MacBookの最初の設定|後から変えにくいところを先に決める

MacBookの最初の設定を調べると、項目が20も30も並んだ一覧に行き当たる。困るのは数の多さではなく、どれを先にやるかが書かれていないことである。この記事では、設定の項目を「実質やり直せない」「手間をかければ戻せる」「いつでも変えられる」の3段に分け、先に決めるべきところだけを前に出す。トラックパッドの速さのように後からいくらでも触れる項目は、最後に回して構わない。

最初の設定を、やり直せるかどうかで並べ替える

検索で出てくる一覧が長くなるのは、性質の違う作業が同じ列に並んでいるからである。ユーザ名のように後で変えると別の面倒を呼ぶものと、キーのリピート速度のように何度でも試せるものが、同じ番号を振られて並んでいる。読む側は上から順に手を動かすので、重い判断が後ろに来ていると、そこに来たときには集中力が切れている。

並べ替えの軸は1つでよい。やり直せるかどうかである。やり直せない項目は、手数が少なくても最初に置く。やり直せる項目は、手数が多くても後に置く。この軸で並べると、設定に使う時間の総量は変わらないまま、後戻りの回数だけが減る。

長く使っている人が書き残している環境構築のメモを読むと、動機の大半は再現性にある。

で、新しいPCを買ったので、最初にする作業をここにまとめます。 初期設定というかどのアプリを入れるか?みたいな感じで、 おすすめ設定というか、自分の環境をすぐに元に戻すための、 何年か後の自分のためにメモです。 出典: onimaga.jp

同じ手順を次の買い替えでもう一度たどれる形にしておくと、2台目以降の所要時間が短くなる。最初の設定を記録として残す価値は、この1点にある。

実質やり直せない項目を、先に決める

ここに入るのは、変えるためにMacを一度空にする必要がある項目である。

データの引き継ぎが最上位に来る。前のMacやTime Machineの控えから移すかどうかは、電源を入れた直後の設定アシスタントの画面で聞かれる。ここで「引き継がない」を選んで使い始めたあとに気が変わると、すでに作ったアカウントと移行アシスタントが作るアカウントが並び、ユーザが2つになる。統合する手順は用意されていないので、片方を捨てて作業をやり直すことになる。

ユーザ名も同じ性質を持つ。設定アシスタントで入力したアカウント名が、そのままホームフォルダの名前になる。表示上の氏名は後から変えられるが、フォルダの名前を変える作業は別の手順で、アプリの設定ファイルが古いパスを覚えている場合に壊れる。仕事で使うなら、会社の命名の決まりを先に確かめてから打つ。

引き継ぎを選んだ場合に一緒に来るものも、この段で意識しておきたい。前のMacの常駐アプリとその設定は移行の対象に入る。新品なのに画面の上端が最初から埋まっているのは、この仕組みによる。まっさらから組み直す意図があるなら、引き継ぐ範囲をこの画面で絞る。

もし判断を誤ったと気付いた場合、macOS Ventura 13以降ならシステム設定から空に戻せる。

macOS Ventura 13以降:画面の左上にあるAppleメニュー から「システム設定」を選択します。サイドバーの「一般」をクリックし、右側で下にスクロールして「転送またはリセット」をクリックします。「すべてのコンテンツと設定を消去」をクリックします。このボタンが表示されない場合 出典: support.apple.com

戻せる手段はあるが、通信と再起動を含めて時間を取られる。先に決めておく価値はそこにある。

手間をかければ戻せる項目

次の段は、変更そのものはできるが、変えるときに待ち時間か手続きが発生するものである。

ディスクの暗号化は、有効にした直後に全体の暗号化が走る。中身が少ないうちに入れると待ち時間が短く済み、写真と動画で数百GBを埋めたあとに入れると数時間かかることがある。復旧用のキーをApple Accountに預けるか自分で保管するかも、この画面で選ぶ。社用の機体なら、会社の方針を先に確かめる。

Apple Accountへのサインインは、iCloudの同期の起点になる。サインアウトは後からできるが、同期を止めた時点でどのファイルがMacに残り、どれがクラウドだけに残るのかを追う作業が生まれる。私用と仕事でアカウントを分ける方針があるなら、最初のサインインでどちらを使うかを決めておく。

保証の延長は、購入から一定の期間を過ぎると申し込めなくなる。判断を先延ばしにすると選択肢そのものが消えるため、悩む場合でも期限だけは初日に確かめる。問い合わせで最初に聞かれるシリアル番号は、アップルメニューの「このMacについて」から控えられる。

自動アップデートの範囲も、この段に置くとちょうどよい。セキュリティ対応だけを自動にし、macOSの大きな更新は手動にしておくと、仕事で使うアプリが新しい版に追いついていない時期の事故を避けられる。更新を全部自動にしていると、朝起きたら版が上がっていて、業務用のアプリが起動しないという形で困る。

いつでも変えられる項目は、使いながら決める

ここから先は、気が変わるたびに触ってよい項目である。最初に完璧に決めようとすると時間だけが溶ける。

トラックパッドは、タップでクリック、3本指のドラッグ、スクロールの向きの3つを試す。初期値が手に合っていないと、毎日の操作すべてに小さな抵抗が乗るので、効果は大きい。ただし何が合うかは使ってみないと分からないので、初日に悩む項目ではない。

キーボードは、キーのリピート速度と、リピート入力認識までの時間を調整する。文章を打つ量が多い人ほど効く。日本語入力の切り替えは、キーボードの左下にあるかなと英数のキーで行う形が標準になっている。

Finderの表示は、使い始めてすぐに不便が出る場所である。Finder設定の「すべてのファイル名拡張子を表示」を入れると、同じ名前で形式の違うファイルを見分けられる。検索の開始位置を「現在のフォルダ」にしておくと、フォルダの中を探したいときにMac全体の結果が出てくる現象が止まる。ウインドウの帯は表示メニューから足せる。パスバーを出すと、いま見ているフォルダの位置が下端に出る。

スクリーンショットの保存先も、この段で直す。初期値ではデスクトップに保存されるため、撮るほど画面が埋まる。専用のフォルダを作って指定し直すと、机の上が散らからない。

集中モードは、止めたい通知と時間帯を決めてから作る。決めずに作ると条件が細かくなりすぎて、結局使わない設定が残る。

無料で足りる範囲と、お金を払う判断

最初の設定の段階で有料のアプリを並べる必要はない。標準の機能で足りる範囲は広く、足りないと分かってから探すほうが数が少なく済む。

パッケージ管理のHomebrewを入れておくと、多くのアプリを1行のコマンドで導入できる。買い替えのときに同じ並びを再現しやすくなるので、2台目以降の所要時間が縮む。

有料のものを検討する段になったら、払い方を先に見る。買い切りと年額では、数年後の総額が変わる。メニューバーを整理する道具を例に取ると、無料のオープンソースのものと、買い切りのもの、年額と永久使用を選べるものが同じ市場に並んでいる。金額と払い方を1枚に並べた表はほかの道具との違いにあり、2026年9月3日に各社の販売ページで調べた表示価格として載っている。

段階 入れるもの 判断の基準
初日 ブラウザ、パスワード管理 無いと仕事が始まらないもの
初週 圧縮解凍、クラウドストレージ 受け取ったファイルが開けないと分かったもの
2週目以降 ランチャー、ウインドウ整列、クリップボード履歴 同じ操作を1日に何度も繰り返していると気付いたもの
常駐が増えてから メニューバーの整理 目当てのアイコンを探す時間が出てきたもの

表の4段目が最後に来るのには理由がある。常駐アプリが少ないうちは画面の上端が混雑しないので、整理の道具を入れても違いが見えない。

最初の設定でつまずきやすいポイント

最初の1か月で起きやすい失敗を挙げる。

1つ目は、引き継ぎを選んだあとに常駐アプリが増えていることに気付かないことである。システム設定の一般にあるログイン項目を開くと、起動時に立ち上がるものとバックグラウンドで動くものが一覧になっている。ここを見直すと数が減る。

2つ目は、アプリをゴミ箱に入れて消したつもりになることである。アプリケーションフォルダから消しても、設定ファイルと常駐の登録が残る場合がある。画面の上端にアイコンだけが残る症状が出たら、ログイン項目を確認する。

3つ目は、ストレージの残量である。256GBの機体で写真の同期と動画の書き出しが重なると、思ったより早く減る。デスクトップと書類をiCloudに同期する設定は、契約している容量と合わせて判断する。

4つ目は、外付けの画面を繋いだときに設定が変わって見えることである。帯の中身と並びは画面ごとに描かれるため、繋ぎ替えたときに違って見える。壊れたわけではない。

5つ目は、変えた項目を記録しないことである。半年後に同じ症状が出たときに、どこを触ったか分からなくなる。1行ずつ書き残しておくと、次の買い替えでそのまま使える。

常駐アプリが増えたあと、画面の上端で起きること

設定が落ち着いて道具が揃うと、最初に窮屈になるのは画面の上端である。Appleの資料には、帯の右端に並ぶアイコンについてこう書かれている。状況メニューの並びはCommandキーを押したままアイコンをドラッグして入れ替えられ、Commandキーを押したまま帯の外へドラッグすると素早く外せる。つまり並べ替えと削除は標準の機能で足りる。

足りないのは、入りきらなくなったときの扱いである。項目が幅を超えると、折り畳まれるのでも一覧が出るのでもなく、単に描かれなくなる。ノッチのあるMacBookでは帯の中央が使えないため、入りきらなくなるのが早い。前面のアプリを切り替えた瞬間に、左側のメニューの数だけ右側が押し出される。

片づけるときは、道具を入れる前に分類を決めておくと設定が短時間で終わる。押す頻度で3段に分けるのが分かりやすい。1日に何度も押すものは、たいてい2つか3つしかない。次に、気になったときだけ押すもの。最後に、動いていることさえ分かればよく、押すことがほぼ無いもの。3段目は常時隠す扱いにしてよく、2段目は畳んでおいて必要なときに呼び出す形が合う。

呼び出し方は作りによって分かれる。帯の上に展開してから押す形、メニューバーの下のポップアップにまとめて出す形、そして隠したアイコンを、メニューバーを畳んだまま押してその場でメニューを開ける形の3通りである。呼び出したときに電池の残量や未読の件数がそのまま出るかどうかも、実際の使い勝手に効く。仕切りより左へ送って時計のまわりを空ける仕組みと、隠したものを本物の見た目のまま出す仕組みはできることに並んでいる。

この種の常駐アプリは、帯の描画を読み取るために画面収録の許可を、アイコンを押してメニューを開くためにアクセシビリティの許可を求める。求める理由はよくある質問に書かれている。買い切りの金額は料金で、対応するmacOSの下限と試用の条件はダウンロードで確かめられる。

最初の設定を可逆性で並べ替えると、やることは3つに減る。電源を入れた画面で引き継ぎとユーザ名を決め、初日のうちに暗号化とサインインと保証の期限を押さえ、あとは使いながら直す。道具は困りごとが出てから入れ、常駐が増えたところで押す頻度による分類を作る。この順で進めると、1か月たっても画面の上端と下端が散らからない。

よくある質問

MacBookの最初の設定で、本当に先に決めないといけないのはどれ?

やり直しが効かない項目だけである。前のMacやTime Machineの控えからデータを引き継ぐかどうかと、アカウント名を何にするかの2つになる。アカウント名はそのままホームフォルダの名前になり、後から変えるとアプリが古いパスを覚えていて動かなくなることがある。

ディスクの暗号化は、後から有効にしてもいい?

できるが、待ち時間が変わる。有効にした直後に全体の暗号化が走るため、ファイルが少ないうちに入れると短く済み、写真や動画で数百GBを埋めたあとだと数時間かかることがある。復旧用のキーをApple Accountに預けるか自分で保管するかも、このときに選ぶ。

最初の設定を間違えたら、やり直せる?

macOS Ventura 13以降なら、システム設定の一般にある「転送またはリセット」から「すべてのコンテンツと設定を消去」で空に戻せる。ただし通信と再起動を含めて時間を取られるので、引き継ぎとアカウント名だけは設定アシスタントの画面で決めておくほうが早い。

メニューバーの整理は無料でできる?

基本の並べ替えと削除は標準の機能で足りる。Commandキーを押したままアイコンをドラッグすると並びが変わり、そのまま帯の外へドラッグすると外せる。入りきらない分を畳んで必要なときだけ出す機能は標準にはなく、無料のオープンソースのものと有料のものが分かれている。

記事一覧へ戻る