Amphetamineの代わりを探すとき|手放してよい機能を先に決める

Macを眠らせないために入れたアプリの代わりを探している。理由は人によって違う。更新が止まっているのが気になる、macOSを上げてから挙動が変わった、あるいはメニューバーの席をもう1つ空けたい。どれであっても、代わりの候補を並べる前にやることは同じで、いま自分がその機能のどこを使っているのかを数えることになる。この記事は、Amphetamineが抱えている機能を層に分け、macOSに最初から入っている手段で足りる範囲を確かめ、そのうえで乗り換え候補を比べるための順番をまとめたものである。

Macを起こしたままにする道具は、いま3つの層に分かれている

「Macをスリープさせない」という目的をかなえる手段は、値段や名前で並べると混乱する。働きの深さで3つの層に分けると見通しがよくなる。

いちばん浅い層が、いま始めた作業のあいだだけスリープを止めるものである。ダウンロードが終わるまで、書き出しが終わるまで、といった一時的な用途で、macOSに最初から入っているコマンドでも足りる。

真ん中の層が、メニューバーの常駐アプリとして待機し、押せばオンオフが切り替わるものである。App Storeに並んでいる同種のアプリの多くはここに属する。スイッチ1つとタイマーがあれば要件を満たすという人は、この層で選択が完結する。

いちばん深い層が、条件を書いておくと自動で切り替わるものである。外部ディスプレイがつながっているあいだ、特定のアプリが動いているあいだ、電源アダプタが刺さっているあいだ、といった条件で勝手に始まって勝手に終わる。Amphetamineがほかと大きく違うのはこの層で、公開されている説明では14種類を超える条件が並んでいる。

代わりを探すときにつまずくのは、自分が使っているのは真ん中の層だけなのに、いちばん深い層まで揃った候補を探してしまう場合である。逆に、深い層を業務で使っているのに浅い層の道具に替えてしまうと、あとから手作業が戻ってくる。層を先に決めれば、候補は自然に絞られる。

いま使っている機能を数えると、たいてい3つ以下に収まる

Amphetamineが持っている働きを、公開されている説明にそって並べると次のようになる。この一覧に印を付けて、直近1か月で実際に使ったものを数えるところから始める。

  • スイッチを押してスリープを止める。無期限、時間指定、時刻指定の3通り
  • 条件を決めて自動で始める。外部ディスプレイ、Wi-Fiの接続先、IPアドレス、特定のアプリの起動、CPU使用率など
  • MacBookのディスプレイを閉じたまま起こしておくクラムシェルモード
  • ディスプレイだけを眠らせて、本体は起こしたままにする
  • マウスポインタを定期的に動かす
  • しばらく操作がなければ画面をロックする
  • ドライブを眠らせない
  • AppleScriptから操作する
  • セッションの開始と終了にホットキーを割り当てる
  • メニューバーのアイコンを差し替える

数えてみると、印が付くのは多くても3つほどになる。よくある組み合わせは「スイッチ」と「時間指定」、これに「クラムシェルモード」が加わる程度である。ここまで絞れれば、代わりの候補に求める条件がはっきりする。

逆に、条件付きの自動切り替えとAppleScriptに印が付いた場合は、代わりを探す難易度が一段上がる。同じ密度で条件を書けるアプリは同種のなかでも少数だからである。この場合は、乗り換えではなく、いまのまま使い続けながらメニューバーの見せ方だけを変える、という選択肢も同時に検討することになる。

macOSに最初から入っている手段で足りるかを先に見る

いちばん浅い層は、追加のアプリを入れなくても済む。macOSには caffeinate というコマンドが最初から入っており、場所は /usr/bin/caffeinate である。ターミナルから次のように使う。

  • caffeinate -d でディスプレイのスリープを止める
  • caffeinate -i で本体のアイドルスリープを止める
  • caffeinate -t 3600 のように秒数を指定すると、その時間が過ぎたら自動で解除される
  • caffeinate -i make のようにコマンドを続けると、そのコマンドが終わるまでのあいだだけ止まる

最後の書き方が、この手段のいちばん使いどころである。書き出しやビルドが終わったら自動で元に戻るので、解除し忘れが起きない。メニューバーの席も使わない。

システム設定の側でも調整できる。電源アダプタにつないでいるときの挙動と、バッテリー駆動のときの挙動は別々に設定でき、ディスプレイを切ったあとに本体を眠らせるかどうかもここで決まる。会議のあいだだけ画面を消したくないという用途なら、常駐アプリを増やさずに済む場合がある。各項目の場所はmacOSの版で移動することがあるため、Appleサポートの該当ページで現在の版の名称を確かめるのが早い。

ここまでで足りるなら、代わりのアプリは要らない。メニューバーのアイコンが1つ減ることになる。

App Storeに並ぶ同種のアプリの、現在の値段と対応OS

真ん中の層で選ぶ場合、候補はApp Storeで手に入る。2026年9月10日にApp Storeの公開情報を取得して確かめた時点の値は次のとおりである。値段も対応OSも配布元の判断で変わるため、入れる前にその時点の表示を見ること。

アプリ 販売元 日本の価格 米国の価格 最終更新 必要なmacOS
Amphetamine William Gustafson 無料 Free 2023年11月10日 10.13以降
Lungo Sindre Sorhus 600円 4.00ドル 2026年5月9日 26.0以降
Theine App ahead GmbH 750円 8.99ドル 2026年9月6日 15.6以降
Caffeinated Yugen GmbH 300円 3.99ドル 2025年10月16日 15.0以降
Owly FIPLAB Ltd 無料 Free 2026年2月25日 11.5以降

App Storeの外にも選択肢はある。KeepingYouAwakeはMITライセンスで公開されている無料のアプリで、配布元のページによれば最新版は1.6.8、公開は2025年9月12日である。リポジトリへの更新自体は2026年8月にも入っている。

この表で目を引くのは、必要なmacOSの下限が候補ごとにばらついている点である。LungoはmacOS 26以降を求めるため、古いmacOSを使い続けている場合はそもそも入らない。逆にAmphetamineの下限は10.13で、これは2017年の版にあたる。古いMacを現役で使っている場合、候補は自動的に絞られる。

もう1点、Amphetamineの最終更新が2023年11月10日である事実は、そのまま書いておく価値がある。この日付以降にmacOSは複数回の大きな更新を経ている。動くかどうかは手元の環境で試すしかないが、更新が止まった状態が続くと、次のmacOSで何かが変わったときに修正を待てない、という条件が付く。これを許容できるかどうかは、その人の使い方で決まる。

乗り換えで引き継げないもの

同種のアプリに移るとき、設定はほとんど引き継がれない。この分野には共通の設定形式がなく、書き出しと読み込みの経路も用意されていないためである。作り直しになるものを先に把握しておく。

  • 条件付きの自動切り替えの定義。書き方も条件の種類もアプリごとに違うため、そのまま移せない
  • ホットキーの割り当て。同じキーが空いているとは限らない
  • メニューバーのアイコンの見た目。差し替えに対応していないアプリもある
  • AppleScriptの呼び出し。用語辞書がアプリごとに違うので、書いたスクリプトはそのままでは動かない
  • クラムシェルモードの扱い。実装しているアプリとしていないアプリがあり、実装していても条件が違う

逆に、引き継ぎを気にしなくてよいのはスイッチとタイマーだけを使っていた場合である。この2つはどの候補にもあるので、入れ替えても数分で元の状態に戻る。

なお、Amphetamineには一部の働きを補うための別アプリが用意されている。App Storeのアプリはサンドボックスの制約を受けるため、動いているすべてのプロセスの一覧を取ることができない。それを外から補うのがAmphetamine Enhancerで、App Storeの外で配布されている。条件付きの自動切り替えを深く使っている場合、この2本立ての構成ごと再現できる候補があるかを見ることになる。

App Storeから消えかけた時期があった

代わりを探す動機のなかには、この先も配布され続けるのかという不安が含まれていることがある。この点については、作者自身が公開した記録が残っている。2020年12月29日にAppleから連絡があり、アプリの名前とアイコンがガイドラインに触れるとして、2021年1月12日までに変更しなければApp Storeから削除すると通告された、という内容である。作者はこれに反論するページを公開し、その後に結果を追記している。

2021年1月2日、私は不服申し立ての結果について話すためにAppleから電話を受けた。その電話でAppleの担当者は、「amphetamine」という語とピルのアイコンが「比喩的に」、そして「医学的な意味で」使われていることをAppleがいま認識していると述べた。 出典: github.com

同じページには、当時の配布状況として、2014年からApp Storeにあり、ダウンロードは432,800回を超え、米国のApp Storeでのレビューは1,400件を超えて評価は4.8である、と書かれている。いずれも2020年末時点の数字であり、現在の値ではない。

この一件は削除されずに終わっている。ここから読み取れるのは、配布の継続を約束するものは何もないという一般論であって、特定のアプリが危ういという話ではない。無料で配られているものも、有料で買ったものも、配布元の都合で止まりうるという点は同じである。だからこそ、いま使っている機能を数えておくことが、そのまま備えになる。

メニューバーの席は、乗り換えても1つ使う

ここまでの検討で見落とされやすいのが、代わりのアプリを入れても、メニューバーのアイコンは1つ増えたままだという点である。試用のあいだは元のアプリと新しいアプリの両方が並ぶので、一時的には2つになる。もともとメニューバーが埋まっていることが不満の一部だった場合、乗り換えだけでは解決しない。

この分野の道具が実際に何をしているのかは、できることのページで働きの単位ごとに整理されている。アイコンを消すのではなく、押せる状態を保ったまま普段は畳んでおく、という考え方に立つと、常駐アプリの数と見えているアイコンの数を分けて扱えるようになる。道具によっては、隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開けるものもあり、その場合は隠しても操作の手数が増えない。

同種の道具どうしで何が違うのかは、ほかの道具との違いに比較の軸がまとめられている。値段の形、対応するmacOSの下限、隠した項目への到達の仕方という3点は、どの製品を見るときも同じ順で確かめられる。費用の形そのものは料金に書かれており、買い切りか、継続課金か、大きな版が上がるたびに追加の支払いが要るかで、数年単位の負担が変わる。入れる前に出る疑問はよくある質問にまとまっており、対応するmacOSの版と必要な権限もそこで確かめられる。実際に手元で試す段になったらダウンロードから入手する。

判断の順番をもう一度書いておく。まず自分が使っている機能を数える。次にmacOSに最初から入っている手段で足りるかを見る。それでも足りない部分だけを候補に求める。最後に、メニューバーに何を出しておくかを別の問題として決める。この4つを分けて考えると、代わりを探す作業は候補の一覧を眺める作業ではなく、自分の使い方を確かめる作業になる。

よくある質問

Amphetamineの代わりに、お金をかけずに済ませる方法はある?

あります。macOSに最初から入っている caffeinate コマンドは無料で、ダウンロードやビルドが終わるまでのあいだだけスリープを止める用途ならこれで足ります。常駐アプリが必要な場合も、OwlyやKeepingYouAwakeのように無料で配布されているものがあります。条件付きの自動切り替えまで求めると、選択肢は絞られます。

乗り換えたら、いまの設定はそのまま移せる?

移せません。この分野のアプリには共通の設定形式がなく、書き出しと読み込みの経路もありません。条件付きの自動切り替え、ホットキー、AppleScript、アイコンの見た目は作り直しになります。スイッチとタイマーだけを使っていた場合は、数分で同じ状態に戻せます。

最終更新が2023年で止まっているアプリは、使い続けて大丈夫?

2026年9月10日時点でApp Storeの表示は「2023年11月10日」で、必要なmacOSは10.13以降となっています。動くかどうかは手元の環境で確かめるほかありません。問題は動作そのものより、次のmacOSで何かが変わったときに修正を待てない点にあります。これを許せるかどうかで判断が分かれます。

アプリを替えれば、メニューバーのアイコンは減る?

減りません。替えても常駐アプリは1つのままで、試用のあいだは元のアプリと新しいアプリが並ぶため一時的に2つになります。アイコンの数を減らしたいなら、アプリの入れ替えとは別に、メニューバーに何を出しておくかを決める作業が要ります。

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