Macが重いと感じたとき|犯人を名指しするまでの手順
Macが重いと感じたとき、最初にやることは高速化ではない。何が遅いのかを言葉にすることである。起動が遅いのか、アプリの切り替えが詰まるのか、文字の入力が引っかかるのか、ファンが回り続けるのか。この4つは原因がまったく別で、効く対処も別になる。この記事では、体感の切り分け、アクティビティモニタで原因のプロセスを名指しするまでの手順、メモリプレッシャーの読み方、お金をかける前に確かめる場所を順に並べる。
「重い」を4種類に分けるところから始める
修理や相談の現場では、症状の言葉が曖昧なままだと手が付かない。
Macの動きが重いように感じても、それが故障によるものなのか、原因がなんなのか、的確に判断することは簡単なことではありません。 出典: 4900.co.jp
判断を簡単にするには、体感を4つに分けるのが早い。
- 起動やログインが遅い。電源を入れてから使える状態になるまでが長い
- アプリの起動やウインドウの切り替えが詰まる。虹色の円が回る
- 文字の入力や画面の描画が引っかかる。打った文字が遅れて出る
- ファンが回り続け、本体が熱い。操作そのものは動く
1つ目はログイン時に起動するものの数と起動ディスクの状態、2つ目はメモリ、3つ目は前面のアプリか描画に関わる常駐アプリ、4つ目は発熱と、それを起こしているプロセスに紐づく。どれに当たるかを決めてから道具を開くと、見る画面が1つに絞れる。
3つ目の「文字の入力や画面の描画が引っかかる」だけは、原因の探し方が他と違う。CPUの使用率が低いまま引っかかることがあるためで、このときに疑うのは前面のアプリの処理か、画面の描画に割り込む常駐アプリである。ウインドウを端へ運んで整列させる道具、色を調整する道具、文字入力を補助する道具は、いずれもキーを打つたびや画面が動くたびに仕事をする。心当たりがあるものを一度終了させて、症状が消えるかどうかで切り分ける。
複数が同時に起きている場合もある。そのときは4つ目から見る。発熱が続いている状態では、システムが処理の割り当てを絞るため、他の3つも連鎖して悪くなる。順番を守ると、後の3つが勝手に消えることがある。
アクティビティモニタで原因のプロセスを名指しする手順
道具は最初からMacに入っている。アクティビティモニタを開き、次の順に進める。
- 「CPU」をクリックし、「%CPU」の列をクリックして降順に並べる。上から3つの名前を読む
- ウインドウの下にある3つの数字を見る。Appleの利用ガイドでは、「システム」がmacOSに属するプロセスが使っている割合、「ユーザ」が開いたアプリとそのアプリが開いたプロセスが使っている割合、「アイドル」が使われていない割合と定義されている
- 断続的に重くなる場合は、「ウインドウ」メニューから「CPU履歴」を開く。数分ごとに山が立つなら、原因は決まった時刻に動く処理である
- ノートの場合は「エネルギー」をクリックし、「12時間の電力」の列で並べ替える。この列は、直近12時間または起動してからの平均を示す
ここで大事なのは、CPUの表示が瞬間の値だという点である。ページを描画する数秒間だけ90%になるのは正常で、何も意味しない。同じアプリが12時間の平均で上位に来たときだけ、実際に効いている相手だと判断できる。
表示の更新は初期状態で5秒ごとである。「表示」メニューの「更新の頻度」で短くできるが、Appleの説明では、頻度を上げるとシステムの性能全般に影響する場合があるとされている。短い山を捉えたいときはCPU履歴のほうが向いている。
メモリは「使用済み」ではなく色を見る
アプリの切り替えが詰まる症状では、「メモリ」をクリックする。ここで多くの人が読み間違えるのが、使用済みメモリの数字である。空きがほとんど無いように見えても、それは問題の証拠にならない。
Appleの説明はこう書かれている。空いているまたは使用されていないメモリがあっても、コンピュータの性能が向上するとは限らない。macOSの性能は、すべてのメモリを効率的に使用して管理することで最も向上する。つまり、空きが少ないのは設計どおりであって、症状ではない。
見るべきは「メモリプレッシャー」のグラフの色である。定義は3段階に分かれている。
- 緑色。すべてのRAMを効率的に使っている
- 黄色。RAMが今後足りなくなる可能性がある
- 赤色。より多くのRAMが必要である
緑のまま重いなら、原因はメモリではない。CPUかディスクか、前面のアプリそのものを見る。赤が続くなら、開いているアプリを減らすか、増設できる機種かどうかを確かめる段に進む。
ウインドウの下に並ぶ他の項目も、意味を知っておくと迷わない。「圧縮」は使えるRAMを増やすために圧縮されたメモリの量で、最大容量に近づくと停止中のアプリが圧縮される。「キャッシュされたファイル」は性能向上のために未使用メモリに置かれたファイルで、上書きされるまで残るため、そのアプリを次に開くときが速くなる。「スワップ使用領域」は、未使用のファイルをRAMと入れ替えるために起動ディスク上で使われている量である。
この3つを合わせると、なぜ起動ディスクの空きが体感に効くのかが分かる。スワップの置き場所は起動ディスクだからである。空きが少ないMacでは、メモリが足りなくなったときの逃げ道が狭くなる。写真や動画を大量に置いたまま重いと感じている場合は、まず空き容量を確かめる価値がある。
空き容量の確かめ方は、macOS Ventura 13以降ではアップルメニューから「システム設定」を選び、サイドバーで「一般」をクリックしたあと、右側の「ストレージ」をクリックする形になる。それ以前のmacOSでは、アップルメニューの「このMacについて」から「ストレージ」をクリックする。ここでは、どのカテゴリのファイルが容量を占めているかの内訳も出る。削除の前に、外付けのディスクへ移すか、使っていない書類を消すかを決めておく。なお、空き容量を増やすことで速くなるのは、スワップの逃げ道が足りていなかった場合だけである。メモリプレッシャーが緑のまま重いなら、容量を空けても体感は変わらない。
プロセスを終了するときの注意点
原因が名指しできたら、そのアプリを普通に終了する。反応が無い場合にアクティビティモニタから止めるが、2つの選択肢の違いを知らずに使うと被害が出る。
Appleの利用ガイドでは、「終了」はアプリの中で「ファイル」メニューの「終了」を選ぶのと同じで、安全なときにプロセスが終了すると説明されている。データが失われたり他のアプリの妨げになるおそれがある場合は、終了しない。一方の「強制終了」は即座に終了し、ファイルを開いていた場合はデータを失うことがあり、他のアプリやプロセスから使われていた場合はそれらに問題が起きる可能性がある。
順番は決まっている。まず「終了」を試し、動かないときだけ「強制終了」に進む。他のプロセスから使われているかどうかは、「表示」メニューの「すべてのプロセス(階層表示)」で確かめられる。
自分の所有でないプロセスを止めようとすると、管理者としての認証を求められる場合がある。ここで名前に見覚えの無いプロセスを止めるのは勧められない。システムに属するプロセスは、止めても再度立ち上がるものと、止めると画面が使えなくなるものが混ざっている。
お金をかける前に確かめる場所
重いという症状に対して、増設や買い替え、修理の見積もりを取る前に確かめられることがある。まず、その機種にメモリを追加できるかどうかである。
Appleの案内では、Optionキーを押したままアップルメニューから「システム情報」を選び、左側の「ハードウェア」の下で「メモリ」をクリックし、「メモリスロット」パネルの「アップグレード可能なメモリ」で交換や取り付けが可能かを確かめる、という手順になっている。「メモリスロット」パネルそのものが表示されない場合は、そのMacにアップグレード可能なメモリは無い。
この確認を先にすると、費用の話が具体的になる。増設できない機種であれば、メモリを理由にした出費の選択肢は買い替えだけになる。逆に増設できる機種で、メモリプレッシャーが赤のまま続いているなら、費用の効き方がはっきりしている。
発熱でファンが回り続けている場合の出費は、増設ではなく清掃や修理の側になる。吸気の埃、設置面の柔らかい素材、周囲の温度。これらは費用がかからないか、かかっても小さい。順番としては、無料で試せることを全部試したあとに見積もりを取る。
もう1つ、費用をかけずに効くことが多いのは、ログイン時に起動するものを減らすことである。これは次の節で扱う。
起動時から常駐しているものを数える
起動が遅い、あるいは何もしていないのに常に少し重い。この2つに共通する原因は、ログインと同時に立ち上がる常駐アプリの数である。
2年から3年使ったMacには、クラウドストレージの同期、電池の管理、クリップボードの履歴、スクリーンショットの道具、VPNの接続、メモの同期、ウインドウの整列、そしてそれぞれの更新確認が入っている。1つずつは軽い。合計すると、Macが何もしていない状態の床が上がる。
数えるのが面倒に感じるのは、一覧が見つけにくいからである。設定画面の項目名は開発者が付けた名前になっていることがあり、どのアプリの部品なのか分からない。その点、画面の上端に並んだアイコンは、入れたアプリそのものの姿で並んでいる。数を数える作業としては、こちらのほうが速い。
ここで先に知っておきたいのが、上端の帯の容量である。帯の右側に並ぶ項目は、前面のアプリのメニューが長いほど押し出される。折り畳まれて一覧が出るのではなく、単に描かれなくなる。ノッチのあるMacBookでは帯の中央が使えないため、入りきらなくなるのが早い。つまり、見えているアイコンの数は、動いているものの数より少ない。
常駐の棚卸しを、画面の上端から始める
数えたあとにやることは、消すかどうかの判断ではない。押す頻度で3つに分けることである。1日に何度も押すものは帯に残す。気になったときだけ押すものは畳んでおく。動いていることさえ分かればよいものは常に隠す。この3つに分けると、残った1つ目の数が、そのMacが本当に必要としている常駐の数になる。
仕切りより左へ送って時計のまわりを空ける仕組みと、隠したものを本物の見た目のまま出す仕組みはできることに説明がある。呼び出し方は作りによって分かれ、帯の上に展開してから押す形、メニューバーの下のポップアップにまとめて出す形、そして隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける形がある。同期の進み具合や電池の残量のように、アイコン自体が数字を示す種類のものでは、呼び出したときに見た目がそのまま出るかどうかが効く。
この分野には無料のものと有料のものが並んでいる。価格と払い方を横に並べた表はほかの道具との違いにあり、2026年9月3日に各社の販売ページで調べた金額として載っている。オープンソースで無料のものも同じ表に入っているので、無料で足りるかどうかの見当が付く。買い切りで1,980円という値付けの内訳は料金で確かめられる。
この種の常駐アプリは、メニューバーの描画を読み取るために画面収録の許可を、アイコンを押してメニューを開くためにアクセシビリティの許可を求める。求める理由はよくある質問に説明があり、macOS 14以降でApple SiliconとIntelの両方に対応するといった動作条件はダウンロードに載っている。
なお、常駐を整理しても、体感が劇的に変わるとは限らない。整理の値打ちは別のところにある。次に重くなったときに、疑う相手が30個ではなく5個になることである。原因を名指しできる状態を作っておくことが、高速化の道具を増やすより先に来る。
よくある質問
Macが重いとき、最初に開くべき画面はどこですか?
アクティビティモニタである。「CPU」をクリックして「%CPU」の列で降順に並べ、上から3つの名前を読む。断続的に重くなる場合は「ウインドウ」メニューの「CPU履歴」、ノートで電池の減りも気になる場合は「エネルギー」の「12時間の電力」の列を見る。CPUの表示は瞬間の値なので、数秒の山は問題ではない。
メモリの使用済みがほぼ満杯です。買い替えが必要ですか?
使用済みの数字では判断できない。Appleの説明では、空いているメモリがあっても性能が向上するとは限らず、すべてのメモリを効率的に使うことで性能が最も向上するとされている。見るのは「メモリプレッシャー」の色で、緑は効率的に使えている状態、黄色は今後足りなくなる可能性、赤はより多くのRAMが必要な状態を示す。
自分のMacにメモリを追加できるかどうかを調べる方法はありますか?
Optionキーを押したままアップルメニューから「システム情報」を選び、左側の「ハードウェア」の下で「メモリ」をクリックする。「メモリスロット」パネルの「アップグレード可能なメモリ」で交換や取り付けが可能かが分かる。「メモリスロット」パネルが表示されない場合は、そのMacにアップグレード可能なメモリは無い。
アクティビティモニタの「終了」と「強制終了」はどちらを使えばいいですか?
先に「終了」を試す。これはアプリの中で「ファイル」メニューの「終了」を選ぶのと同じ扱いで、安全なときにだけ終了する。動かないときだけ「強制終了」に進む。強制終了は即座に終わるため、ファイルを開いていた場合はデータを失うことがあり、他のアプリから使われていた場合はそちらに問題が起きる可能性がある。