Macの初期設定を、あとで困らない順番でやる手順
Macの初期設定は、起動時に案内されるものだけで終わらない。案内に沿って進めると使える状態にはなるが、あとから直すのが面倒なものが手つかずで残る。ここでは初期設定を層に分けて、その場で決めるもの、後回しにすると痛いもの、毎日の手数を決めるものの順に並べる。見落としやすい落とし穴も併せて書く。
初期設定を3つの層に分けると迷わなくなる
設定項目を上から順につぶそうとすると、途中で力が尽きる。システム設定のパネルは数が多く、どれが今日必要でどれが後でよいのかが見分けにくい。
分け方の目安は、あとから変えるときの痛みの大きさになる。1層目は、あとから変えると作業がやり直しになるもの。アカウント、通信、データの引き継ぎがここに入る。2層目は、変えるのは簡単だが、忘れたまま事故が起きると取り返しがつかないもの。暗号化と控えがここに入る。3層目は、いつでも変えられるが、放っておくと毎日少しずつ時間を取られるもの。入力、画面、保存先、メニューバーがここに入る。
この順に進めると、手戻りが出にくい。特に1層目のデータの引き継ぎは、あとから始めると初期化からやり直す判断が必要になることがある。箱を開けた日に決めておきたいのはここである。
3層目は軽く見られやすいが、効く場面がいちばん多い。1日に何十回も触る場所の設定なので、直した効果が毎日戻ってくる。逆に言えば、放置すると毎日少しずつ削られる。
第1層: 起動直後にその場で決めること
電源を入れると設定アシスタントが立ち上がり、順番に聞かれる。ここで押さえておきたい点を挙げる。
- 言語と地域。日本語で使うなら日本語を選ぶ。あとから変えられるが、フォルダ名の表示や日付の形式に影響が出る
- Wi-Fi。この先のサインインと引き継ぎに要る
- Apple Account。同じアカウントをiPhoneやiPadでも使っているなら、そのアカウントでサインインしておくと連係の機能が揃う
- データの引き継ぎ。前のMacやバックアップから移すか、まっさらから始めるかを選ぶ
- Touch IDと自動ログイン。指紋を登録しておくと、購入とパスワードの入力が短くなる
判断が要るのは引き継ぎである。前のMacから移すと、アプリも設定も書類も揃った状態で始められる。反面、要らないものも一緒に付いてくる。買い替えの理由が「動きが重い」だったなら、移さずに始めて、書類だけを手で運ぶ選択も合う。
移すなら、前のMacを同じネットワークに置いて、両方の電源を繋いでおきたい。容量によっては時間がかかるので、途中で蓋を閉じない。移行を選ばずに始めた場合も、あとから同じ道具で移せるが、すでに作ったユーザとは別のユーザとして入るので、整理の手間が増える。
Appleの利用ガイドには、設定の変更やアカウントの追加といった項目がまとまっている。案内の途中で飛ばした設定は、「システム設定」を変更するから順に開き直せる。
第2層: 後回しにすると痛いもの
使える状態になった直後に手を付けたいのが、安全と控えの2つである。どちらも普段は何も起きないので忘れやすい。
1つ目はディスクの暗号化である。有効にしておくと、Macを落としたり盗まれたりしたときに、中の書類が読み出されにくくなる。有効にする操作そのものは短く、あとは裏で進む。復旧のための鍵の扱いだけは決めておきたい。Apple Accountに預けるか、自分で控えるかのどちらかになる。
2つ目は控えである。外付けのディスクを繋いで自動の控えを有効にすると、決まった間隔で書き出される。書類を1つ消したときも、機械が壊れたときも、ここから戻せる。控えが無い状態は、作業が進むほど危なくなる。
3つ目はソフトウェアアップデートである。自動で当てる設定にしておくと、セキュリティの修正が遅れにくい。再起動のタイミングを自分で決めたいなら、通知だけ受け取る形にもできる。
4つ目はパスワードの置き場所である。ブラウザに覚えさせるのか、専用のアプリを使うのか、ここで決めておくと後の移行が楽になる。決めずに使い始めると、覚え先が散らばって整理できなくなる。
4つとも、初日に30分あれば終わる。あとから思い出して当てるより、使い始める前に済ませたほうが確実である。
第3層: 毎日の手数を決める設定
ここからは好みの話が混ざるが、触る回数が多い場所なので効きが大きい。
- トラックパッド。軌跡の速さ、タップでクリック、3本指のドラッグ。標準の設定は控えめなので、速さを上げると移動が短くなる
- キーボード。キーのリピート、修飾キーの入れ替え、日本語入力の切り替え方。英数とかなを別のキーで切り替える設定は、日本語を打つ人に効く
- Finder。サイドバーに出す項目、拡張子の表示、新しいウインドウで開く場所、パスバーの表示
- Dock。位置と大きさ、自動で隠すかどうか、最近使ったアプリを出すかどうか
- スクリーンショットの保存先
- メニューバーに出す項目
保存先の話は見落とされやすい。既定のままにしておくと、撮った画像がデスクトップに積み上がる。
「macbook スクショ」の撮り方は覚えましたか? Macはスクショを撮ると、初期設定ではすべてデスクトップに保存され、すぐに画面が埋め尽くされます。Command + Shift + 5 を押し、出てきたメニューの「オプション」から、保存先を「書類」や専用のスクショフォルダに変更しておきましょう。 出典: macsetting.pinelaurel.com
撮る枚数が多い人ほど、この1回の設定で毎日の片付けが消える。保存先を決めるついでに、影の有無やファイル名の形も決めておくと後の検索が楽になる。
もう1つ、日本語入力の設定も早めに詰めておきたい。標準の入力では、変換の候補の出方、句読点の種類、英数字を全角で出すかどうかが決まっている。ここが手に合わないと、打つたびに直す作業が発生する。よく使う言い回しや住所を単語として登録しておくと、入力の回数そのものが減る。
画面の配色も3層目に入る。外観モードをダークにすると、夜の作業で眩しさが減る。壁紙の上部が黒い画像を選んでおくと、ノッチのあるMacBookでは張り出しの境目が見えにくくなる。どちらもいつでも戻せるので、最初の数日で試して決めればよい。
つい忘れる落とし穴
初期設定でつまずきやすいのは、設定項目そのものよりも、既定の動きが後で効いてくる場合である。
1つ目は、自動で覚える仕組みの扱いである。macOSにはパスワードを裏で保管する仕組みがあり、便利な代わりに、複数のアカウントを使い分けるときに混乱の元になる。
MacOSは、GitのパスワードをmacOSキーチェーン(osxkeychain)に保管してくれる機能があります。昔はオプションだったのですが、いつからかデフォルト設定になっているようです。 出典: zenn.dev
同じ記事は、複数のアカウントを使う場合の扱いにも触れている。
ただ、この設定はmacOSでしか使えないのと、複数アカウント使うときは事故のもと(Permission deniedでpushできない)なので、オフにするようにしています。 出典: zenn.dev
2つ目は、ユーザ名とコンピュータ名である。設定アシスタントで入れた名前が、ホームフォルダの名前とネットワーク上の表示名になる。あとから変えるのは手間なので、この場で落ち着いた名前を入れておきたい。
3つ目は、通知の許可である。アプリを入れるたびに通知を許すと、集中したいときに次々と割り込まれる。使い始めの段階で、通知を出すアプリを絞っておくと後が楽になる。
4つ目が、メニューバーである。アプリを入れるたびにアイコンが1つ増えるので、いつのまにか帯が埋まる。ここは次の節で扱う。
入れておくと効く道具の種類
新しいMacに入れる道具は、用途で選ぶより、埋まりやすい隙間で選ぶと外れにくい。おすすめしやすいのは次の種類になる。
- 圧縮と展開を扱う道具。macOSの標準だけでは開けない形式がある
- クリップボードの履歴を残す道具。コピーしたものをさかのぼって貼れる
- ウインドウの配置を整える道具。画面の半分や4分の1に吸い付ける
- アプリを名前で呼び出す道具。Dockまでカーソルを運ばずに開ける
- メニューバーを整理する道具。増えたアイコンを畳んで、押したいときだけ出す
このうち最後の1つは、入れる時期が早いほど効く。常駐するアプリはどれもメニューバーにアイコンを置くので、道具を増やすほど帯が埋まる。あとから整理するより、増える前に置き場所の決め方を作っておくほうが早い。
Appleの利用ガイドは、メニューバーの右端に並ぶ項目を状況メニューと呼び、メニューバーとは?の中で並べ替えと削除の方法を説明している。Commandキーを押したままアイコンをドラッグすると位置が変わり、帯の外へドラッグすると外れる。
メニューバーが最初に散らかる場所になる
初期設定を終えてアプリを入れていくと、いちばん早く散らかるのがメニューバーである。押したいアイコンが見つからない、ノッチのあるMacBookでは入りきらずに消える、外部ディスプレイを繋ぎ替えると並びが崩れる、という順で症状が出る。
置き場所の決め方は、押す頻度で3段階に分けるのが目安になる。1日に何度も押すものは2つか3つしかない。気になったときだけ押すものは畳んで呼び出す。動いていれば十分なものは常時隠す。この分け方を初日に決めておくと、アプリが増えても帯は散らからない。
できることには、使っていないアイコンを仕切りの左へ送って時計のまわりを空ける仕組みと、隠したものを本物の見た目のまま呼び出す仕組みが並んでいる。残量の数字やバッジは絵柄そのものに描かれているため、似せた別の絵に置き換えられると呼び出す意味が薄れる。隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける作りなら、展開して押し直す手間も消える。
同じ用途の道具は無料のものから買い切りのものまであり、価格と払い方の並びはほかの道具との違いに調査日つきで載っている。買い切りは1,980円から3,494円あたりに並ぶ。買い切りがどのバージョンまでを指すのかは料金で確かめられる。
画面収録とアクセシビリティの許可がなぜ要るのかはよくある質問に書かれている。新しいMacで許可を求められたときに戸惑わないよう、先に読んでおくと迷わない。対応するmacOSの下限と試用の条件を見てから手元で試すなら、ダウンロードから入る流れになる。
初期設定の順番を最後にもう一度並べておく。引き継ぎとアカウントを箱を開けた日に決める。暗号化と控えとアップデートとパスワードの置き場所を、その日のうちに済ませる。トラックパッドとキーボードとFinderとスクリーンショットの保存先を、使いながら詰める。そして道具を入れる前に、メニューバーの置き場所の決め方を作る。この順で進めると、半年後に「最初にやっておけばよかった」と思う項目が残りにくい。
よくある質問
Macの初期設定は、どこまでを初日にやればいい?
あとから変えると手戻りが出るものを初日に済ませる。データの引き継ぎ、Apple Accountへのサインイン、ユーザ名とコンピュータ名がこれにあたる。続けてディスクの暗号化、自動の控え、ソフトウェアアップデート、パスワードの置き場所を決める。入力や画面の細かい設定は使いながらでよい。
前のMacからデータを移すべき?
買い替えの理由で決まる。設定もアプリも揃った状態で始めたいなら移すのが早い。動きが重いことが理由だったなら、移さずに始めて書類だけを手で運ぶ選択も合う。移す場合は両方を同じネットワークに置き、電源を繋いだまま終わるのを待つ。
スクリーンショットがデスクトップに溜まるのを止めたい。
Command + Shift + 5 を押し、出てきたメニューの「オプション」から保存先を変える。「書類」や専用のフォルダを指定しておけば、デスクトップは埋まらない。同じ画面で影の有無やタイマーも決められるので、撮る枚数が多い人は一度まとめて設定しておきたい。
新しいMacで最初に入れる道具は何がいい?
標準では埋まらない隙間から選ぶと外れにくい。圧縮の形式を扱う道具、クリップボードの履歴を残す道具、ウインドウの配置を整える道具、アプリを名前で呼び出す道具、メニューバーを整理する道具が挙がる。常駐するものはアイコンを置くので、整理する仕組みは早い段階で入れておくと効く。