きるか。広げて、押して、また畳むという往復になるなら、それは毎回発生します。月に2回しか押さないアイコンなら関係ありませんが、1日に6回押すアイコンなら、1か月後に別の道具を探し始める理由になります。
有料のものが何にお金を取っているか
この分野の有料製品は、隠すこと自体ではなく、隠したまわりの挙動で価格を正当化しています。有料の機能一覧に繰り返し出てくるものが4つあり、これは設定が日常の使用に耐えるかどうかを決める部分です。
- 帯を広げずに、隠した項目のメニューを開けること。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りであれば、先ほどの往復が消えます
- 見た目をそのまま保つこと。隠したアイコンが一般的な代替の絵として戻ってくると、そのアイコンが伝えていた内容が失われます。電池の残量の数字、収録中の印、未読の数、小さなグラフは、そのアイコンが存在している理由そのものです
- 条件による自動的な出し入れ。一度決めて終わりにするのではなく、電池が決めた値を下回っているあいだ、特定のアプリが前面にあるあいだ、決めた時間帯のあいだ、といった条件が続くあいだだけ出しておく考え方です
- 名前で探すこと。項目が20個あるMacでは、何を隠したかを覚えていること自体が仕事になります。名前の一部を打って項目が出て、そのままメニューが開けば、覚えておく必要がなくなります
これらが購入に見合うかどうかは、隠したアイコンを実際にどれくらい押すかで決まります。この分野の道具に何ができるのかはできることに整理してあるので、候補それぞれを当てはめてみる材料になります。
比べるべき5つの点
機能一覧は長く、そして大部分が重なっています。実際に差が出るのは次の5つです。
- 出し方。仕切りを押す、帯にカーソルを載せる、ホイールを回す、ノッチを押す、キーボードで呼ぶ。数が多いことよりも、使う操作だけを有効にできるかどうかのほうが効きます。カーソルを載せただけで勝手に出てくるのは、それはそれで煩わしいためです
- 畳んだままの挙動。隠した項目のメニューを、帯を広げずに開けるか。それとも先に広げる必要があるか
- 見た目。戻ってきたアイコンが本物の描画か、代わりの絵か
- ディスプレイ構成ごとの記憶。並びを構成ごとに覚えて、モニタの抜き差しで自動的に切り替わるか。毎日ドックに置くノートでは、これが無い道具は繰り返し整え直すことになります
- 条件とショートカット。規則にしたがってアイコンが自動で出てこられるか、アイコンごとにキーを割り当てられるか
アイコンの間隔の調整、メニューバーの見た目の設定、プロファイルの切り替えなどは、判断の分かれ目というより好みの領域です。あると便利ですが、その設定が続くかどうかを決める要素ではありません。
権限、動作条件、乗り換えで引き継げるもの
この分野の道具はすべて、システム設定のプライバシーとセキュリティにあるアクセシビリティの許可を必要とします。他のアプリのメニューバーのアイコンを動かすことが、まさにこの許可の対象だからです。
他のアプリを操作する機能を持つアプリには、システム設定のプライバシーとセキュリティにあるアクセシビリティの項目で許可を与える必要がある。許可は項目ごとに与え、あとから取り消すこともできる。 出典: support.apple.com
ここから2つのことが言えます。アプリを更新すると、一覧に名前は残っているのに実際には効いていない状態になることがあり、そのときの症状ははっきりしています。その道具自身のアイコンは普通に押せるのに、管理している他のアイコンだけが反応しません。一覧から削除して追加し直し、起動し直せば戻ります。そしてもう1つ、権限を一切求めない道具は、この仕事をしていないということです。
動作条件は製品ごとに違い、ここ数回の公開で必要なmacOSのバージョンを上げている製品もあります。Apple SiliconとIntelのどちらに対応しているかも製品によって違うので、古い機種では先に確かめておくところです。
乗り換えのときは、区分は引き継げて、規則は引き継げないと考えておくのが安全です。どのアイコンをどの区分に入れたかは単純な対応表なので、別の製品から読み取れます。キーボードのショートカット、条件による出し入れ、間隔や見た目の設定は、製品ごとに構造が違うため一般に引き継げません。全部が移る前提で乗り換えると、設定が消えたように見えます。数分かけて作り直すつもりでいるほうが、結果として気持ちよく移れます。
4つ入れて試す前に、決められること
まず数えるところから始めます。システム設定のコントロールセンターを開き、メニューバーに表示する設定になっている項目を数え、一度も押したことのないものを消します。そのうえで残った数を数えます。合計が10前後より少なく、急いで押したいものが2つか3つしかないなら、無料の道具で足ります。ここで判断は終わりです。
それより多い場合、決め手になるのは「隠したアイコンをどれくらいの頻度で押すか」です。たまにしか押さないなら、どれを選んでも困りません。1日に何度も押すなら、実際に買っているのは畳んだままの挙動と名前で探す機能なので、機能の個数を比べるのではなくその2点を確かめます。
もう1つ数えておくと役に立つのが、自分から押すのではなく自動で出てきてほしいアイコンの数です。切断されているときだけ気になるVPNの表示、ある割合を下回ったときだけ気になる電池の表示、通話中だけ気になる収録の印。こうしたものは条件による出し入れが向いていますが、当てはまるアイコンが1つも無いなら、その機能は一度も開かないので判断材料から外して構いません。
費用の目安を先に知っておきたいときは料金に、動作条件やライセンスまわりの疑問はよくある質問にまとまっています。実際に手元のメニューバーで挙動を確かめたいときの入り口がダウンロードです。
よくある質問
無料のメニューバー整理アプリで十分ですか?
多くのMacでは足ります。IceとHidden Barはどちらも仕切りの左へ項目を送り、押せば戻す、という中心の仕事をこなします。有料の製品が違うのはそのあとで、帯を広げずにメニューを開けること、隠したアイコンの本物の見た目を保つこと、条件による出し入れ、名前で探すこと、の4点です。隠したアイコンを1日に何度も押すなら、その部分にお金を払う形になります。
Bartenderの価格はいくらですか?
2026年9月3日に購入ページを見た時点では、買い切りが3,494円、年額が2,382円、永久に使えるものが13,975円と表示されていました。価格は地域によって変わり、時期によっても変わります。この記事を含めた比較記事の数字ではなく、購入前に開発元のページで現在の価格を確かめてください。
別の整理アプリから設定を引き継げますか?
一部だけ引き継げます。どのアイコンをどの区分に入れたかは単純な対応表なので読み取れる場合が多い一方で、キーボードのショートカット、条件による出し入れ、間隔や見た目の設定は、製品ごとに構造が違うため一般に引き継げません。乗り換えの際は、それらを手で作り直す時間を見込んでおいてください。
なぜアクセシビリティの許可が必要なのですか?
他のアプリのメニューバーのアイコンを動かしたり隠したりする操作が、システム設定のアクセシビリティの許可が管理している対象そのものだからです。更新後にこの許可が効かなくなると、その道具自身のアイコンは押せるのに、管理している他のアイコンだけが反応しなくなります。一覧から削除して追加し直し、アプリを起動し直せば戻ります。