Vanillaの料金と無料でできる範囲|買い切りか、継続課金か

メニューバーの右側が常駐アプリのアイコンで埋まり、押したいものを探すたびに視線が行き来する。その状態を畳むために入れた道具がVanillaで、無料のまま使い続けるか、有料版に切り替えるかで手が止まっている。この記事は、2026年9月10日時点で配布元が公開している内容をもとに、どこまでが無料で動き、どこから支払いが要るのかを線引きしたものである。

この分野の道具は、月額の継続課金を採るものと、一度払って終わりにするものが混在している。金額の桁だけを見比べても判断が付かないのは、支払いの形が違うと「何年使うか」で損得が入れ替わるからである。台数の数え方、返金の受付、そして支払いとは別に必要になる権限まで含めて、順に見ていく。

無料のまま動く範囲は「隠す」までである

配布元の説明は最初の一行が明快で、無料のMac用アプリとしてメニューバーのアイコンを隠せる、と書かれている。

Vanilla is a free, easy-to-use Mac app that lets you hide your menu bar icons. 出典: matthewpalmer.net

無料で使える中心は、メニューバーに置かれる区切りの印を左右に動かして、その右側にあるアイコンを畳んだり出したりする操作である。印を押すたびに畳んだ側が開き、もう一度押すと閉じる。畳む対象は印の位置で決まるので、常に見せておきたいものは印より左へ、普段は要らないものは印より右へ、という並べ替えが設定作業そのものになる。

無料の側には入っていないものが4つある。配布元の有料版の案内に並んでいるのは、キーボードの割り当てで畳んだり出したりする操作、設定画面を開いている間だけ姿を見せる「完全に取り除く」区画、切り替えてから5秒後に自動でまた畳む動き、そしてログイン時の自動起動である。

この4つのうち、メニューバーが埋まっている人にとって効きが大きいのは2番目である。畳むだけの区画は、印を押せばいつでも中身が見える。取り除く区画に入れたアイコンは設定画面を開くまで出てこないので、月に一度も触らない常駐アプリを視界から外す用途に向く。逆に言えば、無料のままだと「たまに使うもの」と「ほぼ使わないもの」を同じ一段に押し込むことになる。

有料版は買い切りの10ドルで、番号1つを10台まで使える

有料版の値段は10ドルで、継続課金ではなく一度きりの支払いである。配布元の販売ページには決済がStripeを通ることと、30日の返金保証が付くことが書かれている。

台数の扱いは、この価格帯の道具としては緩いほうに入る。配布元のヘルプには、有料版のライセンス番号は既定で10回まで有効化でき、それ以上が必要なら連絡してほしい、と書かれている。手元のMacが1台でも、あとで買い替えたとき、あるいは職場と自宅で別のMacを使っているときに、番号を入れ直すだけで済む。

支払いの手順そのものは短い。販売ページで購入し、届いた番号をアプリの設定画面に入れると有料版の項目が使えるようになる。会員登録やアカウントの作成が挟まらないぶん、解約という操作も存在しない。継続課金の道具で起きがちな「解約窓口が決済代行側にあって、アプリの中からは辿れない」という詰まりは、この形では起きない。

金額の見え方を揃えるために、支払いの形だけ比べておく。買い切りは初回に全額が出て、あとは何年使っても増えない。継続課金は初回が軽い代わりに、使い続けた年数だけ積み上がる。仮に月額換算で150円の道具と並べると、1年で1,800円になり、買い切りの10ドルはおおむね1年弱で追い抜かれる計算になる。メニューバーの整理は一度決めたら何年も同じ設定で使い続ける種類の作業なので、使用年数が伸びやすい側に入る。

値段の前に、権限の要り方を確かめておく

この道具は、支払いの有無にかかわらず、macOSの画面収録の権限を求める。理由は配布元が明示している。

Starting from macOS Catalina, Vanilla requires Screen Recording permission to be able to hide icons on your Mac. Vanilla does not record your screen. 出典: matthewpalmer.net

同じページには、メニューバーの見た目を継ぎ目なく見せるために画面の上端50ピクセルだけを撮っていること、その画像は保存も送信もしないこと、通信するのは更新の確認とライセンス番号の照合のときだけであることが書かれている。

ここが料金の判断に絡むのは、macOS 15以降の挙動があるからである。画面収録の権限を与えたアプリについて、macOSは月に一度、確認の画面を出すようになった。当初の予定では週に一度だったものが、公開版で月に一度へ変わった経緯が報じられている。つまり、有料版を買っても買わなくても、この確認は定期的に出る。支払いで消える種類の手間ではないので、権限の画面が出ること自体を許容できるかどうかを、金額とは別に判断しておくとよい。

なお、詰まったときの手順として配布元が案内しているのは、アクセシビリティと画面収録の両方から一度登録を消し、手で追加し直すという流れである。この作業も無料版と有料版で違いはない。

区画をいくつ持てるかが、そのまま値段の差である

料金の差を機能名で数えると4項目だが、日々の使い心地で見ると差は1つに集約される。メニューバーを何段の引き出しとして扱えるか、という点である。

無料の範囲では、見せる区画と畳む区画の2段になる。畳んだ側は印を押せばすぐ開くので、中に入れたものは「探せば出てくるもの」として扱える。有料版を入れると、ここに3段目が加わる。設定画面を開いている間しか姿を見せない区画で、入れたものは日常の視界から完全に外れる。

3段目が要るかどうかは、いま並んでいるアイコンの性格で決まる。たとえば、クラウド同期の常駐アプリ、バックアップの常駐アプリ、入力ソースの切り替え、音量や輝度を細かく操作する常駐アプリ、購入したユーティリティの登録状況を示すだけのアイコン。この中で、押した記憶がまったく無いものが1つか2つなら、2段で足りることが多い。4つ以上あるなら、それらを畳む区画に置いても「開いたときに邪魔なもの」として残り続けるので、3段目に意味が出る。

見落とされやすいのは、3段目に入れたものを操作したくなったときの手順である。設定画面を開かないと出てこないということは、そのアイコンを押したい日には設定画面を経由するということでもある。四半期に一度しか触らないものを入れるぶんには問題にならないが、月に数回触るものを入れると、隠したことによる手間のほうが上回る。区画を分ける作業は、しまい込む先を決める作業ではなく、取り出す頻度で仕分ける作業だと考えたほうが、あとで並べ替える回数が減る。

値段に含まれないものを先に把握しておく

買い切りの支払いで手に入るのは、有料版の項目を使う権利である。ここに含まれないものが2つある。

1つ目は、他の道具からの設定の引き継ぎである。メニューバーを整理する道具は、どのアイコンをどの区画に入れるかという情報を各アプリが独自の形で持っている。別の道具からの乗り換えでは、区画の割り当てを手で組み直すことになる。並べ替えの作業そのものは数分で終わるが、既に有料版を買っている道具から移る場合、前に払った分は戻らない。乗り換えを検討しているなら、まず無料の範囲で数日使い、区画の考え方が自分の手に合うかを確かめてから支払いに進むほうが無駄が出ない。

2つ目は、macOSの仕様変更への追随を約束する契約ではない、という点である。メニューバーの周辺は、ノッチの導入や時計の表示規則の変更のように、OSの更新で前提が動いてきた領域である。実際、配布元は変更のたびに手順のページを追加してきており、ノッチ向けの設定手順や、時計の日付表示を固定する手順は、そうした対応の記録として公開されている。無料の道具として配られている以上、更新が続くかどうかは配布元の判断に委ねられる。買い切りを選ぶときは、この点が継続課金との実質的な違いになる。

支払う前に確かめると後戻りしやすい3点

第一に、自分のMacにノッチがあるかどうかである。ノッチのある機種では、メニューバーに入りきらないアイコンをmacOS側が黙って隠す。配布元は、この状態だと設定用の印そのものが見えなくなることがあると説明し、他の常駐アプリを一時的に終了させてから印を右端へ動かす手順を別ページで案内している。これは有料版を買っても短くならない初期設定なので、購入の前に一度通しておくほうが判断が早い。

第二に、日付の表示設定である。macOS 12.4以降、メニューバーの時計に「スペースがある場合に表示」という既定が入り、日付が出たり消えたりする。配布元は、この動きが印の位置とぶつかるため、常に表示か非表示のどちらかに固定するよう案内している。有料版の機能とは関係のない設定なので、無料の段階で済ませられる。

第三に、返金の受付期間である。30日という期間は、日常の使い方で相性を確かめるには足りる長さである。買ってすぐキーボードの割り当てを設定し、実際に何度押したかを数えておくと、その支払いが自分の手癖に合っていたかどうかが見える。

何にいくら払うのかを、機能ではなく操作で決める

料金表を機能名で読むと、どれも同じような説明に見えて差が出ない。判断を早くしたいなら、自分が1日に何回その操作をするかで並べ替えるとよい。畳んだ状態と開いた状態を頻繁に行き来する人にとってはキーボードの割り当てが効き、開くこと自体がほとんどない人にとっては取り除く区画のほうが効く。どちらも当てはまらないなら、無料のままで足りている可能性が高い。

もう一段先まで踏み込むなら、畳んだあとの操作にどれだけ手数がかかるかを見ておくとよい。畳んだアイコンを押したいとき、一度メニューバーを開いてから目的のアイコンを探して押す、という二段構えになる道具と、隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りの道具では、1日あたりの手数が変わる。この違いは料金表の項目名には出てこないので、ほかの道具との違いのような比較の情報を先に読んでから、料金表に戻るほうが判断しやすい。

判断材料を揃える順番としては、まず何ができるかを一覧で確認し、次に金額の形を見て、最後に細かい疑問を潰すのが早い。この分野の道具について、機能の範囲はできることに、金額の考え方は料金に、細かい疑問への回答はよくある質問にまとまっている。実際に試して手数を数えるところまで進めるならダウンロードから入手して、自分のメニューバーで同じ操作を再現してみるとよい。

最後に、この種の道具は買った瞬間に価値が確定するものではない。メニューバーに何を残し、何を畳み、何を取り除くかという線引きを、自分の使い方に合わせて何度か引き直した結果として効いてくる。金額を決める前に、いま並んでいるアイコンを1つずつ「毎日押す」「週に一度押す」「押した記憶がない」の3つに分けてみると、必要な区画がいくつあるかがそのまま見える。区画が1つで足りるなら無料の範囲で収まり、2つ要るなら有料版の側に理由が生まれる。

よくある質問

無料のままでもメニューバーのアイコンは隠せますか?

隠せます。無料の範囲でも、メニューバーに置かれた区切りの印より右側にあるアイコンを畳んだり出したりできます。無料に含まれないのは、キーボードの割り当て、設定画面を開いている間だけ姿を見せる区画、5秒後に自動で畳み直す動き、ログイン時の自動起動の4つです。

有料版はいくらで、継続課金ですか?

2026年9月10日時点の表示は10ドルの買い切りで、継続課金ではありません。決済はStripeを通り、30日の返金保証が付きます。アカウントを作る仕組みではないため、解約という操作自体が存在しません。

1つのライセンス番号を何台のMacで使えますか?

配布元のヘルプには、既定で10回まで有効化できると書かれています。それ以上必要な場合は配布元へ連絡してほしいという案内も添えられています。買い替えのたびに買い直す必要はない設計です。

有料版にすれば権限の確認画面は出なくなりますか?

出なくなりません。この道具はメニューバーの見た目を作るために画面収録の権限を使っており、macOS 15以降は権限を与えたアプリについてmacOSが月に一度確認の画面を出します。支払いの有無とは無関係に発生する手順です。

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