Amphetamineが動かないときに見る場所|権限、常駐、起動項目の順で確かめる

Amphetamineの不具合を疑っている。スイッチを入れたのにMacが眠る、メニューバーからアイコンが消えた、蓋を閉じると落ちる。症状はどれも「動かない」と一言で表現されるが、原因の置き場所はまったく違う。この記事は、症状を3つに分けたうえで、macOS本体に何が起きているかを先に確かめ、そこからアプリ側の設定と権限へ降りていく順番をまとめたものである。

「動かない」は、まず3つに分かれる

切り分けの最初にやることは、症状を次のどれかに当てはめることである。ここを飛ばして設定を触り始めると、直ったのか直っていないのかが判定できなくなる。

  • メニューバーにアイコンが見当たらない。アプリが動いているかどうかも分からない
  • アイコンはある。押してセッションを始めたつもりだが、Macが眠る
  • セッションは効いている。ただし特定の場面だけ効かない。蓋を閉じたとき、特定のアプリを条件にしたとき、など

1つ目はアプリの生死とメニューバーの表示の問題で、2つ目はmacOSが要求を受け取っているかの問題、3つ目は機能ごとの制約の問題である。それぞれ見る場所が違う。上から順に確かめると、余計な設定変更をせずに済む。

なお、この種のアプリが「動かない」と言われる場面には、そもそもアプリの責任ではないものが混ざる。ほかの常駐アプリがスリープを止めていて解除できない、外部ディスプレイ側の電源管理が別に働いている、といった場合である。だからこそ、アプリの設定より先にmacOSの状態を見る。

macOSに直接聞く。assertion の一覧を読む

macOSは、どのプロセスがスリープを止めているかを一覧で持っている。ターミナルで次を実行すると、その一覧が出る。

pmset -g assertions

出力は2段構えになっている。前半は種類ごとの集計で、PreventUserIdleSystemSleep が本体のアイドルスリープの抑止、PreventUserIdleDisplaySleep がディスプレイのスリープの抑止、PreventSystemSleep が本体のスリープそのものの抑止を指す。ここが0のままなら、誰もスリープを止めていない。

後半の Listed by owning process: から下が本題で、止めているプロセスの名前と、止めている種類が並ぶ。セッションを始めた直後にここを見て、Amphetamineの名前が出ていなければ、要求そのものがmacOSに届いていない。逆に名前が出ているのに眠るなら、止めている種類が目的と合っていない。ディスプレイのスリープを止めたいのに本体のアイドルスリープしか止めていない、という食い違いはよく起きる。

この一覧には、ほかのアプリの assertion も出る。音声を再生しているアプリ、バックアップ、ソフトウェア更新なども名前を出す。逆に「Macが眠らない」ことが困りごとの場合も、犯人はここで分かる。1つのコマンドで、アプリ側の話かmacOS側の話かがはっきりする。

逆に、眠ってほしいのに眠らない場合

不具合の相談には、反対向きのものも混ざる。セッションを終えたはずなのにMacが眠らない、あるいは設定した覚えがないのに眠らなくなった、という症状である。

この場合も見る場所は同じ一覧になる。Listed by owning process: の下に並んだプロセスのうち、心当たりのないものを探す。音声を出しているアプリ、外部ディスプレイに音を送っている経路、バックアップ、ソフトウェア更新、仮想マシン、開発用のプロセスなどが名前を出していることがある。名前の右には、どの種類の抑止を、どれだけの時間保持しているかが出る。

Amphetamineの名前が残っている場合は、セッションが本当に終わっているかを見る。時刻指定や条件付きの設定が生きていると、手で切ったつもりでも別の経路で再び始まっていることがある。条件を一時的にすべて無効にしてから、もう一度一覧を見ると切り分けられる。

ここで名前が出るのがAmphetamine以外だったなら、それはAmphetamineの不具合ではない。設定を触る前に、この確認を挟むだけで無駄な作業を避けられる。

アイコンが見当たらないとき

メニューバーにアイコンが無い場合、可能性は2つある。アプリが動いていないか、動いているのに表示しきれていないかである。

アプリの生死は、アクティビティモニタでプロセス名を検索すれば分かる。ターミナルなら pgrep -l Amphetamine でも判定できる。何も返らなければ起動していない。この場合はアプリケーションフォルダから起動し直したうえで、次回以降のために起動項目の設定を見る。macOSのシステム設定には、ログイン時に開く項目の一覧があり、ここから外れていると再起動のたびに手で起動することになる。

動いているのに見えない場合は、メニューバーの幅が足りていない。常駐アプリの数が増えると、右から並ぶアイコンが左のメニューにぶつかり、入りきらないものは表示されなくなる。ノッチのある機種では、この限界が早く来る。アプリは正常に動いていて、押せないだけという状態である。

この状態で試せる操作が1つある。Commandキーを押したままアイコンをドラッグすると並び順を変えられる、とAppleのメニューバーの説明に書かれている。消えてほしくないものを左寄りに移せば、限界を超えて切り捨てられる対象が変わる。

ただし、これは順番の話であって容量の話ではない。入る数そのものは画面の幅で決まっているため、並べ替えても表示できる個数は増えない。切り分けの観点では、順番を変えて目的のアイコンが現れるなら、原因はアプリではなくメニューバーの容量だったと確定できる。ここまで分かれば、次にやることは設定の見直しではなく、表示する項目を減らすことになる。

蓋を閉じたときだけ効かない場合

MacBookでクラムシェルモードだけがうまく動かない、という症状は、ほかと切り離して扱う必要がある。Apple silicon搭載のノートで、電源アダプタや給電に対応した外部ディスプレイをつないだり外したりしたときに、セッションの状態が期待どおりにならない場合があると、作者自身が説明している。原文は英語で、内容は次のとおりである。

Apple silicon搭載のMacノートブックでは、電源アダプタや給電に対応したディスプレイなどの外部電源にMacを接続または切断したあと、クラムシェルモードが期待どおりに動作しないことがあります。問題を避けるには、これに対処するスクリプトと構成ファイルをインストールできます。 出典: github.com

この対処は Power Protect と呼ばれていて、アプリ本体には含まれていない。公開されている手順では、スクリプトを ~/Library/Application Scripts/com.if.Amphetamine/ に置き、構成ファイルを /private/etc/sudoers.d/ に置き、ターミナルから設定を1行書き込む形になっている。App Storeのアプリはサンドボックスの中で動くため、この2つをアプリ自身が置くことができない、というのが別配布になっている理由である。

つまり、クラムシェルモードが効かないのは設定の押し間違いではなく、追加のインストールをしていないためである可能性がある。該当するのはApple silicon搭載のノートに限られるので、Intel搭載機やデスクトップ機では別の原因を探すことになる。

条件を決めた自動切り替えが動かない場合

特定のアプリが起動しているあいだだけ自動でセッションを始める、という設定がうまく働かないことがある。ここにもサンドボックスが絡む。

App Storeで配布されるアプリは、Macで動いているすべてのプロセスの一覧を取ることができない。したがって、条件に指定できるアプリの範囲に制限が生じる。これを外から補うために、App Storeの外で配布されている補助アプリが用意されている。Amphetamine Enhancerがそれで、公開されている説明によれば、クラムシェルモードのための保険と、動いているすべてのプロセスを条件に使えるようにする働きを持つ。

条件が動かないときは、次の順で見る。まず条件に指定した対象が一覧に出ているか。出ていないなら、補助アプリを入れていないことが原因かもしれない。次に、その条件が本当に成立しているか。Wi-Fiのネットワーク名やIPアドレスを条件にしている場合、接続先が変わっていれば当然発動しない。最後に、複数の条件が互いを打ち消していないか。

設定が残らない、起動しない場合

設定が保存されない、次に開くと元に戻っている、という症状もある。App Storeのアプリは自分専用のコンテナの中に設定を書く。書き込みが妨げられていれば、設定は残らない。バックアップ用や掃除用のアプリがコンテナを対象に含めている場合、そこが影響していることがある。

アプリを入れ直す場合は、設定ごと消してからにしないと同じ状態が再現される。手順としては、アプリを終了させてから削除し、そのうえで再取得する。設定を初期化したい場合も、アプリの設定画面ではなく、書き込み先ごと消す方が確実である。

通知が出ない、という相談も別種の原因になる。macOSのシステム設定には、アプリごとに通知を許可するかどうかの一覧がある。ここで許可されていなければ、セッションの開始や終了の通知は出ない。アプリの不具合に見えて、実際にはmacOS側の許可の問題であるという構図は、権限まわり全般に共通する。権限の一覧の場所はmacOSの版で移動するため、Appleサポートで現在の版の呼び名を確かめるのが早い。

更新が止まっている前提で切り分ける

切り分けの前提として、App Storeの公開情報を確かめておく価値がある。2026年9月10日にApp Storeの公開データを取得した時点で、Amphetamineの最新版は5.3.2、更新日は2023年11月10日、必要なmacOSは10.13以降と表示されている。価格は無料で、App内購入は無い。

この更新日以降、macOSは複数回の大きな更新を経ている。5.3.2の公開時の説明には、macOS Sonomaでの特定の状況における不具合の修正や、Rosetta経由で動作している場合の警告の追加が挙げられている。逆に言えば、それより後のmacOSで生じた変化については、修正が入っていない状態が続いている。

もう1点、作者が運営していたサポート記事の公開場所は、2026年9月10日時点でログイン画面に転送される。手順を検索して出てきた記事のURLを開いても中身が読めない場合があるのは、このためである。一次情報として現在も誰でも読めるのは、App Storeの説明文と、作者が公開しているリポジトリの記載になる。

直らないときに、メニューバーの側で決めること

ここまでを順に確かめても症状が変わらない場合、判断は2つに分かれる。使い続けて次の更新を待つか、別の手段に切り替えるかである。どちらを選ぶにしても、メニューバーに何を出しておくかは別の問題として残る。

この分野の道具が何をしているのかは、できることに働きの単位で整理されている。常駐しているアプリの数と、メニューバーに見えているアイコンの数は同じである必要がない、という考え方が起点になる。道具によっては、隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開けるものもあり、その場合は隠しても押すまでの手数が増えない。

同種の道具どうしの違いはほかの道具との違いにまとまっている。切り分けの観点で言えば、権限をどれだけ要求するか、その権限が外れたときにどう見えるかが実務上の差になる。費用の形は料金にあり、入れる前に出る疑問はよくある質問に、対応するmacOSの版とあわせて書かれている。実際に手元で確かめる段になったらダウンロードから入手する。

最後にもう一度、順番だけ書いておく。macOSの assertion を見る。アプリの生死とメニューバーのはみ出しを見る。機能ごとの制約に当てはまるかを見る。権限と設定の書き込み先を見る。この4段のどこで止まったかが分かれば、次に何をすればよいかも決まる。

よくある質問

スイッチを入れてもMacが眠る。まず何を見ればいい?

ターミナルで pmset -g assertions を実行し、Listed by owning process の下にAmphetamineの名前が出ているかを見ます。出ていなければ要求がmacOSに届いていません。出ているのに眠る場合は、止めている種類を確認します。ディスプレイのスリープを止めたいのに本体のアイドルスリープだけを止めている、という食い違いがよくあります。

メニューバーからアイコンが消えた。アプリは動いている?

アクティビティモニタで名前を検索するか、pgrep -l Amphetamine で確認します。プロセスがあるのに見えない場合は、常駐アプリが増えてメニューバーに入りきっていないだけです。ノッチのある機種では早く限界が来ます。プロセスが無ければ起動していないので、ログイン時に開く項目の設定も併せて見直します。

蓋を閉じるとMacが眠ってしまう。設定を間違えている?

Apple silicon搭載のノートの場合、設定の問題ではない可能性があります。外部電源の抜き差しでクラムシェルモードが期待どおりに動かない件について、作者が別配布のスクリプトと構成ファイルを公開しています。アプリ本体には含まれないため、入れていなければ症状は残ります。Intel搭載機やデスクトップ機は対象外です。

設定を変えても次に開くと元に戻る。どうすれば?

App Storeのアプリは自分専用のコンテナに設定を書くため、そこへの書き込みが妨げられていると保存されません。掃除用やバックアップ用のアプリがコンテナを対象に含めていないかを確認します。入れ直す場合は、アプリを終了して削除し、書き込み先ごと消してから再取得すると同じ状態の再現を避けられます。

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